60代の更年期障害のおもな症状とは?
更年期障害の対策方法について解説

更年期障害は、40代頃からみられる症状です。女性に起こるイメージが強いかもしれませんが、実は更年期障害になる男性も少なくありません。

その症状は一定ではなく、加齢にともなって性ホルモンの分泌量が減少することにより、変化する傾向にあります。

それでは、60代頃ではどのような症状が現れるのでしょうか。今回は更年期障害のおもな症状や、つらい症状をやわらげるための対策方法について解説します。

1.更年期の期間

更年期とは、女性の場合だと閉経前の約5年と、閉経後の約5年という約10年間のことです。人により異なりますが、閉経の平均年齢は50.5歳とされ、44~55歳くらいが更年期に該当します。

ただし、30代で閉経を迎える方もいるため、必ずしも更年期がこの期間に当てはまるわけではありません。一般的に女性では、50歳前半で更年期障害の症状がピークになることが多いようです。

男性の更年期障害は、男性ホルモンの減少にともなって現れるLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)の一種とされ、50~60歳頃が更年期にあたります。症状の50代後半にピークになることが多いものの、女性よりもホルモン分泌量の減少がゆるやかなため、更年期障害を自覚しないまま過ごしている男性も少なくありません。

2.60代の更年期障害のおもな症状

更年期障害になるとさまざまな症状が起こります。どの症状がどの程度出るかは人によって異なりますが、以下のものが代表的です。これらの症状は、女性では45~55歳頃、男性では50~60代頃に多くみられます。

<身体的症状>

  • ・のぼせ

  • ・顔のほてり

  • ・発汗

  • ・動悸

  • ・息切れ

  • ・耳鳴り

  • ・頭痛

  • ・めまい

  • ・膀胱炎

  • ・関節痛

  • ・疲労感

  • ・筋力低下

<精神的症状>

  • ・イライラ

  • ・不眠

  • ・憂うつ

  • ・不安感

  • ・神経過敏

女性の場合は、これらの症状に加えて月経異常のほか、トイレが近くなったり尿漏れしやすくなったりなどの症状も現れることがあります。一方、男性の場合は、性欲低下や射精障害、勃起障害などが見られます。身体的症状や精神的症状よりも、性機能症状が見られやすいことが男性更年期障害の特徴です。

先述したように、男性は60代で上記のような症状がみられますが、女性は60代だと閉経から10年ほどが経過し、症状が落ち着いている方が多い傾向にあります。ただし、閉経を迎えると、骨を作る手助けをしているエストロゲンの分泌量が大きく減少するため、骨が脆くなってしまうリスクが上がる点には注意が必要です。

更年期障害の厄介なところは、症状が出ていても老化によるものだと思い込んで更年期障害の存在に気が付きにくい点です。逆に、更年期障害と思っていたら、実は他の病気が原因だったというケースもあります。

正しい治療を早めに開始するためにも、更年期障害がいつ頃から起きるのか、どのような症状が現れるのかを知っておくことが大切です。

3.更年期障害に対策法はある?

更年期障害は、医療機関で治療を受けたり、運動や食事に気を付けたりすることで対処できます。

ある研究によると、3週間にわたり毎日10分のストレッチを行なった女性は、ストレッチを行なわなかった女性よりも更年期障害の症状が軽減されるという結果が出ました。就寝前の運動には寝付きを良くする効果も期待できるため、日々の習慣にしてみるとよいでしょう。栄養バランスの良い食事をとることや、疲れを溜めないようにしっかりと睡眠をとることなども大切です。

症状がつらい場合は、医療機関を受診して薬を処方してもらう方法もあります。更年期障害の治療では、漢方を用いたりホルモンの補充を行なったりするのが一般的です。

60代で更年期障害の症状がつらいときは医療機関で治療をしよう

更年期障害は、性ホルモンの分泌量が減ることによって起こります。身体的にはのぼせ・発汗・動悸・めまいなど、精神的にはイライラ・憂うつ・不安感などが代表的な症状です。なかには、更年期障害になかなか気付かないケース、更年期障害と思っていたら別の疾患が原因だったケースなどもあります。

運動や食事でも症状をやわらげることができますが、原因をしっかり探るためにも、つらいときは我慢せずに医療機関を受診するようにしましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。