1.アスタキサンチンはどのような成分?
アスタキサンチンとは、自然界に存在する赤色色素「カロテノイド」の一種です。カロテノイドは、大きくカロテン類とキサントフィル類という2グループに分けられ、アスタキサンチンはキサントフィル類に該当します。
サケやイクラ、エビ、カニ類などの赤い色はアスタキサンチン由来であり、海に住む生物に多く含まれることから「海のカロテノイド」とも呼ばれています。
アスタキサンチンには、過剰な活性酸素を取り除いたり発生を抑えたりする抗酸化作用があり、「若々しさの源」となる健康サポート物質として注目が高まっています。
2.アスタキサンチンの効果・効能とは
アスタキサンチンは抗酸化物質であるため、過剰な活性酸素を取り除いたり体内の酸化反応を抑制したりするのに有用だといわれています。活性酸素は微量なら人体に役立ちますが、多すぎると過酸化脂質などが作られてしまい、老化や血管が硬くなりもろくなる、などの原因になりうる物質です。
アスタキサンチンの抗酸化作用による、体にうれしい3つの働きを紹介します。
2-1.紫外線の影響によるシミやしわを防ぐ(美肌効果)
太陽光の紫外線には、活性酸素を発生させる作用があるといわれています。紫外線に長時間さらされた皮膚は活性酸素量の増加により、シミやしわが増えやすくなるおそれがあるのです。
抗酸化物質であるアスタキサンチンには、老化原因の一つである過酸化脂質の発生を抑制し、しわやシミなどを予防する働きがあるとされています。
2-2.老化・免疫機能の低下を抑える
過剰に産生された活性酸素は細胞を傷付け、老化やがんなどに関与します。人間には、活性酸素から自分の体を守る抗酸化防御機能が備わっており、本来この機能と活性酸素の産生は適切なバランスを保った状態になっています。
しかし、紫外線、たばこ、酸化物質の摂取、ストレス、過度な運動などでバランスが損なわれると、酸化ストレスが引き起こされるのです。
その際には、アスタキサンチンが豊富な食品から抗酸化物質を補うとよいでしょう。アスタキサンチンには、一部の活性酸素に対してビタミンEを上回る強い抗酸化作用があるといわれており、体のバランスを整えることにつながります。
2-3.疲労感の軽減が期待できる
増えすぎた活性酸素は、疲れの原因にもなりえます。
身体活動量の増加やストレスによって心身に負担がかかると、細胞がエネルギーを作ろうとして活性酸素が過剰に発生し、細胞傷害をもたらします。傷ついた細胞内では栄養を効率的に代謝することができず、エネルギーの産生が落ちるため、疲れを感じる原因の一つになると考えられています。
抗酸化物質であるアスタキサンチンは、疲れの原因となる過剰な活性酸素の発生や働きを抑える役割があるといわれています。疲労感を軽減するために、活性酸素対策の一つとして取り入れてみるとよいでしょう。
3.アスタキサンチンを含む食品
アスタキサンチンが豊富な食品や効果的な摂取方法も解説するので、アスタキサンチンを気軽に取り入れてみましょう。
3-1.アスタキサンチンを上手に摂取する方法
アスタキサンチンは油で調理すると、効率的に摂取できるようになります。例えば、アスタキサンチンが豊富な魚介類を油で揚げたり、バターでムニエルにしたりすると、アスタキサンチンをおいしくしっかり摂取できるでしょう。
ただし、揚げ物やバターで脂肪分を摂りすぎないよう注意してください。揚げ物はしっかり油切りしたり、野菜の付け合わせを増やして満腹感を得られるように工夫したりするのがおすすめです。
3-2.アスタキサンチンを含む食品
アスタキサンチンは、サケ・マスなどの魚類やいくら、エビ・カニなどの甲殻類などに含まれています。これらの食材の赤い色は、アスタキサンチンに由来するものです。
これらの食材には、アスタキサンチン以外にビタミンやたんぱく質なども豊富に含まれているので、積極的に摂取していきましょう。
アスタキサンチンを上手に摂取して若々しい毎日へ
若々しさの源として、アスタキサンチンなどの抗酸化物質への注目が高まってきています。アスタキサンチンは自然界に存在する赤色色素で、サケ・マスなどの魚類やエビ・カニなどの甲殻類に、豊富に含まれている成分です。
抗酸化作用を持つアスタキサンチンには、体内の活性酸素を取り除いたり、活性酸素が過剰に産生されるのを抑えたりする働きが期待されています。過剰な活性酸素は老化につながるため、いつまでも若々しく過ごしたいという方はぜひ、日頃から体内の抗酸化防御機能を整えることを意識しましょう。
栄養豊富な魚介類をおいしく味わいながら、アスタキサンチンも上手に摂取してみてはいかがでしょうか。
監修者情報
氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。