1.炭水化物の種類
炭水化物は炭素と水素の化合物であり、タンパク質や脂質とともに、エネルギー源になりうる栄養素です。炭水化物は、大きく「糖質」と「食物繊維」の2種類に分けられます。
糖質とは、食品から摂取されると、体内で消化・吸収を受けてエネルギー源になる物質で、分子構造によって単糖類、少糖類、多糖類に分けられます。
糖質を十分に摂取しないと、集中力が低下したり疲労感が生じたりします。特に脳や神経で、糖質の一種であるブドウ糖が欠乏すると、意識障害につながることもあるので危険です。一方で、糖質が過剰になると中性脂肪として貯蔵され、生活習慣病や肥満を引き起こします。
なお、食物繊維は食べても消化吸収できない炭水化物です。エネルギー源として活用はできませんが、便秘の予防などには効果があります。
2.【種類別】炭水化物の特徴
ここでは、炭水化物の特徴を単糖類、少糖類、多糖類に分けて説明します。
2-1.単糖類
単糖類とは、1つの単糖から構成されている炭水化物で、それ以上は細かく分解ができません。単糖類には、ガラクトースやブドウ糖、果糖が含まれます。
体内の酵素によって消化可能な炭水化物を「易消化性炭水化物」と呼びますが、単糖類はこの易消化性炭水化物の一種です。易消化性炭水化物は重要なエネルギー源であり、1gあたり4kcalのエネルギーを産生します。
2-2.少糖類
少糖類とは、単糖が2つ以上結合している糖類で、後述する多糖類と比較すると分子量は多くありません。少糖類も易消化性炭水化物の一種であり、大切なエネルギー源です。
単糖が2つ結合したものを二糖類と呼び、二糖類はブドウ糖と果糖が結合したショ糖、ブドウ糖2個から成る麦芽糖、ガラクトースとブドウ糖でできた乳糖などに分類されます。
ショ糖はスクロースとも呼ばれますが、一般的な調味料の砂糖のことです。乳糖は牛乳に含まれる糖質を指します。牛乳を飲むと下痢を起こす症状を「乳糖不耐症」と呼びますが、これは乳糖の分解酵素が足りていないことが原因です。
オリゴ糖は単糖が2~10個ほど結合したものといわれていますが、はっきりとした定義はありません。そのため、単糖が3つ以上結合したものをオリゴ糖と呼ぶケースが一般的です。
オリゴ糖として代表的なものには、ガラクトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖などが挙げられます。オリゴ糖には整腸作用や腸内の善玉菌を増やす効果があり、特定保健用食品に認められているものもあります。
2-3.多糖類
多糖類とは、結合する単糖の数がおおむね10個以上の糖類のことです。単糖類や少糖類に比べると、消化や分解に時間がかかるのが多糖類の特徴でもあります。
多糖類は、消化性多糖類と難消化性多糖類に分けられ、消化性多糖類にはエネルギー源として代表的なでんぷんやグリコーゲンなどが含まれます。
難消化性糖類は、食物繊維とほぼ同義です。こんにゃくに豊富なグルコマンナンや寒天のアガロース、果物に多いペクチンはそれぞれ食物繊維で、多糖類に該当します。食物繊維には、整腸作用や血糖値の上昇を抑える作用などがあるため積極的に摂取したい成分です。
適度に炭水化物を摂取する習慣をつけましょう
炭水化物は、糖質と食物繊維に大きく分けられます。エネルギー源となる糖質は、分子構造によって単糖類・少糖類・多糖類に分けられ、それぞれ消化されやすさなどの性質が異なります。
食物繊維は多糖類に含まれる炭水化物で、エネルギーにはならないものの整腸作用や血糖値の上昇抑制作用などを有する重要な物質です。
いずれの炭水化物も健康を支える大切な栄養素なので、適切に摂取していきましょう。
監修者情報
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医