1.血を作る食べ物と栄養素
体を健やかに保つためには、血液の成分の材料となる必要な量の栄養素を摂取することが重要です。ここでは、血液のもととなって貧血改善に役立つ栄養素を3つ紹介します。
1-1.鉄分
鉄分は人体に必要なミネラルの一種で、鉄分不足は鉄欠乏性貧血につながることがあります。また、鉄分が不足すると集中力低下や頭痛、食欲低下といった症状も現れます。食品中の鉄分には、肉や魚などに豊富なヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。
ヘム鉄を含む食べ物の例は、カツオやクロマグロ、赤身肉などです。一方で、非ヘム鉄は卵、牛乳、大豆、小松菜、ひじきなどに多く含まれています。ヘム鉄は非ヘム鉄に比べて吸収率が高く、食事の際に一緒に摂ることで非ヘム鉄の吸収も良くなるため、貧血対策で鉄分を摂るときは、食材の組み合わせも意識してみましょう。
1-2.葉酸
葉酸はビタミンB群の一種であり、ビタミンB12とともに赤血球を作るため「造血のビタミン」とも呼ばれています。貧血の一種である巨赤芽球性貧血は、葉酸不足が原因で引き起こされます。葉酸は体の発育にも重要なビタミンで、とりわけ妊娠中の女性がしっかり摂取することをおすすめします。
葉酸を含む食べ物としては、焼きのり、乾燥わかめなどの海藻類や枝豆、アスパラガス、チーズなどが挙げられます。
1-3.タンパク質
タンパク質は三大栄養素の一つであり、あらゆる生命現象に関わる重要な栄養素です。筋肉や皮膚などの組織、体の機能を調節するホルモンなど、タンパク質は生命維持に欠かせません。健やかな体を保つためにも、タンパク質が豊富な食品を毎食バランス良く食べるように意識しましょう。
タンパク質は赤身肉、まぐろ類、卵、豆腐などに多く含まれています。
2.血を作る食べ物を使ったおすすめレシピ
貧血を防ぐには、血液の成分となる鉄分・葉酸・タンパク質などバランス良く摂ることが大切です。ここでは、鉄分・葉酸・タンパク質を効率良く摂取できるおすすめレシピを3つ紹介します。
2-1.牛肉のタリアータ
鉄分とタンパク質が豊富な牛肉と、葉酸を含むチーズを使ったレシピです。「タリアータ」とは、ラテン語で「切る」という意味の「Tailgate」が語源とされる、イタリアの料理です。今回のレシピで使用する牛肉は、ももや肩ロースなど赤身肉がよいでしょう。バルサミコ酢をかけることで、お肉の風味がおいしく引き立ちます。
【材料】4人分
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・牛ももステーキ用 200g
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・塩・こしょう 適量
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・ルッコラ 1パック
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・パルミジャーノレッジャーノ 適量
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・オリーブオイル 大さじ1
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・バルサミコ酢 50cc
【作り方】
2-2.小松菜ののり和え
鉄分豊富な小松菜とのりを、ごま油とめんつゆで和えるだけのお手軽な貧血対策レシピです。小松菜には葉酸や鉄分の吸収を助けるビタミンCも含まれています。また、鉄と葉酸を含む「白すりごま」をふりかけるのもおすすめです。
【材料】2人分
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・小松菜 1束
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・干しのり 1枚
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・ごま油 小さじ1
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・めんつゆ (3倍濃縮) 小さじ2~3
【作り方】
2-3.まぐろと山芋の納豆和え
鉄分を多く含むまぐろと納豆を使ったメニューです。仕上げに加えるゆずこしょうは、香りと適度な塩気をプラスして味のアクセントになっています。ゆずこしょうが苦手な方は、わさびや辛子に変えるのもよいでしょう。
【材料】2人分
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・まぐろ(刺身用) 150g
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・山芋 100g
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・納豆 1パック
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・大葉 2枚
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・しょうゆ 適量
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・ゆずこしょう 適量
【作り方】
血を作る食べ物を積極的に摂って貧血対策
血液の材料となる栄養素が不足すると、貧血を引き起こすおそれがあります。貧血予防のためにも、鉄分・葉酸・タンパク質を食事で摂ることが大切です。
赤血球の材料である鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、それぞれを多く含む食材を組み合わせることで効率良く鉄分を摂取できます。ビタミンB群の一つである葉酸も造血や成長に必要な栄養素として欠かせません。
また、貧血予防に欠かせないタンパク質を補うために、肉や魚、大豆などの食品を積極的に毎日の食生活に取り入れることも重要です。血を作る食べ物を摂って、貧血対策を行ないましょう。
監修者情報
氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。