40年以上続くゴマのセサミン研究
ゴマの中に眠っていた、小さな奇跡。
ゴマのセサミンの研究は、奇跡の中で生まれました。別の研究を進める中で偶然見つかった成分が、長年の探求を経て、今のセサミンへとつながっていきました。
ゴマは古くから「身体にいい」と言われてきました。紀元前3000年頃にはすでに栽培が始まっていたとされ、地中海沿岸からアラビア、インド、中国、そして日本へ。世界中で食べられ、人々の暮らしや食文化の中で長く親しまれてきました。1980年代には、日本の大学研究機関で、ゴマ油が他の油に比べて劣化しにくい理由を解明する研究が進められ、抗酸化物質「セサミノール」が注目を集めていました。
では、なぜそれまでセサミンに注目した研究はほとんどなかったのでしょうか。
現在もセサミンの効能評価を続ける研究員は、こう語ります。「セサミンは非常に安定した成分で、試験管の中で反応させてもほとんど変化が見られませんでした。そのため、“特に作用がない成分”と考えられ、誰も興味を持たなかったのだと思います。ところがサントリーは、別のフィールドからアプローチしたことで、いろいろ新しい発見があり、“これは面白い”となったのです。」

ゴマのセサミン研究は、ひとつの失敗から始まった。
実はサントリーの研究チームが最初に追いかけていたのは、セサミンではありませんでした。当時、研究チームが注目していたのは、体内で重要な役割を果たす必須脂肪酸の「アラキドン酸(ARA)」。アラキドン酸の生産性を高める実験に取り組んでいた研究者は、糸状菌の栄養源となりそうな油の種類を培地に添加して、その影響を調べていました。
大豆油、菜種油、トウモロコシ油、ヤシ油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油……。しかしゴマ油だけが失敗でした。むしろアラキドン酸の産生を阻害してしまったのです。なぜだ?ゴマ油の何が?この疑問からゴマに目が向き、新たな研究が始まりました。
調べていくと、ゴマの成分の50%近くを占める油脂(リノール酸など)ではなく、含有率1%未満のポリフェノール成分(ゴマリグナン)に要因があることを突き止めます。なかでも「セサミン」という成分に、脂肪酸の合成を阻害する強い活性があることがわかってきました。
この物質は、人の体内ではどのように作用しているのだろうか…セサミンの機能解明への扉が、ゆっくりと開いていったのです。

世界がまだ知らなかった、ゴマの秘密を解き明かす。
研究が進む中で、次々と驚くべき事実が明らかになっていきました。セサミンは、ゴマ全体のわずか1%未満しか含まれない非常に希少な成分。それにもかかわらず、さまざまな可能性を秘めた成分であることがわかってきました。長年「身体にいい」と言われてきたゴマの秘密が、少しずつ科学によって解き明かされていったのです。
当時を知る研究員は、その頃をこう振り返ります。「ゴマの中にわずかしか含まれない成分でしたが、研究を進めるほど新しい特徴が見つかりました。体内での働き方も少しずつ明らかになり、私たちはセサミンの可能性に強く惹かれていったのです。」
その研究成果は、やがて世界初の特許へとつながっていきます。サントリーはセサミンを機能性飲食物として特許を取得。誰も踏み込んでいなかった領域に、確かな足跡を刻みました。

小さな成分に、大きな壁。
しかし、発見の興奮とは裏腹に、大きな壁がありました。セサミンはゴマや食用油に1%未満しか含まれない成分。安定して抽出し、製品として形にするための技術的なハードルは高く、研究は一筋縄ではいきませんでした。
当時を知る社員はこう振り返ります。「研究室では毎日のように試行錯誤が続いていました。一度や二度の失敗では諦めず、何度も挑戦を繰り返していました。その諦めない気持ちが、製品化への道を切り拓いたのだと思います。」
試行錯誤を何度も繰り返しながら、抽出技術や製造技術を磨き続け、やがて安定した製品化・量産化への道筋を切り拓いていきました。

ひとつの成分を追いかけた40年。
その後も、研究チームは歩みを止めることはありませんでした。特許によって守られた期間の中でさらに研究に取り組み、抗酸化作用をはじめ、疲労感軽減や睡眠改善、細胞の老化抑制など、研究テーマは広がり続けました。積み重なるデータ、深まる理解。セサミンという成分の解像度は、年を追うごとに高くなっていきました。
ひとつの発見が次の問いを生み、その問いがまた新たな発見へとつながっていく。研究者たちにとって、セサミンはいつまでも探求しがいのある、尽きることのない素材であり続けました。そしてこの長い研究の積み重ねが、サントリーウエルネスをセサミン研究における第一人者へと押し上げていきました。
世界初の発見から40年以上。誰よりも長く、誰よりも深く、セサミンと向き合ってきた、それが私たちサントリーウエルネスのひとつの誇りです。

ゴマのセサミン研究は、まだ終わらない。
セサミンの小さな粒の中には、形には見えないものも詰まっています。誰も見向きもしなかったゴマに目を向けた好奇心、偶然の出会いを見逃さなかった研究者の眼力、壁にぶつかっても研究を続けた執念、そして、いつかお客様の健康に役立てたいという、長年の思い。ゴマの中に1%未満しか存在しない、小さな小さな成分。その可能性を信じ続けてきたから、今日のセサミンがあります。
研究員はこう語ります。「先輩たちが積み重ねてきた研究を、私たちは受け継いでいます。長年飲み続けてくださっているお客様に、『また新しいことが分かりました』とお伝えできるよう、今日も研究を続けています。まだまだ分かっていないこともたくさんありますから、これからも挑戦を続けていきたいですね。」
偶然の発見から始まった物語は、まだ終わっていません。セサミンの研究は、今日もつづいています。




