体調不良はミネラルが足りないから?
不足しやすいミネラルと現れる症状を解説

カルシウムや鉄などの「ミネラル」は、体内の組織や臓器の正常な働きを維持するうえで欠かせない栄養素です。ミネラルが不足すると、体にさまざまな不調が生じます。

今回は、不足しやすいミネラルや、ミネラル不足により現れる症状について解説するので、体調不良でお悩みの方は参考にしてください。

1.ミネラルとは?

「ミネラル(無機質)」とは、体を構成するもののうち、「酸素・炭素・水素・窒素」以外のものの総称です。

ミネラルのなかでも、栄養素として欠かせないものを「必須ミネラル」といいます。全部で16種類ある必須ミネラルは、次のように「多量ミネラル」と「微量ミネラル」に大別されます。

必須ミネラル 種類
多量ミネラル ・カルシウム
・ナトリウム
・カリウム
・マグネシウム
・リン
・硫黄
・塩素
微量ミネラル ・鉄
・亜鉛
・銅
・マンガン
・ヨウ素
・セレン
・クロム
・モリブデン
・コバルト

ミネラルは体内で合成できないため、食べ物から摂らなければなりません。

2.不足しやすいミネラルと現れやすい症状

厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で必須ミネラルとされるもののうち、特に不足しやすいのがカルシウム・カリウム・鉄・亜鉛の4つです。ここでは、4つのミネラルの特徴や、不足した場合の症状などを解説します。

なお、必須ミネラルのうち、ナトリウム・マグネシウム・リン・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンは、通常の食生活で不足することはないといわれています。

2-1.カルシウム

カルシウムは、骨や歯、血液などに含まれるミネラルです。

カルシウムが不足すると、骨や歯がもろくなるほか、血圧が高くなる・血管が硬くもろくなる・免疫に異常をきたす・軟骨が変形するといった症状が見られる可能性があります。また、極度に不足した場合、神経や筋肉の興奮が高まり、筋肉や全身の痙攣が起こりやすくなります(テタニー)。

2-2.カリウム

大部分が細胞内に存在するカリウムは、体液の浸透圧を維持したり、水分を保持したりするミネラルです。

激しい嘔吐・下痢をした場合や、利尿降圧剤を長期間使用した場合などに欠乏することがあり、脱力感・筋力低下・食欲不振・骨格筋の麻痺といった症状が見られます。また、カリウムが欠乏すると血圧が高くなったり、疲労感が生じたりします。

2-3.鉄

鉄は、赤血球や筋肉に多く含まれるミネラルで、赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビン内に多く存在します。

鉄が不足すると、頭痛・めまい・動悸・息切れ・集中力低下・食欲不振といった症状が見られます。また、筋肉中のミオグロビンが減ることで、筋力が低下したり、疲労感が生じたりします。

2-4.亜鉛

亜鉛は、骨や筋肉のほか、皮膚・脳・肝臓・膵臓・腎臓などに広く分布するミネラルです。

亜鉛が不足すると、免疫機能や神経感覚の障害・皮膚炎・慢性下痢・貧血・食欲不振・生殖機能低下・脱毛といった症状が現れます。加えて、嗅覚や聴覚が低下することもあります。

不足しやすいミネラルを意識的に摂取しましょう

栄養素として欠かせない必須ミネラルのうち、今回紹介したカルシウム・カリウム・鉄・亜鉛は不足しやすいミネラルです。

これらのミネラルは体内で合成できないため、肉や魚、野菜、牛乳などの食べ物から意識的に摂る必要があります。

日々の生活のなかでミネラルのバランスを意識しながら、積極的な摂取を心がけることが重要だといえるでしょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。