脂質の一日の摂取目安量は?
摂りすぎによる悪影響、上手に摂取する方法も紹介

脂質は、タンパク質や炭水化物と同じく、エネルギーをつくり出すための重要な栄養素です。脂質のなかでもさまざまな種類があり、それぞれ体に必要な役割を担っています。

重要な栄養素とはいえ、過剰に摂取すると肥満やその他の疾患につながりかねないため、摂取量には注意が必要です。では、一日あたりどのくらいの量を摂取するのが理想的なのでしょうか。

今回は、脂質の摂取目安量や摂りすぎによる影響、うまく食事に取り入れるポイントも解説します。

1.脂質の一日の摂取目安量

脂質は、エネルギーを生み出すうえで重要な物質です。細胞膜を構成する成分のなかでも主要なものとされ、ホルモンなどの構成成分としても働いています。また、皮下脂肪として、体を寒冷から守る働きや臓器を保護する働きもあります。

そのほかには、ビタミンAをはじめとする脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど、ヒトの体にとって欠かせない栄養素の一つです。

厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、脂質の一日あたりの摂取目標量は、男女ともに摂取エネルギーの20~30%とされています。

2.脂質を摂りすぎるとどうなるか

脂質は、先ほどお伝えしたように体にとって必要な栄養素ですが、摂りすぎには注意しましょう。

体内で余った脂質は中性脂肪として蓄積されますが、過剰摂取は善玉コレステロールを減少させ、肥満や生活習慣病の原因になりかねません。そのほかにも、脂質の過剰摂取により、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増加させてしまうことがわかっています。</p>

このように、体への影響が考えられるため、脂質の摂りすぎには気を付けましょう。

3.脂質を上手に摂取するには?

脂質を摂りすぎず上手に摂取するためには、以下のポイントを意識してみてください。

3-1.必須脂肪酸を取り入れる

脂質は、構成する脂肪酸の種類によって「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大きく分かれ、不飽和脂肪酸はさらに「多価不飽和脂肪酸」と「一価不飽和脂肪酸」に分かれます。このうち、必須脂肪酸に該当するのが多価不飽和脂肪酸です。

必須脂肪酸はヒトの体内でつくられない脂肪酸で、悪玉コレステロールを減らしたり、血圧を下げたりする働きが期待されています。

必須脂肪酸は、さんまやさばなどの青魚に含まれる油や、エゴマ油・ごま油・コーン油などの植物性油に多く含まれるため、これらを摂るようにしましょう。

ただし、脂質はエネルギーが高いため、摂りすぎには注意が必要です。

3-2.食事での工夫

普段の食生活で脂質を減らすためには、以下のような工夫してください。

  • ・バランスの良い食事を心がける

  • ・一日1食は魚料理を食べる

  • ・外食では揚げ物をなるべく控える

3-3.調理での工夫

調理のときは、脂質を減らすために、以下のようなポイントを意識するとよいでしょう。

  • ・調理時の油を減らすために、煮るか蒸す方法をメインにする

  • ・肉類を買うときは、皮なしの鶏肉や赤身肉など、なるべく脂肪の少ないものを選択する

  • ・肉類を調理するときは、下ゆでなどで油を落としてから使う

このように、食事や調理法を工夫すると脂質を抑えることにつながります。

一日に摂取する脂質の量は適量を心がけましょう

脂質は、エネルギーを生み出すための重要な栄養素です。そのほかにも、細胞膜やホルモンの材料となったり、脂溶性ビタミンの吸収を助けたりと、さまざまな役割があります。

しかし、過剰摂取をすると肥満や他の疾患などを招くおそれもあるため、摂取量には注意が必要です。

そのため、今回お伝えした一日の摂取目標量や、脂質を減らすための工夫を参考にしてみてください。多すぎず、少なすぎず、適量の脂質を摂って健康的な体を維持しましょう。

監修者情報

氏名:井林雄太(いばやし・ゆうた)
総合病院勤務。大分大学医学部卒。
日本内科学会認定内科医、日本内分泌内科専門医、日本糖尿病内科専門医の資格を保有。現在は医師業務のかたわら、正しい医療情報を伝える啓発活動も市民公開講座など通して積極的に行なっている。