「トコトリエノール」の働きとは?
役割や含まれる食べ物、一日の摂取量について解説

トコトリエノールは、ビタミンEの一種です。高い抗酸化作用があるとされている成分です。

今回は、トコトリエノールの働きや役割、一日に必要な摂取量などを詳しく解説します。健康維持の参考にしてみてください。

1.トコトリエノールとは

トコトリエノールは、ビタミンEの一種です。ビタミンEは、抗酸化ビタミンの一つで、多くの場合トコフェロールを指します。そのトコフェロールの構造に変化が生じることでできるのが、トコトリエノールです。

トコトリエノールは、トコフェロールよりも強い抗酸化作用を有していることから、「スーパービタミンE」とも呼ばれています。さらにはコレステロールや血圧を下げるほか、抗がん作用なども報告されていることから、健康維持に対しても効果が期待されています。

2.トコトリエノールのおもな働き

トコトリエノールは、人間の身体に対してさまざまな働きをしていると考えられています。こちらでは、トコトリエノールのおもな働きを紹介します。

2-1.抗酸化作用

人間の身体では、呼吸によって取り込まれた一部の酸素が活性化された状態である「活性酸素」という物質になります。トコトリエノールの高い抗酸化作用には、活性酸素がもたらす傷害から身体を防御する機能が備わっているとされています。

2-2.コレステロール低下作用

トコトリエノールには、血中のコレステロールを低下させる作用があります。コレステロールは、人の身体に存在する脂質の一種で、細胞膜やホルモン、胆汁酸などの材料になるため、ある程度は健康維持のために必要な成分です。

3.トコトリエノールが含まれるおもな食品

ビタミンEは、さまざまな食品に含まれていますが、トコトリエノールを含んでいる食品には、パームヤシや米ぬかなどがあります。

4.トコトリエノールの一日に必要な摂取量

トコトリエノールを含んでいる食品が限定的であるため、食事からの摂取量はごくわずかです。そのため、トコトリエノール単体での必要な摂取量は設定されていません。

4-1.トコトリエノールにはサプリメントがある

トコトリエノールは、他のビタミンEに比べると熱に弱い性質があるため、トコトリエノールだけを分離することが技術的に困難です。そのため、トコフェロールと一緒に配合されているサプリメントが市販されています。

4-2.トコトリエノールの過剰摂取に注意

トコトリエノールを含むビタミンEは、一般的な食事内容で過剰摂取になるリスクはないとされています。しかし、サプリメントなどでトコトリエノールを使用すると過剰摂取になる可能性もあります。もし体調に変化が生じた場合は医療機関へ受診してください。

トコトリエノールは抗酸化作用が期待できる

トコトリエノールはビタミンEの一種であり、非常に高い抗酸化作用を持っているため、さまざまな健康効果が期待されています。しかし、トコトリエノールは、米ぬか油などの限られた食品にしか含まれていません。

抗酸化作用を期待する場合には、サプリメントの摂取が選択肢に入りますが、過剰摂取には注意しましょう。抗酸化作用を持っている成分は、トコトリエノール以外にも存在するのでバランスの良い食事を意識してみてください。

監修者情報

氏名:谷山由華(たにやま・ゆか)
防衛医科大学校医学部医学科卒。現在は内科クリニックで訪問診療を担当。内科全般・老年医療・在宅医療に携わっている。