1.収縮期血圧とは?
血圧とは心臓から送り出された血液が血管の内部の壁を押す力(圧力)で、収縮期血圧とは心臓が収縮したときに血管壁にかかる圧力のことです。一般的に「最高血圧」とも呼ばれています。一方で、拡張期血圧は「最低血圧」とも呼び、心臓が拡張したときの血圧を指します。
診察室での収縮期血圧は、120mmHg未満がちょうど良いとされており、120~129mmHgは正常高値血圧です。
高血圧と診断されるのは140mmHg以上です。ただし、高血圧の診断をする際は、収縮期血圧だけでなく拡張期血圧の値も基準です。
日本高血圧学会では、診断室における収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上を高血圧と定義しています。
分類 |
収縮期血圧 |
|
拡張期血圧 |
至適血圧 |
120未満 |
かつ |
80未満 |
正常血圧 |
120未満 |
かつ |
80未満 |
正常高値血圧 |
120~129 |
かつ/または |
80未満 |
高値血圧 |
130~139 |
かつ/または |
80~89 |
高血圧 |
140~ |
かつ/または |
90~ |
参照:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
※血圧単位はすべてmmHg
40歳以上の4割以上が高血圧と診断されており、国内では4000万人もの患者数がいると推定されています。
2.収縮期血圧が高くなる要因
血圧が高くなる原因には、塩分の摂り過ぎやストレス、肥満、加齢、過労、運動不足など生活習慣の乱れや遺伝などが関係しています。
血圧を下げるためには、食事や運動を含めた生活習慣の見直しが欠かせません。
食事では、食塩摂取量を制限すると、高血圧症の予防につながります。日本高血圧学会が推奨する、一日6g未満の減塩を行ないましょう。
運動習慣を身につけることも大切です。健康のためには、体に無理のない範囲でウォーキングなどの有酸素運動をしてください。
肥満も高血圧の原因のため、BMI25未満の適正体重を目指しましょう。BMIは身長と体重から肥満度を示す数値で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できます。
その他、野菜や果物を積極的に摂り、禁煙を心がけるなど、生活習慣全体をチェックしてみましょう。
3.収縮期血圧と健康の関係
収縮期血圧と拡張期血圧は、健康を考えるうえでどちらも大切です。
血圧が高いと血管に負担がかかり、血管がしなやかさを失って硬くもろくなります。血管が細くなったり詰まったり破れたりすると、命に関わることもあり大変危険です。
また、血圧が高くなると血管の抵抗性が高まり、心臓は血液を送り出すためにより強い力が必要になります。その結果、心臓への負担が大きくなってしまいます。
高血圧状態が続くと、腎臓にも影響が現れます。腎臓には細い血管が集まっていますが、その血管がダメージを受けて血流が悪くなると腎機能の低下につながります。腎機能が下がると老廃物を取り除けなくなるため、血液が汚れて透析が必要です。
血管はさまざまな臓器の働きに関わるため、血圧が高くなると健康に大きな影響を与えかねません。健康のために、自宅でも血圧の管理をしましょう。
血圧は変動しやすく、病院では血圧の正しい変化を把握できないこともあります。そのため、毎日朝と夜のタイミングで、家庭で血圧を測定して記録をつけるのがおすすめです。
収縮期血圧を正常に保っていきいきとした生活を送りましょう
収縮期血圧は心臓が血液を送り出す際に血管にかかる圧力で、140mmHgを超えると高血圧と診断されます。
血圧が高い状態が続くと、血管や心臓、腎臓など体のさまざまな臓器への負担となるため、正常血圧を維持しましょう。
血圧を上げるおもな原因は食塩の摂り過ぎや肥満、ストレス、運動不足などです。血圧を下げるためには、食事や運動を含めた生活習慣の改善が欠かせません。収縮期血圧を正常に保ち、健康な体づくりを意識しましょう。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。