ビタミンB6が不足するとリスクが高まる症状やおすすめのレシピを紹介

健康のためにビタミン摂取を心がける方は多いと思いますが、ビタミンB6について詳しい方は多くないでしょう。

この記事ではビタミンB6の栄養素を解説します。また、不足するとどのような症状が現れるのか、摂取量の目安やビタミンB6を含む食材を使ったレシピについても紹介します。

1.ビタミンB6の概要

まずビタミンB6とはどのような栄養素なのか、体内でどのように働いているのかを説明します。

1-1.ビタミンB6が体に与える働き

ビタミンB6は多くの酵素に対する補酵素です。炭水化物、脂質、神経伝達物質の代謝・ホルモン調節・免疫力の維持などに関与しており、特にアミノ酸の代謝に深く関与しています。

タンパク質を産生し、健やかな髪・皮膚・歯を作ったり、成長を促進したりするなどの働きがあります。

2.ビタミンB6が不足するとリスクが高まる症状

ビタミンB6は免疫系に関与しているほか、明確ではないものの神経系にも関係していると考えられています。そのため、ビタミンB6の不足は、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角炎、白血球の減少、錯乱、脳波異常、痙攣発作などが起こる原因となりえます。

また、ビタミンB6の不足が起こる場合は、他のビタミンも不足しているケースが多いでしょう。ビタミンB6のみが不足することは少ないといえます。

3.一日のビタミンB6摂取目安量

ビタミンB6の摂取目安量および推奨量、上限量は年代別に以下のとおりです。

<ビタミンB6の食事摂取基準(mg/日)>

性別 男性 女性
年齢等 推奨量 目安量 耐容上限量 推奨量 目安量 耐容上限量
0~5(月) 0.2 0.2
6~11(月) 0.3 0.3
1~2(歳) 0.5 10 0.5 10
3~5(歳) 0.6 15 0.6 15
6~7(歳) 0.8 20 0.7 20
8~9(歳) 0.9 25 0.9 25
10~11(歳) 1.1 30 1.1 30
12~14(歳) 1.4 40 1.3 40
15~17(歳) 1.5 50 1.3 45
18~29(歳) 1.4 55 1.1 45
30~49(歳) 1.4 60 1.1 45
50~64(歳) 1.4 55 1.1 45
65~74(歳) 1.4 50 1.1 40
75以上(歳) 1.4 50 1.1 40
妊婦(付加量) +0.2
授乳婦(付加量) +0.3


※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
※上限量:ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量

引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)

グラム単位の過剰摂取を数カ月続けると、感覚神経や末梢感覚神経の障害、骨が痛んだり、筋肉がもろくなったりすることがあります。男性の場合は精巣の萎縮や精子数の減少なども起こる可能性がありますので、ビタミンB6には摂取の上限量が設定されています。

4.ビタミンB6を含む食品を摂取できるレシピ

ビタミンB6は幅広い食品に含まれていますが、今回はそのなかから、特に多く含まれている「まぐろ」と「かつお」を使ったレシピを紹介します。

4-1.まぐろとアボカドのユッケ風

【材料】2人分

  • ・まぐろ(刺身用) 120g

  • ・アボカド 1/2個

  • ・卵黄 2個

  • ・白ごま 適量

(A)

  • ・味噌 大さじ1

  • ・はちみつ 大さじ2/3

  • ・ごま油 大さじ1

  • ・豆板醤 小さじ2

【作り方】

  • 1. まぐろは8mm角の大きさに切ります。アボカドは種と皮を取ったらまぐろより少し小さめに切ります。

  • 2. (A)の調味料を混ぜ合わせたら、1とあえます。

  • 3. 中央をくぼませるように2をお皿に盛り付けたら、そこに卵黄を載せて白ごまを散らします。

アレンジとして、韓国のりや大葉で包んで食べるのもよいでしょう。

4-2.かつおのカルパッチョ

【材料】2人分

  • ・かつお(刺身用) 200g

  • ・イタリアンパセリ 1枝

  • ・にんにく 1片

  • ・オリーブ油 大さじ2

  • ・レモン汁 大さじ1

  • ・粉チーズ 大さじ1

  • ・薄口しょうゆ 小さじ1

  • ・塩 少々

  • ・こしょう 少々

【作り方】

  • 1. にんにくは皮をむいて薄切りにします。イタリアンパセリは葉だけを摘んでおきます。

  • 2. フライパンにオリーブ油とにんにくを入れて弱火にかけます。焦がさないようにキツネ色になるまで炒め、カリッとしたらペーパータオルに取り出して油を切っておきます。オリーブ油はにんにくの香りが移っているか確認したら、ボウルに移して冷まします。

  • 3. かつおは3~5mm幅のそぎ切りにしたらお皿に並べます。そこに1のイタリアンパセリと、2のにんにくを散らします。

  • 4. 2のオリーブ油が冷めたら、レモン汁・粉チーズ・しょうゆ・塩・こしょうを入れて混ぜ合わせ、3に回しかけます。

2のオリーブオイルをしっかり冷まさないと、4でかける粉チーズが溶けて見栄えや味が悪くなってしまうため、注意が必要です。

ビタミンB6不足にならないようにバランスの取れた食事を意識しましょう

ビタミンB6の働きや、不足するとリスクが高まる症状、摂取量の目安、ビタミンB6を摂取できるレシピについて紹介しました。

ビタミンB6は体内のアミノ酸や脂質などの代謝や免疫系の維持、ホルモン調節などさまざまな反応に関与しており、不足すると皮膚炎や舌炎などのリスクが高まります。

食品ではまぐろやかつおをはじめ、肉類、種実類、穀類などにも含まれていますので、普段から不足しないようにバランスの良い食事を心がけましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。