1.体内の鉄分とその役割
体内にある鉄分のうち、約70%は筋肉中にあるミオグロビンや、血液中にある赤血球のヘモグロビンに含まれています。そして、残りの30%は貯蔵鉄として、筋肉や肝臓などに存在します。
鉄分のおもな役割は、酸素の運搬です。鉄分が不足すると、赤血球に含まれるヘモグロビンが減少して酸素の運搬がスムーズに進まなくなる、酸素が含まれた血液が不足してめまいや立ちくらみが起きやすい状態になります。
鉄分は筋肉中にも多く存在し、不足すると疲労感や筋力低下の原因となるため注意しましょう。
2.鉄分の一日摂取基準量
必要な鉄分の量は、性別や年齢によって異なります。鉄分を過剰摂取することはあまりないため大きな心配は不要ですが、不足すると貧血になることがあるので注意しましょう。
鉄分の一日あたりの摂取推奨量は、次のとおりです。
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男性 |
女性(月経なし) |
女性(月経あり) |
6~11カ月 |
5.0mg |
4.5mg |
─ |
1~2歳 |
4.5mg |
4.5mg |
─ |
3~5歳 |
5.5mg |
5.5mg |
─ |
6~7歳 |
5.5mg |
5.5mg |
─ |
8~9歳 |
7.0mg |
7.5mg |
─ |
10~11歳 |
8.5mg |
8.5mg |
12.0mg |
12~14歳 |
10.0mg |
8.5mg |
12.0mg |
15~17歳 |
10.0mg |
7.0mg |
10.5mg |
18~29歳 |
7.5mg |
6.5mg |
10.5mg |
30~49歳 |
7.5mg |
6.5mg |
10.5mg |
50~64歳 |
7.5mg |
6.5mg |
11.0mg |
65~74歳 |
7.5mg |
6.0mg |
─ |
75歳以上 |
7.0mg |
6.0mg |
─ |
※1歳未満は目安量
※推奨量:ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.鉄分を多く含む食品
それでは、鉄分にはどのような食品に多く含まれているのでしょうか。代表的な食品や、食品中に含まれる鉄分の働きについて紹介します。
3-1.食品中に含まれる鉄分の特徴
鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、タンパク質と結合しているものをヘム鉄、そうでないものを非ヘム鉄と呼びます。ヘム鉄は動物性食品、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれている成分です。
ヘム鉄はそのままの形で吸収されますが、非ヘム鉄は還元されなければ吸収されません。吸収された鉄分は、酸化されたあとにトランスフェリンという物質に変わり、血液を通して全身に運ばれます。
3-2.鉄分を多く含む食品
鉄分を多く含む食品は、次のものが代表的です。
食品名 |
100gあたりの鉄分量 |
青のりの素干し |
77.0mg |
乾燥ひじき |
58.0mg |
あさりの水煮 |
30.0mg |
乾燥パセリ |
18.0mg |
ピュアココア |
14.0mg |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
4.鉄分が摂れるおすすめレシピ
最後に、鉄分摂取に効果的なレシピを紹介します。どれも簡単に作れるので、ぜひご自宅で調理してみてください。
4-1.マッシュルームのパセリフライ
最初に紹介するのは、鉄分を豊富に含むパセリを使ったマッシュルームのフライです。
【材料】2人分
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・マッシュルーム 200g
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・パセリ 3g
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・天ぷら粉 30g
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・パン粉 50g
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・揚げ油 適量
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・塩 適量
【作り方】
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1. マッシュルームの汚れをぬれ布巾で取り、食べやすい大きさに切ります。
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2. 天ぷら粉を水でよく溶かし、混ぜます。
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3. パセリをみじん切りにして、パン粉をよく混ぜます。
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4. 2に1のマッシュルームをくぐらせ、3のパン粉をよくまぶします。
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5. 揚げ油を170度に熱して4を揚げ、仕上げに塩を振ったら完成です。
4-2.れんこんの青のり炒め
次に紹介するのは、さっと簡単に作れるれんこんの青のり炒めです。
【材料】2人分
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・れんこん 200g
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・サラダ油 大さじ1/2
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・塩 適量
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・青のり 大さじ1
【作り方】
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1. れんこんの皮をむいて縦に4等分し、5mmの厚さに切ります。
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2. サラダ油を熱したフライパンで、1を焼きます。
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3. れんこんに火が通り、焼き色がついたら塩を振って味を調え、全体に青のりをまぶして完成です。
意識して鉄分を摂取しましょう
鉄分は、不足すると貧血になることがあります。すぐに息が切れたり疲労がたまったりしやすい方は、鉄分不足かもしれません。
鉄分は過剰摂取になることがあまりないため、青のりの素干しや乾燥ひじき、乾燥パセリなど鉄分を多く含む食品を積極的に摂取するとよいでしょう。
今回紹介した「マッシュルームのパセリフライ」や「れんこんの青のり炒め」は簡単に作れるレシピなので、ぜひ鉄分対策に作ってみてください。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。