プロテオグリカンとは?お肌の潤いを促す働きについて解説

美容成分といえば、コラーゲンやヒアルロン酸を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、プロテオグリカンという成分があることをご存知でしょうか。プロテオグリカンとは、人間や動物の軟骨などに含まれている成分です。

抽出が難しいことから、以前は非常に希少な成分とされていましたが、長年の研究により、現在は安定して抽出できるようになりました。

この記事ではプロテオグリカンについて、どのような成分か、どのような働きを持つのかを解説します。

1.プロテオグリカンとは?

プロテオグリカンとは、表皮の下に存在する真皮中に含まれる糖タンパク質の一つです。この名前は、タンパク質を意味する「プロテオ」、多糖類を意味する「グリカン」から成り立っています。

コラーゲンやヒアルロン酸と同様に、人間や動物の体内に存在している成分です。以前は、この成分を純度の高い状態で安全に抽出することが難しかったため、とても希少なものとされていました。

現在では、30年以上もの長い年月をかけて行なった研究により、サケの鼻軟骨から安全に抽出できるようになっています。

2.プロテオグリカンの働き

プロテオグリカンは美容効果が期待できるとして、世界的に注目されている成分ですが、その働きや作用はどのようなものでしょうか。

ここでは、プロテオグリカンに期待される美容効果として、保水力の高さや、線維芽細胞・コラーゲン・ヒアルロン酸の増加に注目し、それぞれ解説していきます。

2-1.優れた保水力

プロテオグリカンは、美しさのベースとなる保水力において注目されています。

その保水力は、1グラムで6リットルの水を保有できるとされているヒアルロン酸を超えるとされ、肌年齢を保つことにも影響すると考えられているのです。

実際に、プロテオグリカンとヒアルロン酸の保水力を比較するために、水分を含むと膨張するジェルを用いた実験が行なわれました。この実験で、プロテオグリカンの溶液とヒアルロン酸の溶液にこのジェルをそれぞれ浸したところ、プロテオグリカンの溶液に浸したジェルのほうが長時間経過しても膨張を保っていたのです。

2-2.線維芽細胞を増やす

プロテオグリカンには、線維芽細胞を増加させる働きもあるとされています。

線維芽細胞は、プロテオグリカンと同じく肌の真皮内に存在し、コラーゲンとヒアルロン酸の生成に関係している細胞です。ふっくらとした肌を保つうえで、線維芽細胞の量や活発さは重要な要素とされています。

つまり、この線維芽細胞を増加させるプロテオグリカンは、肌にとって重要な役割を持つ成分だと考えられるでしょう。

2-3.コラーゲンの生成量を増加させる

上述のとおり、コラーゲンはプロテオグリカンにより、増加することがわかっています。コラーゲンは繊維状のタンパク質で、皮膚などを構成する成分です。

人間の皮膚の線維芽細胞を用いた実験では、プロテオグリカンを加えた皮膚線維芽細胞のほうが、加えていないものよりもコラーゲンが多く作られる、という結果が出ています。

コラーゲンは加齢とともに失われやすいものですが、プロテオグリカンや真皮を支えるエラスチンによって、弾力の補強も期待できると考えられるでしょう。

2-4.ヒアルロン酸の生成量を増加させる

ヒアルロン酸もコラーゲンと同じく、プロテオグリカンにより増加する成分です。

コラーゲンと同様に、人間の皮膚の線維芽細胞を用いた実験が行なわれたところ、こちらもプロテオグリカンを加えた細胞のほうが、ヒアルロン酸が多く作られる結果となりました。

プロテオグリカンは保水力の高さにより注目されている美容成分

プロテオグリカンは、ヒアルロン酸以上の保水力を持つ成分です。かつては抽出の難しさから希少性の高い成分とされていましたが、長年の研究により、現在では安定して抽出できるようになりました。

プロテオグリカンは優れた保水力を持つだけでなく、ふっくらとした若々しい肌を保つために必要な線維芽細胞に働きかける力もあります。さらに、コラーゲンやヒアルロン酸を増加させる作用もあるということが、実験によって確認されています。

なお、この記事で紹介した効果は、経口摂取による効果を保証するものではありません。しかしながら、プロテオグリカンは、いつまでも美しくありたい人を力強く応援してくれる美容成分といえるでしょう。

監修者情報

氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医