高血圧と鼻血の関係性とは?鼻血の予防方法を解説

鼻血が出たり、出血後になかなか止まらなかったりして、驚いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

鼻血は小鼻の内側付近にある粘膜からの出血によるものであることが多く、誰にでも起こりうる一般的なことといえます。ただし、鼻血の原因が高血圧による場合もあるので、その際は注意する必要があります。

今回は高血圧と鼻血との関連性や、高血圧以外で鼻血が出る原因、対策方法などを解説します。

1.高血圧とは?

日本高血圧学会の「高血圧ガイドライン2019」によると、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合が高血圧とされています。

日本人の生活習慣病による死亡の背景として、高血圧は喫煙と並んで最大のリスクファクターであるといわれています。高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧があり、二次性高血圧は甲状腺、副腎疾患や睡眠時無呼吸症候群などによって引き起こされる高血圧のことです。

一方、基礎疾患によるものではない高血圧が本態性高血圧であり、日本人の高血圧患者の大部分は本態性高血圧です。

2.高血圧と鼻血の関係性

高血圧の方は、血管にかかる圧力が高くなるため、鼻血が出やすくなる傾向にあります。

鼻血における出血箇所の多くは、鼻の穴に指を入れるとちょうど触れるくらいの位置である「キーゼルバッハ部位」という場所です。高血圧による鼻血も、大半はキーゼルバッハ部位の粘膜からの出血だとされています。

キーゼルバッハ部位には微細な血管が網の目状に存在しており、指で掻いたりして傷がつくと鼻血が出ます。鼻血が出たときは、小鼻をつまんでキーゼルバッハ部位を圧迫し、止血しましょう。

なお、高血圧の場合に大量の出血が喉で起こるケースも知られています。これは、鼻よりも奥にある動脈が破れて起こるケースもあり、緊急処置を要する状況です。

3.高血圧以外の鼻血の原因

高血圧以外でも、風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻に炎症が起こると、鼻の粘膜が充血して鼻血を生じやすくなります。

鼻づまりの不快感から鼻をほじってしまったり、強く鼻をかんでしまったりすると、鼻の粘膜を傷つける原因となるので注意しましょう。

それ以外にも、腎臓病や肝臓病、血液の病気などが背景となって鼻血が出やすくなるケースが見られます。

繰り返し鼻血が出たり、青あざなど内出血が多発するなど、鼻血以外の不調も気になったりしている場合は、何かしらの病気が原因の可能性もあるため、医師に相談してみましょう。

4.高血圧での鼻血を予防するための対策方法

鼻血が気になり、血圧も高めという方は次のような高血圧対策を始めてみましょう。

4-1.有酸素運動

運動不足は高血圧と密接に関わることがわかっているため、習慣的に運動をしたり、速足で歩く時間を増やしたりするなど、積極的に体を動かしましょう。

有酸素運動は特におすすめで、軽いジョギングや水中運動、自転車やウォーキングなどを継続的に行ないます。できるだけ毎日、30分以上または10分以上の運動を合計して一日30分以上になるようにするのが理想です。

なお、運動をする前には準備運動を十分に行なってください。

また、事前にメディカルチェックを受けて体に問題がないことも確認し、自分の基礎体力や健康状態などに合わせた運動量を設定するようにします。

4-2.食生活の改善

高血圧を改善するためには、塩分を摂りすぎないよう注意することが重要です。野菜や果物を積極的に摂取し、コレステロールを多く含む食品は摂りすぎないようにします。

適性体重を維持するためにはBMI数値が指標になります。BMI数値は、体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}の式で計算でき、BMI値が25未満となるように適正体重を維持する食生活を心がけましょう。

4-3.その他の生活習慣を改善する

高血圧は、ストレスによってもそのリスクを高めることが知られています。そのため、ストレス解消は高血圧対策としても有用です。

また、タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、高血圧につながることが指摘されています。喫煙している方は、禁煙を心掛け、一人で禁煙することが難しい場合は、禁煙外来など医療機関の受診も考慮してみましょう。

鼻血が気になる方はぜひ高血圧対策をしていきましょう

鼻血が出る原因にはアレルギー性鼻炎や風邪などさまざまなものがありますが、高血圧によって鼻血が出やすくなる場合もあり注意が必要です。

高血圧は運動不足や不適切な食生活、喫煙、ストレスなどによって悪化することが知られているため、基本の生活習慣を見直して高血圧対策をしていきましょう。

鼻血を繰り返す場合には、医療機関へ相談することも大切です。食事や運動などの生活習慣と、適切な受診によって健やかな暮らしを送りましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。