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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

健康を自分ごととして考えてもらうために。株式会社ゆうちょ銀行にインタビュー

最も身近で信頼される銀行を目指して

ーー本日はよろしくお願いします。まず、御社の沿革やおもな事業内容を教えてください。

栗焼さん(以下、栗焼):もとは郵政省だった当行は、2007年に民営化して現在のゆうちょ銀行となりました。日本郵政、日本郵便、かんぽ生命等とともに日本郵政グループの一員として事業を行なっております。

全国233カ所の営業所、支社機能を持った13のエリア本部、事務・営業の支援を行なう67のセンターを擁し、小さなお子様からお年寄りの方まで、安心・安全・そして便利に利用していただける、「最も身近で信頼される銀行」を目指して事業を展開しております。

また世界有数の機関投資家として、運用の高度化による安定的な収益確保や、地域の企業・機関の方と連携し、地域活性化・ファンドへの参加などにも積極的に取り組んでいます。

ーーありがとうございます。健康経営に取り組み始めたきっかけはどのようなことでしたか?

栗焼:「健康経営」や「働き方の見直し」という言葉が世の中に広がってきたことで、当グループでも、社員の健康は必要不可欠だとあらためて考えるようになりました。そのことがきっかけとなり、2016年から日本郵政グループ全体で健康経営に取り組んでいます。

2017年には健康経営優良法人(大規模法人部門)においてホワイト500に認定されました。その後は健康経営優良法人のみの認定が続きましたが、2021年度の調査においてホワイト500に認定されました。

ーー最初はどのような取り組みから始められたのでしょうか?

栗焼:健康経営に取り組み始める前は、管理者の残業時間が平均52時間と長く、今後の担い手を考えたときに「今の働き方を続けていいのだろうか」という課題感がありました。その頃は有給休暇の取得率も低かったと思います。

そこで、まず長時間労働を改善するために残業時間の上限を設定し、全社を挙げて仕事内容の見直しなども行ないながら、時間制限のあるなかで働いてもらうように対策を取りました。その取り組みの効果によって、2021年度は管理者全体の残業時間が21時間まで減少しています。

また有給休暇の取得率も、現在は全体で97.1%、管理者で85%まで上昇し、これまで以上に、ワークライフバランスの取れた良い文化が根付いてきたのではないかと思っています。

未来のリスクを予測して警告する

ーー社員の皆さんの健康意識向上に向けて、取り組まれている施策はありますか?

栗焼:健康診断の結果は全国平均並みですが、例えば「あなたは血圧が高いですよ」という数値が出ても改善するために行動する方は少ないです。生活習慣病だと症状がないものが多く、数字だけ見てもピンとこない方も多いですよね。今は大丈夫でも、数年後には病気になるリスクが上がってしまいます。

社員の健康意識を啓発するためのグループ全体の取り組みとして、産業医等と連携し、社員の健康診断結果の分析等を行ない、保健指導の実施や指導内容の充実を図りました。データ分析の結果、「このまま改善しないとこうなる」と本人に伝えることで説得力が増すという効果もありました。

併せて、社員がインターネット上で、自身の健診結果や健康リスク予測などが閲覧できるサービスも導入し、社員一人ひとりの健康意識向上を目指して、いろいろと進めているところです。

一律に「保健指導の対象です」と案内するだけでなく、過去のデータをもとに「あなたの現在の健康ランクだと、数年後にはこういう病気になりやすいですよ」「全体のなかだと、あなたの健康ランクはこのくらいの位置ですよ」など、未来のリスクを予測して警告文を通知することを始めました。

長崎さん(以下、長崎):数字だけを通知されるよりも、わかりやすく自分の健康状態を把握することができ、社員のとらえ方が変わってくるとうれしいですね。症状が出てから自覚するのではなく、その前に自覚して健康に過ごしてもらいたいと思っています。

今年度から始めた施策なので効果が出てくるのは来年からだと思いますが、健康への意識が高まる社員が一人でも多く出てきてくれたらうれしいです。

運動促進とコミュニケーションの促進を両立させたイベント

ーー運動促進として取り組まれている施策はありますか?

栗焼:ウォーキングイベントを開催しています。昨年度は試験的に本社のみで実施し、今年度から全国の全社員と委託会社社員を対象として開催することになりました。

10月の初めから11月末までを実施期間として、個人戦・チーム戦(1チーム10人以上)の2種類の参加方法を選ぶことができ、歩数を集計してランキングの掲示も行なっています。また、「みんなの歩数を合計して月まで行こう」という企画も併せて行なっているので、その進捗も掲示しています。

チーム戦は特に盛り上がりを見せ、コロナ禍以降減ってしまっているコミュニケーションツールとしても大きな役割を果たしました。

今年度は2,318人の社員が参加してくれましたが、当行は全体で社員が15,000人ほどいるので参加率はまだまだ低い状況です。社内での周知活動は行なっていましたが、「やっていることを知らなかった」という声も聞こえてきたので、来年度以降は参加率を上げられるよう積極的に周知活動を行なっていこうと思います。

社内報も活用して健康経営を進める

ーー禁煙についても取り組まれていると伺いました。どのようなことをされているのでしょうか?

栗焼:タバコによる健康への被害は明らかになっているので、当行では「禁煙デー」や「禁煙セミナーの実施」、「禁煙プログラム」などの取り組みを行なっています。

禁煙プログラムは、日本郵政共済組合とコラボレーションしてスマートフォンで参加できるものを提供しました。このプログラムには無料で参加することができるので、社員の方々に気軽に取り組んでもらえたらと思います。

また福利厚生で提供しているサイトでは、ニコレットを通常より安く販売するなど、禁煙に役立てられる体制を整えています。

禁煙率は毎年1%ずつ減少し、現在の禁煙率は15%ほど。これまでに禁煙を成功させた社員の事例は、社内報で社員に向けて発信しているので、今後も同じように禁煙に成功する社員が増えたらうれしいです。

ーー社内報も活用されているのですね。

橋口さん(以下、橋口):そうですね。社内報では、健康についての知識のほかに、会社の福利厚生で実施しているサービスの周知も行なっています。例えば、PMSや不妊治療など女性の健康相談が24時間365日無料でできるサービスや、睡眠の質を改善するための各種サービスの補助などを紹介しています。

長崎:以前、社内報は会社内でしか見ることができなかったですが、手軽に見てもらうために、スマートフォンでも見られる仕組みに変更しました。通勤時や自宅でも見られるようになり閲覧数も上がっている状況ですので、今後も積極的に活用していく予定です。

健康経営の重要性を理解してもらうために

ーー健康経営の取り組みを進めるなかで苦労したことはありますか?

栗焼:「なぜ会社が個人の健康にまで口を出すのか」と考えている社員が少なからずおり、健康経営の重要性を理解してもらうことに苦労しています。

施策を打ち出すだけでは伝わりにくい部分だと思うので、毎年1回「なぜ会社が健康経営を進めるのか」や「健康管理の重要性」について、全社員に向けて文書を発信しています。会社の思いを伝える機会でもあり、健康への意識づけにもつながると思うので、今後も継続して発信する予定です。

ーー健康経営のお取り組みによる効果や社内外の反響はありましたか?

栗焼:社内では、健康診断の有所見率が徐々に下がっていることで健康経営の効果が見られています。毎年、社員の平均年齢は0.5歳ずつ上がっているため、有所見率も上がりやすいですが、この流れを食い止められている状況です。

また保健指導の受診率も上昇しており、現在はほぼ100%の社員が受診していることも、健康に対する意識が高まっている効果だと思います。

これにより昨年度の健康経営優良法人2022(大規模法人部門)でも、上位500社に与えられるホワイト500の認定を受けることができました。

一人ひとりがウェルビーイングな状態へ

ウォーキングイベント開催時の様子。
スポーツ庁「Sport in Life コンソーシアム」にも参画しています。

ーー健康経営の今後の展望や計画について教えてください。

栗焼:当行には15,000人の社員が勤務しており、勤務地、仕事内容、年齢、考え方などは多岐に渡っています。その一人ひとりが肉体的に、精神的に、そして社会的に満たされている「ウェルビーイング」な状態になるためには、本社が実施する施策に参加いただくだけでなく、各個人や各職場の実態に即した自律的な取り組みが必要だと考えています。

芽は出てきています。すべて別の職場の事例ですが、社員全員が「健康宣言」を行なったり、腰痛予防体操を実施したり、バランスボールで仕事をしたりと、工夫して独自の取り組みを始めてもらっている状況です。

今後はこうしたアイデアを横展開し、各職場単位で自律的な取り組みを行なえる体制を築いていきたいです。

またウェルビーイングな状態でいることは、エンゲージメントと密接に関係しています。社員のエンゲージメントを高める取り組みについても並行して進めていきます。

ーー健康に関心のある読者の方へメッセージをお願いします。

栗焼:心身の健康は、自律的な社員育成をはじめ、企業の発展のための土台です。必ず取り組みの効果は出てきます。

ご覧いただいている方の立場はさまざまかと思いますが、「ウェルビーイング」はどのような人にとっても大切なことですよね。健康を自分ごととしてとらえ、できることから始めていただければと思います。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:株式会社ゆうちょ銀行

インタビュアー:塩野実莉

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