「カルシウム」の働きとは?
役割や含まれる食べ物、一日の摂取量について解説

カルシウムとは、簡単にいうとミネラルの一種です。
今回は、カルシウムについて、効能や効果、必要量や多く含まれている食品のほか、効率的な摂取方法なども詳しく解説していきます。

ぜひ参考にしてみてください。

1.カルシウムとは

カルシウムは、身体の機能の維持・調節に不可欠なミネラルであり、歯や骨などを作っている栄養素です。成人の生体内にあるミネラルのなかで最も多く、体重の約2%の重さで存在しているとされています。

カルシウムの大部分はリン酸カルシウムとして歯や骨に含まれ、それらの構造や硬さの維持につながっています。そのほかでは、血管内での血流を維持したり、筋肉を動かしたりするなどさまざまな機能に関与し、カルシウムは身体のなかで重要な役割を果たしているのです。

2.カルシウムのおもな働き

人の身体のなかで、カルシウムはまず骨や歯以外の必要な機能に対して供給されますが、その割合はわずか1%未満とされています。残りの99%は骨や歯に供給され、その機能と構造に関与しているのです。

骨や歯以外の部分でのカルシウムは、おもに以下のような働きを担っています。

・血液をかたまりやすくして出血を予防する
・筋肉を動かす/興奮性を抑制する
・心筋の収縮作用を増やす
・神経を安定させる

2-1. 一日あたりの推奨量

成人一人あたりが一日平均として推奨されるカルシウムの量は、男性で約700~800mg、女性では約650mgです。

もっと具体的なデータを見てみましょう。

日本人の食事摂取基準(2020年度版)では、要因加算法と呼ばれる方法を用いて、一日の推奨量を以下のように設定しています。

男性 女性
18~29歳 789mg 661mg
30~49歳 738mg 660mg
50~64歳 737mg 667mg
65~74歳 769mg 652mg
75歳以上 720mg 620mg

詳細は後述しますが、目安の一例として、コップ一杯の牛乳(200ml)のカルシウム含有量は220mgとされており、単純に考えると女性は一日に牛乳を3~4杯、男性は4杯飲んで達成できる数字です。

2-2.カルシウムの過剰摂取について

人体にとって欠かせないカルシウムですが、いくら大切だからといって、摂取し過ぎるのは、逆に身体にさまざまな不調をもたらします。

3.カルシウムが不足することによる影響

前章ではカルシウムの過剰摂取について言及しましたが、逆に不足することでも身体に影響をきたすことがあります。

カルシウムは、摂取量が不足しても循環血中濃度は厳密にコントロールされているため、すぐに何らかの症状が出ることはありません。

しかし、継続的にカルシウムの摂取量が不十分であると骨の強度が脆くなってしまう可能性があります。

4.カルシウムを摂取する方法

カルシウムは、魚介類、乳類、豆類、藻類、野菜類に含まれています。なかでも、乳製品はカルシウムの吸収性に優れ、一日のなかで多く口にしやすいことから、効率良くカルシウムを摂取することが可能です。

また、カルシウムの体内での吸収は、ほかのミネラルとのバランスも影響します。
例えば、ミネラルの一種であるリンを必要以上に摂取すると、カルシウムがうまく吸収されなくなるとされています。その逆もしかりで、カルシウムを過剰摂取すると、ほかのミネラルの吸収を妨げてしまうともいわれているので、カルシウムやほかのミネラルを摂取する際には、それぞれをうまく組み合わせることが大切です。

また、ビタミンDが不足していると、せっかく摂ったカルシウムの吸収が悪くなるともいわれているため、ビタミンDも合わせて摂り入れましょう。ビタミンDは日光を浴びることでも体内で合成されるため、外に出ることもおすすめです。

4-1. カルシウムが多く含まれる食品

先述したように、カルシウムはおもに魚介類、乳類、豆類、藻類、野菜類に多く含まれています。

具体的な食品名とその摂取量に含まれるカルシウムの量は、以下のとおりです。

食品群 食品名 摂取量 カルシウム含有量
牛乳・乳製品 牛乳 コップ1杯(200g) 220㎎
ヨーグルト 1パック(100g) 120㎎
プロセスチーズ 1切れ(20g) 126㎎
野菜類 小松菜 1/4束(70g) 119㎎
菜の花 1/4束(50g) 80㎎
水菜 1/4束(50g) 105㎎
切り干し大根 煮物1食分(15g) 81㎎
海藻 ひじき 煮物1食分(10g) 140㎎
小魚 さくらび(素干し) 大さじ1杯(5g) 100㎎
ししゃも 3尾(45g) 149㎎
豆類 木綿豆腐 約1/2丁(150g) 180㎎
納豆 1パック(50g) 45㎎
厚揚げ 1/2枚(100g) 240㎎

出典:農林水産省「みんなの食育」

2-1で挙げた一日あたりのカルシウムの摂取推奨量と照らし合わせてみると、これらの食品をバランス良く摂取することで、推奨量を無理なく満たすことができるのではないでしょうか。

カルシウムは不足、摂取のしすぎのどちらもNG!

カルシウムは、私たちの健康な生活に欠かせない栄養素です。積極的な摂取を目指していきたいところですが、カルシウムは不足するのはもちろん、摂取のし過ぎも身体にとっては良くありません。

カルシウムを効率的に正しく摂取するためには、どのような食品に多く含まれているのかを知り、バランスの良い食事から毎日コツコツと取り入れるように心がけましょう。

監修者情報

氏名:河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。