7大栄養素とは?栄養素の種類や働きについて詳しく解説

栄養素は、私たちが日々生活し、健やかに過ごすうえで欠かせないものです。十分な栄養素を摂取できていなければ、生活に影響が出てしまうこともあります。

そこで重要になるのが、7大栄養素です。今回は、7大栄養素にはどのようなものが含まれていて、それぞれどういった働きをしているのかについて詳しく見ていきましょう。

1.7大栄養素とは?

7大栄養素とは、3大栄養素である炭水化物とタンパク質、脂質に、ミネラルとビタミン、水、食物繊維を加えたものです。

さらにフィトケミカルを加えたものは、8大栄養素と呼ばれています。フィトケミカルとは、植物が紫外線などの有害物質から自分自身を守るために作る色素や香りなどのことです。

必須栄養素ではありませんが、健康を維持するうえで大切な役割を担っているため、積極的に摂取したい成分として知られています。

2.7大栄養素の種類一覧

では、7大栄養素がそれぞれどのような働きをしているのかについて、詳しく見ていきましょう。

2-1.炭水化物

炭水化物は、エネルギー源として働く3大栄養素の一つです。「炭水化物」とは大きなくくりのことで、厳密には「糖質」と「食物繊維」の2つに分けられます。

糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを生み出す、大切なエネルギー源です。糖質が不足するとエネルギーが足りなくなるため、疲労感が出たり集中力が途切れやすくなったりします。ただし、糖質を摂りすぎると中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病の原因にもなるため注意が必要です。

食物繊維は、第6の栄養素ともいわれています。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ便通を整える働きがあることが特徴です。

食物繊維について後ほど詳しく説明します。

2-2.タンパク質

タンパク質は3大栄養素の一つであり、アミノ酸がいくつも結合することで作られ、髪の毛や皮膚、筋肉などを構成する成分です。また、炭水化物と同様にエネルギーを作り出す栄養素でもあります。

さらに、タンパク質は酵素やホルモンとして働いたり、免疫機能を調節したりとさまざまな機能を持っています。神経伝達物質や生理活性物質の前駆体としても働くことから、私たちの体にとってタンパク質は欠かせません。

2-3.脂質

脂質も、エネルギーを作り出す栄養素として重要なものです。1gあたり9kcalと、3大栄養素のなかでは最も高いエネルギーを作り出すことができます。

エネルギー源として働くだけでなく、ホルモンや核酸を構成したり体を寒さから守ったりするなど、人間が生きていくうえで大切な栄養素です。

脂質には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とがあります。このうち不飽和脂肪酸は、魚に多く含まれている成分です。不飽和脂肪酸には血圧を下げたりコレステロールを減らしたりする効果が期待できるものもあるため、体に良い脂質として知られています。

2-4.ミネラル

カルシウムやリン、カリウムなど、体を構成する酸素や炭素、水素や窒素以外のものをミネラルと呼びます。ミネラルは人間の体のなかで作ることができないため、食事などから摂取する必要があります。

カルシウムは骨の形成を行ない、リンはカルシウムと共同で骨や歯を強くする成分です。カリウムは、ナトリウムを排出したり神経や筋肉の働きに関与したりします。

2-5.ビタミン

ビタミンとは、人体の機能を維持するために必要な有機化合物のことです。ビタミンは体内でほとんど作れないため、外から摂取する必要があります。

ビタミンには、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類があります。

ビタミンB群やビタミンCが代表的な水溶性ビタミンです。ビタミンB群には、糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンB1などが含まれます。ビタミンCは、コラーゲンの産生に必須の成分で抗酸化作用も持ちます。水溶性ビタミンは摂りすぎても尿中に排泄されるため、過剰になる心配はまずありません。

皮膚や目の粘膜を健康に保つ、抵抗力を強めるなどの働きがあるビタミンAや、正常な骨格と歯の発育に重要なビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが脂溶性ビタミンに分類されます。脂溶性ビタミンは、体内に蓄積するため摂りすぎないよう注意しましょう。

2-6.水

水は体を構成する成分のうち最も多い物質で、成人の場合は、体の55~60%は水が占めています。水がなければ私たちは生きていくことができません。摂取量が不足して脱水になると免疫力や生命維持のための機能が障害されてさまざまな症状が現れるため、こまめな水分補給がとても大切です。

2-7.食物繊維

食物繊維は、前にも説明したように厳密にいえば炭水化物の一種です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、どちらを摂取しても体内には吸収されません。

水溶性食物繊維は、食後に血糖値が急上昇するのを抑えたりコレステロール値を下げたりする働きがあります。不溶性食物繊維は、便のかさを増すことで便通を整える成分です。どちらの食物繊維も共通して腸内環境を整える働きがあります。

7大栄養素をバランス良く摂りましょう

7大栄養素とは、炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン、水、食物繊維のことです。

これらの栄養素は、私たちが健康に暮らしていくうえで欠かせないものです。栄養素が不足すると、健康に影響が出る可能性があります。バランスの良い食事を心がけ、7大栄養素をしっかり摂れる生活を送りましょう。

監修者情報

氏名:高橋健太郎(たかはし・けんたろう)
循環器内科医として臨床に関わりながら、心血管疾患のメカニズムを解明するために基礎研究に従事。現在はアメリカで生活習慣病が心血管疾患の発症に及ぼす影響や心血管疾患の新しい治療法の開発に取り組んでいる。国内・海外での学会発表や論文報告は多数。
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会所属。