ナトリウムとは?おもな働きと一日摂取量の目安、多く含む食品を解説

人間の生命維持に欠かせない成分の一つにナトリウムがあります。ナトリウムが不足すると、体の機能を正常に機能させることができません。一方で、摂り過ぎると高血圧などを招くおそれがあるため、適量を摂取する必要があります。

今回の記事では、ナトリウムの体内での働きを解説し、一日の摂取目安量やナトリウムを多く含む食品についてご紹介します。

1.ナトリウムとは

ナトリウム(Na)とはアルカリ金属元素の一つであり、人体におよそ100g含まれている物質です。人が生きていくために欠かせない必須ミネラルでもあり、おもに食事の際の食塩から摂取されます。

食塩などの形で体内に入ったナトリウムは、小腸から吸収されて胆汁や膵液、腸液などの材料となります。

2.ナトリウムのおもな働き

ナトリウムは体内では食塩、重炭酸塩またはリン酸塩として存在します。体内のナトリウムのうち、およそ50%は細胞外液に、40%は骨に含まれ、あとは細胞内液などにわずかに含まれています。それらが細胞外液の浸透圧を調節し、細胞外液の量を調節しています。

また、ナトリウムイオンとして、神経伝達や筋肉の収縮、栄養素の吸収や体中への運搬にも関わっています。さらに、細胞外液や血液の量を調節することで血圧を適切に保つのもナトリウムの働きによるものです。

このように生きていくために必要なナトリウムですが、摂り過ぎるとむくみだけでなく、高血圧などのリスクを高めることにつながりかねません。健康のためには、適切な量のナトリウムを摂取することが大切です。

3.ナトリウムの一日摂取量の目安

日本では昔から、塩やしょうゆ、みそといったナトリウムを多く含む調味料を使用してきました。そのため、知らないうちにナトリウムを摂り過ぎないよう、食事の際は気を付けましょう。

厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ナトリウムの一日の目標量は、食塩相当量として男性7.5g未満、女性では6.5g未満です。しかし、高血圧などを予防するためには男女とも一日6.0g未満が望ましいとされています。

通常の食生活を行なっていれば、ナトリウムが不足することはありません。ただし、大量の汗をかいたり、激しい下痢になったりすると電解質が失われナトリウムが少なくなります。結果として、食欲不振や血液濃縮、疲れが消えないなどの症状を引き起こすことがあります。このような場合は、適切な量のナトリウムを摂取して体調を維持しましょう。

4.ナトリウムを多く含む食品

ナトリウムを多く含むおもな食品には次のようなものがあります。

食品名 100g中のナトリウム含有量
食塩 39,000mg
カットわかめ(乾) 9,300mg
梅干し 7,600mg
こいくちしょうゆ 5,700mg
米みそ(だし入りみそ) 4,700mg

塩やしょうゆ、みそなどの調味料やハム、ウインナー、インスタントラーメンなどの加工食品、汁物、漬物などにナトリウムが多く含まれています。特に汁物をとる際は、具をたくさん入れて汁をすべて飲み干さないようにしましょう。

一方、カリウムにはナトリウムを体の外に排出する作用があります。食事の際には野菜や果物などカリウムを豊富に含む食品を併せて摂るのもよいでしょう。適量のナトリウムの摂取は健康な生活に役立ちます。濃い味付けが好きな方は、食事内容を見直して、ナトリウム摂取量を意識した食生活を心がけましょう。

元気な生活のためには適量のナトリウムを摂取しよう

ナトリウムは必須ミネラルの一種で、人間が生きるために欠かせない成分です。しかし、ナトリウムの過剰摂取は高血圧などの発症リスクとなります。

健康を維持するためには、ナトリウムの摂取量を男性は7.5g未満、女性は6.5g未満にとどめましょう。ナトリウムはみそやしょうゆなどの調味料をはじめ、加工食品や汁物に多く含まれています。ナトリウムの摂取を少なくするためには、これらの食品の摂り過ぎに注意が必要です。

元気な生活を続けるためにも、適切な量のナトリウム摂取を心がけましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。