
喜多機械産業株式会社は、徳島県徳島市に本社を置く建設機械・資材の複合専門商社です。
62年前の設立当初より「健康」には力を入れてきたといいます。そんな同社が実際にどのような健康経営の取り組みを行なっているのか、代表取締役社長の喜多真一さんにお話を伺いました。
喜多機械産業はお客様のニーズに合わせた幅広い提案を得意とする会社

ーー本日はよろしくお願いいたします。まず、御社についてお聞かせください。
喜多 真一さん(以下、喜多):当社は徳島県徳島市に本社を置く会社です。建設機械、林業機械、農業機械、産業機械といったあらゆる機械の販売、レンタル、修理をメインの事業としながら、土木資材、建設ソフト、太陽発電、蓄電池の販売、トレーニングマシン・ユニットハウスの製造から販売やレンタルなど、徳島の地場商社としてお客様とメーカー様をつなぎながらお客様とともに成長してきました。
ーー健康経営に取り組むきっかけはなにかあったのでしょうか?
喜多:当社は今年で創業97年、設立62年を迎えますが、社内でラジオ体操を行なっている様子や、野球のユニフォーム姿の白黒写真があることから、当時から健康やスポーツに力を入れてきたことがわかります。また、私が役員になる時に改めて経営理念を自分に落とし込みました。その時に、お客様を想うからこそ、自分たちの健康をより意識しないといけないと思うようになりました。
健康で笑顔で毎日を過ごせるということが、仕事においてもプライベートにおいても欠かせないと考え、健康経営に本格的に取り組むようになりました。
ーーこれまでに社員の方の健康状態で、改善が必要だと感じていた点はありますか?
喜多:以前から全社員健康診断は行なっていましたし、仕事をするうえで、心身ともに健康であることは大切だから健康に留意しましょうと伝えてはいました。しかし、健康診断で異常の所見が認められた場合の再検査は本人任せになっていました。
また、この10年ほどで就業時間中に体調を崩してそのまま病院に搬送されるという事例もあり、健康に対して会社としてもっと踏み込んで何かしたいと考えていました。
ーー実際の取り組みを教えてください。
喜多:本社から発信するだけではなかなか浸透しないので、全社発信と同時に各拠点に担当者を一人決めて、その人に「健康経営」の趣旨を理解してもらうことから始めました。
また再検診の受診が必要な社員には、今はご家族の方にも「再検査の通知が来ているので再検査へ行くように後押しをお願いします」といった手紙を出しています。
再検査対象者だけでなく、何か気になる症状があれば、いつでも各種検診を受診できる制度もつくりました。再検査と各種検診費用の一部を会社で負担しています。これらの制度はまだ始めて1年ほどですので、アンケート、集計をとりながら、どれだけ改善されているのかをしっかり見ていきたいと思っています。
その他の取り組みとして、“Kita Active Life Challenge”と題し、InBodyという体成分の分析ができる機械で半年ごとに測定し、自分の体を数値化しています。会社で定めた基準以上もしくは前回より1点でも改善されるとインセンティブがもらえる仕組みをつくりました。
細かく分析することによって、それまで自覚症状がなかった人も改善すべき点に気づくことができ、次の日から「週に1回は歩いてこようかな」といった社員も出てきましたので、取り組んでよかったと実感しています。歩いて行きなさいと言われて歩くのではなく、自ら歩いていこうと主体的に取り組んでくれたのは大きな一歩です。
また、トレーニングルームは希望がある営業所、人数が多い営業所にはできるかぎり設置して運動できる環境を整えるようにしました。使用者制限は設けず、社員の家族にも使ってもらっています。
運動だけでなく食事も大切です。偏った食事にならないよう、またオーガニックやヴィーガン料理に対して興味が出ればという思いと、災害時の備蓄も兼ねてヴィーガンヌードルを各拠点に置き、ワンコインで食べられるよう会社が補助をしています。
食事に関しては、社内でアイデアを出し合い、新たな取り組みもしていきたいと思っています。
2025年“卒煙”までのロードマップを作成

ーー喫煙に関する取り組みについても教えてください。
喜多:全員がタバコをやめられることを目標に、数年前から取り組んでいます。急にやめるのは難しいと思うので、まずは紙タバコを電子タバコに切り替えるための費用を会社で負担しました。また、タバコを吸わない人で、「これからも吸いません」と宣言してくれた人にはスポーツウェアをプレゼントしました。
一気にやめる姿を想像できなくても、目に見える目標を設定し、年々、少しずつハードルを上げながら、2025年にはゼロにできるようロードマップを作成し、取り組んでいる最中です。社員が出演するオリジナルポスターも「禁煙」ではなく、主体的にタバコをやめて欲しいという想いから「卒煙」という言葉を使いポスターを作成し、社内に掲示しています。
コミュニケーションを取り、ストレス解消を図る

ーー心のケアにも力を入れているとお聞きしました。
喜多:はい。どれだけ良いものを食べて、睡眠を取って、運動をしても、心が病んでしまったら、健康でなくなってしまいます。ストレスの種も人間関係が多いと思いますが、それを解消するのも人だと思っています。そのため、私自身も社内で常にコミュニケーションを取るよう心がけています。
コロナ禍でなかなかイベントの実施が難しくなりましたが、ゴルフやボウリング大会など、社員同士がコミュニケーションを楽しく取れるイベントも実施しています。
日々のコミュニケーションで悩みが解消すれば理想ですが、言いにくいこともあるので社内はもちろん、社外にも相談窓口を設け、いつでも相談ができる環境を整えています。
ストレスは目に見えないので難しい問題ですが、今後さらに充実した制度にしていきたいと思うと同時に、ストレスができるだけ発生しないような職場環境にしていきたいと思っています。
ーー健康経営を取り組むなかで、難しいと感じた点はありますか?
喜多:私自身、もともとアクティブで体を動かす機会があれば、喜んで参加するのですが、社員全員が同じ感覚かというと、そうではありません。人それぞれ考え方も異なり、健康や食事、運動に関しても感覚は十人十色だと感じました。
ですので、何か制度を作って満足するのではなく、あの手、この手でいろいろなことにチャレンジしています。どれだけ健康に良いことだとわかっていても、強制してしまうと、誰もハッピーになりません。積極的な声かけや、健康アプリを使ってチームで歩数を競うなど、ストイックにやるというよりは主体的に参加でき、楽しく遊び感覚で健康につながるような取り組みを心がけています。
ーー社員の方からの取り組みへの反響はいかがでしょうか?
喜多:いろいろな取り組みをしてくれてうれしいという声が大半です。家族構成や物理的な距離などの理由から、なかなか参加できないという声はありますが、マイナスの声はまったくありません。健康経営は、会社が社員一人ひとりの健康を本気で考えているということを明確化してくれるので、本気で取り組むほど、社員との信頼関係も深まってきていると感じます。また、企業ブランディングの向上にもつながっていると感じています。
横のつながりを大事にした取り組み

ーー今後の展望があればお聞かせください。
喜多:取り組みを始めて、健康に対する意識が全体的に変わってきていると感じています。
今後も周りがやっていることを真似するだけではなく、また運動や食事だけでなく休養にも目を向け、当社の社員が健康に対して前向きになれる、KITAKIKAIのオリジナリティある取り組みを行なっていきたいと思っています。
また、最近力を入れているのがパートナーシップです。地元企業やお客様と手を取り合いながら、相乗効果を図りたいと考えています。その一つ成功事例として挙げられるのがInBodyのレンタルです。
当社がやって本当に良かったと感じたので「半年に1日だけでもレンタルで社員の皆さんの体の状態の数値化しませんか?福利厚生として喜ばれるだけでなく、本当に一人ひとりの健康意識が高まりますよ」とレンタルの提案をしています。こうした提案の幅をどんどん広げていきたいと考えています。
また、当社では女性特有の病気や健康についてのセミナーを開催しています。女性社員が60名ほどいるので講師を招いての開催のハードルは高くありませんが、女性社員の数が少ない企業は、セミナーの開催が難しいとの話もお聞きしています。そこで、当社でセミナーを企画し、共同で開催し学んでいきたいと考えています。
ーー最後に、健康に関心のある読者の方に向けてのメッセージをお願いします。
喜多: 私たちも今でも試行錯誤しています。難しいことを考えるよりも、小さいことでもいいので、まずは何かやってみることが大事だと思います。そして、社内だけで取り組むのではなく、健康経営に取り組んでいる企業や地元企業との横のつながりを増やし、情報共有をするのもおすすめです。少しずつ、一緒に笑顔と健康を増やしていきましょう!
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました!
今回お話を伺った企業はこちら:喜多機械産業株式会社
インタビュアー:島田佳代子
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