1.血管も老化する
年齢を重ねるように、血管もゆっくりと老化します。
人体の細胞は、分裂を繰り返すことで新陳代謝を維持していますが、分裂できる回数には限界があります。限界に到達して分裂が止まることが、細胞の老化です。
血管の細胞も分裂を繰り返すため、分裂が止まった細胞が増えることで血管が老化しますが、そのことに自分ではほとんど気付きません。老化した血管は弾力やしなやかさを失い、硬くもろくなります。
血管の老化が進行すると、やがて血流が妨げられるようになったり、重大な病気につながったりする可能性があります。血管の老化は全身のどこでも起こりうるため、注意が必要です。
2.血管老化を促進させる原因とは?
血管の老化スピードには、個人差があります。
血管の老化を促進させるおもな原因は、次のとおりです。
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・ 加齢
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・ 糖尿病
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・ 脂質異常症
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・ 高血圧
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・ メタボリックシンドローム
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・ 喫煙
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・ ストレス
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・ 血管の硬化
糖尿病・脂質異常症・高血圧は、不健康な生活習慣により発症しやすい疾患です。また、糖尿病・脂質異常症・高血圧のうち2つ以上の症状があり、内臓脂肪が多い方は、メタボリックシンドロームに該当します。
3.血管老化の進行を遅らせるためにはどうしたらよいのか
生活習慣によっては、実際の年齢よりも血管の老化が進んでしまう可能性があります。血管の老化の進行を遅らせるためには、「食生活の見直し」と「適度な運動」が大切です。
以下では、具体的なポイントを見てみましょう。
3-1.食生活を見直す
食生活を見直す際のポイントは、次のとおりです。
特に、塩分の過剰摂取は、血管に直接的なダメージを与えます。減塩を中心に、バランスの良い食事を心がけましょう。
3-2.適度に運動をする
適度な運動は、肥満の予防・改善につながるほか、全身の血行を改善し、血管の内側にある細胞を活性化させます。活性化された細胞は、一酸化窒素など血管の健康に関わる物質を産生するため、血管が元気になる効果が期待できます。
中程度以上の運動量で、毎日30分以上を目標に有酸素運動を行ないましょう。併せて、次のような工夫をし、日常生活のなかで意識的に体を動かすことも大切です。
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・エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う
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・車や電車ではなく徒歩または自転車で買い物に行く
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・テレビを見ながらストレッチをする
ゴルフやテニスなど、自分が楽しいと感じるスポーツに取り組めば、ストレス解消にもつながります。自分のライフスタイルに応じて、無理のない範囲で運動を継続しましょう。
血管の老化スピードを加速させないために生活習慣の改善を意識しましょう
老化した血管は硬くもろくなり、体にマイナスの影響を与えます。
加齢による血管の老化は避けられないものの、その他の原因をできるだけ減らすことで、血管の老化スピードを遅らせることが可能です。
健康的な食生活や適度な運動習慣を心がけ、元気な血管を保ちましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。