糖尿病を発症すると足のむくみがあらわれる?解消法を詳しく解説

糖尿病であらわれる症状の一つに、足のむくみがあります。足がむくむと、だるさや重さを感じるなど生活のなかで不快に感じることがあるかもしれません。

今回の記事では、糖尿病の2つのタイプと、むくみを解消する運動、食事のポイントを解説します。

1.糖尿病には大きく分けて2つのタイプがある

糖尿病は、すい臓から出るインスリンと呼ばれるホルモンの分泌量が低下したり、働きが弱くなったりすることで起こります。その結果、血液中のブドウ糖が過剰に増加する病気です。

糖尿病は、大きく分けると2つのタイプがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

1-1.1型糖尿病

インスリン依存型とも呼ばれる1型糖尿病は、すい臓からのインスリンの分泌量が低下することで、高血糖となる糖尿病です。自身の免疫がインスリンを分泌するβ細胞を攻撃・破壊することが原因の一つとされています。インスリンの分泌量が低下しているため、治療にはインスリン注射が必須です。

糖尿病患者全体のおよそ5%が1型糖尿病とされ、特に若者の発症が多く報告されています。1型糖尿病の発症は細身の方が多く、症状が急に起こり始めるパターンが多いのが特徴です。

1-2.2型糖尿病

インスリン非依存型とも呼ばれる2型糖尿病は、インスリンが効きにくい状態になったり、分泌量が低下したりして高血糖となる糖尿病です。暴飲暴食や運動不足などの生活習慣、遺伝が発症に大きく関わっているとされています。

糖尿病患者の多くは2型糖尿病とされ、特に中高年での発症が多いようです。ふくよかな体型の方に多く見られますが、体質が影響するため細身の方でも2型糖尿病になることがあります。

2.糖尿病を発症するとあらわれるおもな症状

1型糖尿病と2型糖尿病の初期では、特に自覚症状がありませんが、病気が進行すると徐々に次のような症状があらわれ始めます。

  • 足のむくみ

  • 喉の渇き

  • 水を飲む回数が増える

  • 頻繁にトイレに行く

  • すぐに疲れる

  • 体重減少


    糖尿病になると、正常範囲だった血糖値が徐々に高くなっていくケースが多いようです。これらの症状に気が付いたときには、かなり症状が進行している状態かもしれません。糖尿病の早期発見のためにも、健康診断などを定期的に受けることが大切です。

3.糖尿病による足のむくみを解消させる方法

ここでは、糖尿病による足のむくみ改善に効果的な運動と、食事のポイントを紹介します。

3-1.ウォーキングやレジスタンス運動

足の筋肉には、血液を心臓に向かって送り出すポンプのような役割があるため、運動で筋肉を動かすと足のむくみ解消に役立ちます。おすすめの運動として挙げられるのは、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせです。

有酸素運動としてウォーキングを行なう場合は、一日8000歩を目安にするとよいでしょう。運動する時間が取れない方は、バス停を1つ手前で降りて歩いたり、エスカレーターではなく階段を利用したりと、生活のなかに体を動かす機会を取り入れてみてください。

筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動は、筋肉量を増やして筋力を上げ、インスリンの働きを高めることにつながります。今回は、足裏の筋肉に効果的な運動を紹介します。

  • 1.  椅子に腰かけて、足元にタオルを置きます。

  • 2.  足の指を使って、タオルを少しずつたぐり寄せます。膝を動かさず、かかとを床につけたまま行なうのがポイントです。

3-2.食生活の改善

食生活を見直しも、足のむくみ改善につなげられます。塩分の取り過ぎはむくみが起こる原因の一つのため、塩分控えめの食事を心がけましょう。

塩分摂取の目安は、男性で一日7.5g未満、女性で一日6.5g未満です。高血圧や腎症の合併症がある場合は、一日6g未満を目指してください。

糖尿病による足のむくみは生活習慣を改善して対策しましょう

糖尿病は、すい臓から出るインスリン分泌量の低下や、働きが弱くなることで起こる病気です。

症状の一つである足のむくみを解消するには、有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせた運動習慣を身につけましょう。また、塩分を控えた食事を心がけることも大切です。

糖尿病によるむくみを改善できるよう、今回紹介した内容を生活に取り入れてみてください。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。