1.なぜお腹にガスが溜まるのか?
お腹の張りや腹鳴り、おならなど、悩まされる症状によって生活に支障を感じている方は少なくありません。このような症状を引き起こす原因には次のようなものがあります。
-
・便秘ぎみになっている
-
・腸内で悪玉菌が優勢になっている
-
・腸の働きが弱まっている
-
・無意識のうちに空気を飲み込んでいる など
慢性的な便秘は、お腹の張りや吐き気、食欲不振といった胃腸トラブルにつながりかねません。また、人間の腸内には善玉菌と悪玉菌が存在し、これらのバランスが崩れるとお腹の不調につながります。増えすぎた悪玉菌はタンパク質を分解し、アンモニアや硫化水素を多く含む臭いおならを発生させる一因です。
その他、空気を飲み込む量もお腹のガスに関係しています。人間は食事や会話をするとき、同時に空気を少量飲み込んでいます。
しかし、早食いや飲み物の一気飲み、早口でしゃべる習慣がある方は空気を多く飲み込みがちです。飲み込んだ空気の多くはゲップとして排出され、一部分は腸内に残ったままになります。このように、お腹にガスが溜まるのは、体調や生活習慣がおおいに関わっているのです。
2.ストレスでお腹にガスが溜まりやすくなる理由
過度の緊張やストレスは便秘をまねき、お腹の不調につながることがあります。腸内の悪玉菌はストレスや便秘によって増えやすいため、腸内環境を整えるにはストレスへの対処が重要です。
また、不安や緊張などのストレスで副交感神経が過剰に刺激されると、腸の働きが乱れることがあります。このような症状はデリケートな性格の方に多く見られます。家庭や職場における人間関係、引越しや転職といった環境変化、過労なども症状を引き起こすきっかけになります。
その他、不安や緊張から歯をかみしめるクセがある方は、より多くの空気を飲み込みがちになる「呑気症(どんきしょう)」を併発することもあります。
3.ガスによるお腹の張りを防ぐ方法
お腹のガスによる膨満感を防ぐには、生活習慣の見直しが効果的です。
お腹にガスが溜まる症状を和らげるには、ストレスへの対策が重要になります。睡眠や休息をしっかりとって、ストレス解消につなげましょう。
ストレス対策のほかにも、腸内環境を整える食生活を心がけましょう。健康的な腸内環境は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢な状態に保たれています。ヨーグルトや発酵食品、オリゴ糖、食物繊維などを積極的に摂取し、善玉菌の割合を増やしましょう。
また、生活のなかで空気を飲み込み過ぎないようにすることも大切です。食事の際は早食いをやめ、ゆっくりよく噛んで少しずつ飲み込みましょう。炭酸飲料や炭水化物を多く含んだ食品は、消化の際に胃腸に負担をかけるため、食べ過ぎに気をつけてください。
運動やマッサージは、腸の動きを促してくれます。無理のない運動で体を動かしたり、お腹に直接刺激を与えるマッサージを行なったりするのもよいでしょう。ぬるめのお湯にゆっくり浸かる半身浴は、お腹をじっくりと温めて腸管の血行促進に役立ちます。
お腹にガスが溜まる方はストレスを解消するようにしましょう
お腹にガスが溜まる理由には、便秘や腸内環境の乱れなどがありますが、ストレスも原因の一つです。
ストレスは自律神経を乱して腸のリズムを乱すほか、悪玉菌を増やし、緊張によって日常生活のなかで飲み込む空気の量を増やします。お腹の調子を整えるためには、生活リズムの改善、ストレスへの対策が大切です。こまめにストレスを解消して、お腹にガスが溜まる症状を和らげましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。