【防衛体力/免疫力】抵抗力が低下するとどうなる?
対策方法と併せて解説

最近、疲れやすく風邪をひきやすいと感じることはありませんか?もしかすると抵抗力の低下が関係しているかもしれません。

そこで今回は、抵抗力が低下する原因や、抵抗力の低下を防ぐための方法を解説します。

しっかりと対策して、いつまでも元気に過ごせる体作りを意識しましょう。

1.そもそも抵抗力とは?

抵抗力とは防衛体力の一つで、病原体などの感染源に打ち勝つために必要な体力や免疫力を指します。
防衛体力とは、私たちの体に備わる3つの機能により外からの病原体やストレスなどに耐えて、健康維持しようとする自動調節能力です。

3つの機能とは、以下「恒常性」「適応性」「免疫力」をいいます。

  • • 恒常性:外部環境の変化に左右されず内部環境を常に一定に維持しようとする能力
     (ホメオスタシスともいう)

  • • 適応性:外界からの刺激に対してしなやかに適応する能力

  • • 免疫力:いろんな病原菌に対する抵抗力

感染源がさまざまな感染経路から人の体内へ侵入することで、感染症は成立します。

抵抗力とは病原体などの感染を防御する体力や免疫力のことです。私たちの体には、「免疫」という自分を病原体から守る仕組みが備わっています。体内に病原体が入ってくると白血球の一種が攻撃するのは、免疫による働きです。

2.抵抗力が低下するとどうなる?

病気やストレスに対する防衛体力として、抵抗力や免疫力があります。
人の免疫力は20代をピークに低下していくとされています。
免疫力や抵抗力が低下すると、以下のようなさまざまな症状が出やすくなるでしょう。

  • • 風邪をひきやすい

  • • 口内炎ができやすい

  • • アレルギー症状が悪化

  • • 肌が荒れやすい

  • • 下痢をしやすい

  • • 疲れやすい

その他、肺炎など生命に関わる病気を発症するリスクも高まる可能性もあります。

3.抵抗力の低下を防ぐ方法

抵抗力などの防衛体力が低下しないために、日頃からどのようなことに気をつけるべきでしょうか。
ここでは、抵抗力の低下を防ぐための2つの予防法を紹介します。

3-1.体力を高める

体力とは「人間として生存し、生活し続けるための基礎的能力」と定義されます。

体力は大きく「行動体力」と「防衛体力」の2つに分類できます。行動体力は実際に体を動かして行動する身体的能力のことを指し、防衛体力は病気やストレス、環境に適応するための免疫力や抵抗力などの能力をいいます。

抵抗力などの防衛体力を高めるためには、行動体力を高めることも大切です。

行動体力は、さらに以下の3つに分けられます。

  • • 行動を起こす能力
    行動を起こす能力とは、筋力や垂直跳び、立ち幅跳びなどの瞬発力のこと

  • • 行動を持続する能力
    筋持久力や全身持久力のこと。全身持久力は、呼吸や血液循環など酸素運搬機能が関わり、健康にとって重要な能力

  • • 行動を調節する能力
    運動の目的に合わせて、体の動きを調節する能力

「スポーツ・運動を始めてから風邪をひかなくなった」といわれるように、防衛体力とスポーツ・運動との補完関係は、最近の研究により明らかになってきています。

トレーニングの効果で白血球機能が修飾を受けることからもわかるように、適度な運動によって免疫力を高めることが期待できるでしょう。

ただし、体力に見合わない程の強すぎる運動やオーバートレーニング症候群といわれる状態になると、免疫力が低下することがわかってきました。何ごとも、ほどほどが大切です。

3-2.免疫力を高める

免疫力を高めるには、まず生活の基本となる食事・運動・休息をしっかりと整えていくことが大切です。 免疫力を高めるには、以下3つのポイントがあります。

  • 栄養バランスの良い食事

    免疫力を高めるために、バランスの良い食事を心がけるとよいでしょう。
    腸には、体内の免疫細胞の60~70%が集まっているため、腸内環境を整えることで免疫力を高められます。

    腸内環境を整えるためのおすすめの食事は、発酵食品や食物繊維を摂ることです。腸内の善玉菌を増やし、免疫細胞を活性化しやすくなります。
    エネルギー源となるご飯類に加え、納豆やヨーグルト、チーズ、麹などを一日1品取り入れましょう。

    また、野菜類は食物繊維が豊富です。抗酸化作用のある「ビタミンA・C・E」も豊富で、ウイルスに侵入を防ぐ粘膜を丈夫にしてくれます。

    たんぱく質も免疫物質の材料となるため、しっかり摂ることをおすすめします。
    筋肉や血液、臓器の材料でもあるため、不足すると免疫力だけでなく体力も落ちてしまいます。肉や魚、卵、大豆などを毎食1品摂取し、バランスの良い食事を取ることを意識しましょう。

  • 体温を上げる

    免疫細胞の一つに「NK細胞」があります。NK細胞は体温が36.5度以上だと活発に働き、感染症になりにくいといわれています。

    実は、「体温が1度下がると免疫力が30%も下がる」とされているため、日頃から体を冷やさない工夫や、体温を上げる生活を心がけるとよいでしょう。

    体温を上げるには、筋肉をつけること、湯船につかって体の芯まで温めること、季節に関係なく体が冷えない服装をすることが挙げられます。

  • 短時間で免疫力を上げるには

    短時間で免疫力を上げるには、次のようなことを意識するとよいでしょう。

    • ・笑う

    • ・音楽を聴く・歌う

    • ・自分が心地良いことをする

    • ・十分な睡眠

    できることから少しずつ試していくことが大切です。

抵抗力を高め、健康的に楽しい毎日へ

抵抗力とは防衛体力の一つで、病原体などの感染源に打ち勝つために必要な体力や免疫力のことです。

抵抗力低下を予防するには、体力を高めること、免疫力を高めることがポイントとなります。

適度な運動やバランスの良い食事、体温を上げることを日頃から意識し、感染症に負けない体作りを目指しましょう。また、音楽を聴いたり歌ったりしながら、十分な睡眠を取って、笑顔で心地良く過ごすことも大切です。

できることから少しずつ試すことで、抵抗力を高めていきましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。