下痢が続く原因はストレス?
ストレス以外で考えられる原因や予防方法を紹介

下痢が続いて困ったことがあるという人は少なくないでしょう。

下痢について、医学的に明確な定義はありません。やわらかい便が一日に何度も排泄されたり、水っぽい状態の便が続いたりすると「下痢」と判断されます。

下痢が起きる要因にはさまざまなものがありますが、なかには重大な病気が隠れている場合もあるのです。

そこで今回は、下痢の原因や予防方法について解説します。

1.下痢が続く原因はストレス?

病院で検査を受けた結果、腸には問題がないものの、下痢や便秘、腹痛などを慢性的に起こることがあります。これは「過敏性腸症候群」によるもので、ストレスをはじめとする心理的な要素が要因となる便通異常です。

心理的要素が要因のため、「通勤電車に乗ると腹痛が必ず起こっておなかを下してしまう」というように、ストレスがかかると症状が現れます。腸の動きによって現れる症状が変わり、ストレスで腸の動きが速くなると下痢、反対に動きが悪くなると便秘となるのです。

しかしストレスといっても、その要因は1つだけではありません。過敏性腸症候群を引き起こしやすいのは、緊張・不安・抑うつなどによるストレスとされています。

2.ストレス以外で考えられる下痢の原因

ストレス以外でも、下痢の原因として考えられる要素がいくつかあります。おもな要因として考えられるのは、以下の3つです。

2-1.感染症

下痢には、細菌やウイルスの感染によって引き起こされるものがあります。例えば、ノロウイルス感染症です。

ノロウイルス感染症は冬場に発生しやすく、症状として下痢のほかに吐き気や嘔吐もみられるのが特徴です。子どもの場合は嘔吐症状が多く、成人の場合は下痢症状が多い傾向にあるとされています。

これらの症状は一日に数回、ひどい場合には10回以上みられますが、症状が続くのは平均1~2日と短めです。とはいえノロウイルス感染症に対する特効薬はないため、症状が出ているうちは脱水状態にならないよう対処しましょう。

2-2.薬

薬が原因となって起こる下痢もあります。これは、治療のために抗菌薬など薬を服用した結果、腸の粘膜が傷付いたり、炎症を起こしたりすることで引き起こされます。

薬が原因の場合は、薬を服用してから1~2週間以内に起こるのが一般的です。ただし、体調や薬の種類次第では、服用から1~2カ月後に下痢になるケースもあるため、何らかの薬を服用している場合は注意しましょう。

2-3.生活習慣の乱れ

下痢は、生活習慣の乱れが原因となっているものも少なくありません。

下痢は、症状が続く期間によって大きく2種類に分けられ、症状が1週間以内程度で落ち着く「急性下痢」と、症状が1カ月以上続く「慢性下痢」があります。このうち、生活習慣の乱れが多くの原因とされているのが、急性下痢です。

急性下痢は、暴飲暴食や刺激物の摂り過ぎといった、生活習慣の乱れが原因とされているので注意しましょう。

3.下痢が続く場合のケアと予防方法

急性下痢の場合は、生活習慣の乱れが要因となっていることが少なくありません。やわらかい便が続いたら、おなかを冷やさないようにすること、食べすぎや飲みすぎを控えることが大切です。また、辛い食べ物や刺激になる食べ物、脂っこい食事を控え、冷たいものは摂りすぎないように注意しましょう。

下痢症状が続いているときには、下痢によって体内の水分だけでなく、カリウムやナトリウムなどのミネラルも失ってしまい、脱水によるショックを起こしやすい状態にあります。脱水を引き起こさないように、水分補給を行ないましょう。脱水状態は、皮膚や口の中が乾いている感じがするかどうかで判断できます。

下痢は、ストレスなどの心理的要素が原因となることもあるため、ストレスもうまく発散しましょう。睡眠を十分に取り適度な運動を習慣付けることは、ストレス解消だけでなく、腸の働きを整えるうえでも役立ちます。

その他に、下痢の要因が細菌やウイルスへの感染だったり、重大な病気が隠れていたりするパターンもあります。症状が良くならない場合は、医療機関へ相談しましょう。

下痢が続くときは生活習慣の見直しを

下痢の原因には、ストレスや感染症、薬の影響などがありますが、急性下痢の場合は生活習慣の乱れによるものが多いとされています。

おなかの調子が良くないと感じたら、暴飲暴食は避け、おなかを冷やさないようにして安静にしましょう。また、刺激物や脂っこい食事、冷たいものもなるべく避けるのがおすすめです。

下痢の症状が続くときには何らかの病気が潜んでいることもあるため、無理せず医療機関へ相談しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。