1.20代にはどのような特徴があるのか
そもそも20代の生活パターンや体にはどのような特徴があるのでしょうか。
朝食の欠食率は、2012年のデータで男性12.8%、女性9.0%です。この割合は男女ともに20代で最も高く、10年前に比べて増加しているといわれています。つまり、20代は朝食を抜く傾向にあると考えられるでしょう。
20代女性の体型は2割以上が「痩せ」であり、30年前と比べて割合が増加しています。対して、20代男性は30年前と比較して、肥満の割合が増加しているのが特徴です。これは、食生活の欧米化により、魚類の消費が減少し肉類の消費が増加したことが原因とされています。
また、20代は仕事関係や精神的に不安定になる方が多い年代です。「仕事での疲れ」「職場の人間関係」「病気の悩み・影響」などは大きなストレス源といえるでしょう。
さらに、インターネットの利用時間が長く、20~22時台にテレビを視聴している20代のうち、3~4割程度はインターネットを利用しながら視聴とされています。
2.20代が疲れやすいと感じる原因として考えられること
20代の方が送っている生活のなかには、疲れを感じやすくなってしまう原因がいくつか潜んでいます。
2-1.エネルギー不足・栄養不足・生活リズムの乱れなど
普段から朝食をとらない場合、脳や体を活動させるエネルギーが不足し、だるさや疲労を感じる原因となります。
また、一日の食事回数を少なくすることで、体が栄養不足を感じる可能性も高まるでしょう。その結果、本能的に体を守ろうとしてエネルギーを溜め込み、食事回数が少ないにもかかわらず太りやすい体質になるといった事態を招きかねません。
その他にも、朝食をほぼ毎日食べる方の多くが「生活のリズムが取れる」「体調が良い」などのメリットを感じているとの調査結果もあります。これにより、規則正しい食事は健康や気持ちに良い影響を与えると考えられるでしょう。
2-2.貧血など
20代の女性に多い「痩せ」は、だるさや疲れやすさのもとになります。低血圧などの健康障害につながる可能性もあるといわれているため、注意が必要です。誤った「痩せ願望」を持たず、適切な体重を維持するようにしましょう。
また、女性は貧血になりやすく、特に20~40代の女性は約65%が「貧血」または「かくれ貧血」といわれています。貧血になるとだるさや疲れやすさといった症状が現れるため、赤身の肉や魚、ほうれん草といった緑葉色野菜などを積極的に食べるようにしましょう。
2-3.自律神経失調症など
疲れやすいと感じるときは、自律神経失調症が関わっている可能性もあります。
自律神経失調症は、ストレスによって自律神経が正常に機能しないことで起こる症状の総称です。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、この働きのバランスが崩れると倦怠感や疲労感、不眠などの症状を引き起こします。
治療法として薬剤による対症療法や行動療法などがありますが、規則的な睡眠と食事を心がけるといった生活習慣の改善とストレスのコントロールが最も大切です。
2-4.睡眠障害
睡眠は健康的な毎日を送るために重要な役割を担っています。
若い世代では、夜更かしをして睡眠時間が不規則になる方も少なくありません。寝床に入ってからスマートフォンでメールやゲームをすると、長時間にわたって光の刺激が入るため覚醒を助長することにつながります。
心と体の疲労回復には、睡眠が欠かせません。睡眠の時間が不足したり、質が悪くなったりしないよう、就寝前の習慣には気を付ける必要があるでしょう。
疲れの原因を知って、体を労わろう
20代の疲れやすさの原因はさまざまです。単なる体を酷使することによる疲れの他に、ストレスが体の疲労感につながることもあります。また、欠食や睡眠不足などの生活習慣の乱れも疲れやすいと感じる原因の一つです。
ストレスを上手に解消したり、生活習慣を見直したりして、自分自身の体を大切にしてあげましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医