1.アラキドン酸(ARA)とは
アラキドン酸(ARA)とは、多価不飽和脂肪酸の一種です。多価不飽和脂肪酸にはn-3系とn-6系とがあり、アラキドン酸(ARA)はn-6系の多価不飽和脂肪酸に分類されます。オメガ脂肪酸とも呼ばれており、体内で合成することができない必須脂肪酸の一つです。
脳の若さを保つうえで重要な働きをしている成分として知られ、赤ちゃん用の粉ミルクにも配合されています。最近では、普通のミルクで育ったグループと比較すると、授乳期にアラキドン酸(ARA)が配合された粉ミルクを与えることで、記憶や問題の解決力、言語能力が高くなる可能性があるといわれています。
アメリカの研究では、赤ちゃんの精神面での成長にも良い影響を与えることがわかっています。
アラキドン酸(ARA)の効果が世界的にも認められたことから、アメリカではアラキドン酸(ARA)が配合された粉ミルクがスタンダードになりつつあるようです。
このように赤ちゃんの成長に良い働きをするアラキドン酸(ARA)は、脳だけでなく血液や皮膚、母乳などさまざまなところに存在しています。そのほかには、血圧を下げたりするなどの働きがあることも特徴です。
しかしアラキドン酸(ARA)などの必須脂肪酸は、熱や光、空気により酸化しやすく人体に有害な過酸化脂質に変化しやすいため注意しなければなりません。
2.アラキドン酸(ARA)を含む食品
アラキドン酸(ARA)は、次の食品に多く含まれています。
食品名 |
100gあたりの成分量 |
乾燥卵黄 |
1,100mg |
乾燥全卵 |
700mg |
豚肉、スモークレバー |
670mg |
あんこう、きも |
660mg |
卵黄(生) |
520mg |
ぼら、からすみ |
470mg |
卵黄(ゆで) |
510mg |
まさばの水煮 |
220mg |
いわしの蒲焼き(缶詰) |
210mg |
ぶり(焼き) |
180mg |
参照:文部科学省 食品成分データベース「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
アラキドン酸(ARA)は加齢により減少するといわれているため、特に高齢者の方は食事から積極的に摂取するようにしましょう。
3.アラキドン酸(ARA)が摂れるおすすめレシピ
アラキドン酸(ARA)は卵やさば、ぶりなどに多く含まれています。これらの食品をうまく活用してアラキドン酸(ARA)を摂取していきましょう。
3-1.わかめ入りだし巻き玉子のニラあんかけ
【材料(2人分)】
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・卵 4個
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・乾燥わかめ 2g
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・ニラ 1/2束
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・だし汁 大さじ2
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・酒 大さじ1
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・塩 少々
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・しょうゆ 少々
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☆水 1カップ
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☆酒 小さじ1
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☆中華スープの素 小さじ1
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☆オイスターソース 小さじ1
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・片栗粉 小さじ1
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・サラダ油 少々
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・白ごま 少々
【作り方】
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1. 卵をボウルに入れて溶きほぐす。乾燥わかめは水に戻して切っておく。ニラは1cmの長さに切る。
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2. 卵にわかめ、だし汁、酒、塩、しょうゆを入れて混ぜる。サラダ油を引いた玉子焼き器で玉子焼きを作る。
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3. 鍋に☆の材料を入れ、煮立ったらニラを加える。ニラに火が通ったら片栗粉を入れてとろみをつける。
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4. 玉子焼きに3のあんをかけて白ごまをふり、完成。
3-2.さば缶とトマトのパスタ
【材料(2人分)】
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・さばの水煮缶 1缶
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・トマト 1個
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・玉ねぎ 1/2個
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・にんにく 1/2片
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・ショートパスタ 120g
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・塩 適量
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・オリーブ油 大さじ1
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・こしょう 適量
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・パセリのみじん切り 適量
【作り方】
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1. トマトは湯むきをし、種を取り除いて1cm角に切る。玉ねぎとにんにくはみじん切りにしておく。
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2. お湯をわかして塩を加え、ショートパスタを規定の時間茹でる。
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3. フライパンににんにくとオリーブ油を入れて中火にかけ、にんにくの香りが立ってきたら玉ねぎを入れて炒める。
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4. 玉ねぎの色が透きとおってきたら、トマト、軽く汁気を切ったさばの水煮缶を加えて炒め、そこへショートパスタの煮汁を適量加えてソースを作る。塩、こしょうで味を調える。
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5. 4で作ったソースに茹でたショートパスタを加えて絡める。
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6. お皿に盛り、パセリを散らして完成。
アラキドン酸(ARA)を積極的に摂取しよう
アラキドン酸(ARA)は、脳の活動と大きく関わりのある成分です。n-6系の多価不飽和脂肪酸で、別名オメガ脂肪酸とも呼ばれています。
赤ちゃんの記憶や言語能力の発達にも深い関係があることから、粉ミルクにも添加されている成分で、血圧を下げるなどの働きもあります。
アラキドン酸(ARA)を多く含む食品としては、卵黄やまさばの水煮、ぶりなどが代表的です。それらを使用した料理である「わかめ入りだし巻き玉子のニラあんかけ」や「さば缶とトマトのパスタ」などは手軽にアラキドン酸(ARA)を摂取できます。
アラキドン酸(ARA)は加齢により減少していくため、食事を通して摂取するよう心がけましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。