目次
1.MCHCとは?
MCHCは平均赤血球ヘモグロビン濃度を指し、赤血球1個あたりの容積に対するヘモグロビン(血色素)の量の比率を%で表したものです。
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCV(平均赤血球容積)とともに、MCHCは赤血球恒数と呼ばれ、血液検査で貧血や多血症の有無を調べるための指標とされています。
健康診断や人間ドックなどで、血液検査を行なうことがあります。その検査結果でMCHCという項目を目にして「MCHCとはどのような指標なのだろう?」と、疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
MCHCは貧血や多血症のような血液の病気を調べる項目の一つであり、MCHCが基準値よりも低いと鉄欠乏性貧血などの可能性が疑われます。
今回はMCHCの詳細や基準値を下回るときの原因、対処法などを解説します。
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MCHCは平均赤血球ヘモグロビン濃度を指し、赤血球1個あたりの容積に対するヘモグロビン(血色素)の量の比率を%で表したものです。
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCV(平均赤血球容積)とともに、MCHCは赤血球恒数と呼ばれ、血液検査で貧血や多血症の有無を調べるための指標とされています。
MCHCの基準値は30~36%です。ただし、基準値は医療機関や健診施設などによって多少の差が出ます。
MCHCが基準値よりも低くなる場合、貧血が起こっている可能性があります。
MCHCが低い人に多いのが、鉄欠乏性貧血です。貧血にはさまざまな種類がありますが、鉄欠乏性貧血は特に多くみられるタイプの貧血です。
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄不足によって赤血球の数が減ってしまい、全身への酸素供給が不十分になる状態のことです。体内の鉄の多くは赤血球のヘモグロビンに存在しているため、鉄の欠乏がヘモグロビンの不足をもたらします。
その他、慢性的な出血が原因で貧血になっている場合には、MCHCが基準値よりも低くなりがちです。
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄不足がおもな原因です。栄養バランスが乱れていたり、無理なダイエットなどで食事の量が少なすぎたりすると、食品中から摂取する鉄が不足してしまいます。
人体からは、代謝の影響を受けて鉄が損失していきます。成人の場合は男性で約1mg、女性で約0.8mg(月経中はさらに0.5mg)の鉄が毎日失われるため、欠乏を防ぐには食事から鉄を補わなければなりません。
また、体内の悪性腫瘍が慢性的な出血の原因となり、鉄欠乏性貧血を起こす場合もあるので注意が必要です。消炎鎮痛剤を長期的に服用することで、副作用による消化管出血が起こるケースも知られています。
日常生活のなかで鉄欠乏性貧血を予防・改善するには、鉄分豊富な食材を積極的に食べることが欠かせません。例えば、かつおやめざし、小松菜、ひじき、豆乳などが鉄を多く含んでいます。
食品中の鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分けられます。これらの鉄は体内での吸収率が異なり、ヘム鉄は非ヘム鉄よりも高い吸収率を持つ点が特徴です。
ヘム鉄は赤身の肉や魚に豊富に含まれ、非ヘム鉄は野菜類に多い傾向があります。動物性食品、植物性食品のどちらかに偏らないよう、バランス良く摂ることは、鉄やその他の栄養素を補ううえで重要です。
なお、鉄は摂取したものがすべて吸収されるわけではなく、そのうちの15%程度しか吸収されません。ビタミンCには鉄の吸収効率を向上させる働きがあるため、緑黄色野菜や果物類などを摂り、ビタミンCも一緒に摂取するのがおすすめです。
食生活の見直しは貧血の予防に効果的ですが、貧血の原因を特定してきちんと診断・治療するには医療機関への受診が欠かせません。血液検査でMCHCなどの数値に異常が見られる場合は、医師に相談して適切な治療を受けましょう。
MCHCは平均赤血球ヘモグロビン濃度と呼ばれる血液検査の一項目であり、貧血の有無を調べることができる指標です。MCV、MCHなどの血液検査項目とともに総合的に判断することで、貧血の種類を区別するのに役立ちます。
MCHCの低値は鉄欠乏性貧血によることが多く、鉄分不足を解消するためには日頃の食生活で、鉄を含む食材を積極的に取り入れることが重要です。
ご自身の検査結果を確認して、食生活を見直すきっかけを作ってみてはいかがでしょうか。
氏名:梅村 将成(うめむら・まさなり)
外科医として地方中核病院に勤務中。
消化器外科のみならず総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療/看取り)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患の診療を行なっている。
資格:医師免許・外科専門医・腹部救急認定医
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