円形脱毛症とは?
円形脱毛症を引き起こす原因や予防法について解説

ストレス社会である現代では、15~74歳の男女の半数以上が、日常的に何かしらのストレスに悩まされている状態にあります。なかには、溜まったストレスが円形脱毛症という形で、体に現れる人もいます。

円形脱毛症は年齢・性別に関係なく起こり得るため、自分や家族が発症した際に適切に対処できるよう、原因や予防法などを押さえておくとよいでしょう。

今回の記事では、円形脱毛症になる原因を解説するほか、病院での治療法や自分でできる予防法を解説します。

1.円形脱毛症とは?

円形脱毛症とは、体のあらゆる部分で脱毛が生じる病気です。眉毛やまつ毛が抜ける人もいれば、頭全体や全身の毛が抜ける場合もあります。

脱毛のパターンもさまざまで、頭部に一箇所だけであったり、複数箇所に脱毛症状がみられたりすることもあります。

また、脱毛症状が出る回数についても、一定ではありません。一回で済むこともあれば、何度も繰り返す人もいます。

ある日突然脱毛に気付くなど、円形脱毛症は本人に強いショックを与えかねない病気です。

2.円形脱毛症の原因

円形脱毛症は、本来は自身を外敵から守る働きである免疫機能が何らかのきっかけで自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つと考えられています。

毛穴にある毛包と呼ばれる器官は、毛を作る働きをする場所です。この毛包の周りで炎症が起き、リンパ球の一部によって毛包組織が破壊されると円形脱毛症を発症します。

円形脱毛症は、ストレスによる自律神経の不調で引き起こされます。慢性的なストレスがあると、交感神経の働きが強くなり血管が縮んでしまいます。すると、頭部の血行が悪化し、毛根への栄養補給が十分にできなくなって脱毛に至ります。

また、兄弟や親子など家族で発症することも少なくありません。そのため、円形脱毛症には遺伝も関わっているのではないかと推測されています。その他、アトピーや甲状腺疾患とも、何らかの関わりがあると考えられています。

3.円形脱毛症の治療・予防法について

円形脱毛症は、放っておいたらいつの間にか治っていることもありますが、症状が強い場合や見た目が気になる場合には、早めに専門医へ相談するのがおすすめです。

ここでは、病院で行なう治療法のほか、自分自身でできる予防法を紹介します。

3-1.病院での治療

円形脱毛症が再発を繰り返したり、脱毛の箇所が増えたり広がるようであれば、早めに病院を受診しましょう。特に、急激に脱毛が進行するケースでは、早めに治療を始めると効果が高い場合があります。

円形脱毛症の治療では、塗り薬を使う外用療法や、飲み薬を使う内服療法などが行なわれます。円形脱毛症の発生にはストレスも関わっているため、皮膚科での治療と併せて心療内科でのカウンセリングを勧められるパターンもあります。心と体の両面からのアプローチで、適切なケアを心がけましょう。

3-2.予防法

円形脱毛症を予防するには、心身のストレスへの対策を心がけましょう。普段から、次のようなことを意識して生活するとよいでしょう。

  • ・ストレスを溜めない

  • ・運動習慣を身につける

  • ・十分な休息をとる

  • ・栄養バランスの整った食事をとる

ストレスと関連する不調を予防するには、ストレスへの抵抗力をつけましょう。食生活・運動・休養といった整った生活を心がけ、しっかりとした体調管理を行なうことが大切です。趣味を楽しむなど、自分なりのストレス解消法を持つのもよいでしょう。

円形脱毛症を予防するためにもストレスを溜めない規則正しい生活を

現代社会において、ストレスなく生活するのは難しいことです。

しかし、ストレスを溜めすぎると円形脱毛症をはじめとして、心体に不調を生じる人は少なくありません。円形脱毛症を防ぐためには、ストレスをこまめに解消し、規則正しい生活習慣を身につけることが大切です。

また、円形脱毛症が現れた場合、症状の程度によっては早めに専門科を受診しましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。