
株式会社きらぼし銀行は、東京都港区に本店を置く銀行です。親会社である東京きらぼしフィナンシャルグループは、首都圏における中小企業と個人のお客さまのための金融グループとして、「金融にも強い総合サービス業」を将来像として掲げています。
きらぼし銀行では、職員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと仕事に取り組むことができる環境を整えるため、健康経営に取り組んでおり、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。
今回は同行が健康経営で取り組んできたことや今後の課題について、HR部次長・安藤さんと、調査役・石井さん、副調査役・木村さんにお話を伺いました。
きらぼし銀行は、グループの総合力を活かした”総合金融サービス”を提供する銀行

ーー本日はよろしくお願いいたします。まず御行についてお聞かせください。
安藤さん(以下、安藤):当行は2018年5月に3つの銀行が合併して誕生した銀行です。おもな業務は銀行業ですが、グループが目指す将来像は「金融にも強い総合サービス業」であり、従来の銀行という括りではなく、グループの総合力を活かした新たな価値提供をお客さまへできるよう活動しています。
ーー健康経営に取り組むきっかけは何かあったのでしょうか?
安藤:3つの銀行が合併して誕生したということもあり、合併直後は職員全体のエンゲージメントや働きがいを高める必要性を感じていました。ちょうどその頃、世の中のトレンドとして「健康経営」という言葉を耳にする機会が増えていました。そこで、他社の事例も参考にしながら、2019年1月に「きらぼし健康経営宣言」を制定、以降、健康経営への取り組みを続けています。
合併して誕生した銀行ならではの課題

ーー職員の方の健康状態について、改善の必要性を感じていた点はありますか?
安藤:先ほども申し上げましたが、当行は3つの銀行が合併しているため、それぞれ文化も違いましたし、合併後の新しいルールのもとで業務の進め方に悩むなど、仕事の負荷がかかりやすい状況であったと思います。
また、どうしてもデスクワークが多いため、肩こりや腰痛、目の疲れなどを訴える職員が多く、どうにか改善できないかと考えていました。
健康アプリを活用したイベントの開催も
ーー具体的な施策について教えてください。
安藤:合併以前からの施策ではありますが、例えば従業員支援プログラム(EAP)を取り入れています。また、メンタルヘルスに強い産業医が定期的に面談を行なったり、臨床心理士との健康相談の機会を設けたりするなどフォロー体制を充実させました。
最近では、会社が一部費用を負担して、肩こり・腰痛対策のマッサージサービスを導入しました。導入して間もないですが、すでに人気のサービスになりつつありますね。
また、健康診断や脳ドックの費用補助も行なっていますが、健康診断やストレスチェックの結果を簡単に確認できるよう、健康管理アプリを導入しました。このアプリを利用して社内で歩数を競うウォーキングイベントも開催し、上位者の表彰を行ないました。
その他、業務時間中の予防接種、禁煙の補助、ラジオ体操、階段利用の奨励など、職員が健康に対する意識を高められるようにさまざまな取り組みを行なっています。
スポーツを身近に感じることができる環境

ーー御行が行なっている、スポーツを身近に感じられる取り組みについても教えてください。
石井さん(以下、石井):当行では、公益財団法人日本オリンピック委員会が実施するアスリートの就職支援「アスナビ」を通じて、2名のトップアスリート、澤慎吾選手(陸上競技・男子棒高跳び)と岩佐暖選手(スケート競技・ショートトラック)を採用しています。彼らに協力してもらい、職員向けの健康イベントを開催したこともあります。
また、サッカーのFC東京とラグビーのクボタスピアーズ船橋・東京ベイの協賛もしており、福利厚生の一環で観戦チケットを配布。運動が苦手な人にも、スポーツに興味を持ってもらえるよう、スポーツに触れる機会を増やしています。
ーー取り組むなかで大変だったことはありますか?
木村さん(以下、木村):会社全体での健康に対する意識がなかなか高まっていかないということです。健康に関心のある職員が熱心に取り組んでくれる一方、健康に関心がない人もいます。
強制することではありませんし、なかなか全社一丸となって取り組んでいくのは難しいと感じています。他社の取り組みも参考に、今後もこの課題に取り組んでいきたいです。
職員からの声が仕事のやりがいに
ーー健康経営の取り組みに対し、社内の方からの反響はいかがですか?
安藤:一昨年、職員全員に体組成計を配りましたがとても喜んでもらえました。また、先日始めたマッサージのサービスもリピート率が高く、「ずっと続けて欲しい」という声を聞くと、企画してよかったと思いますね。
うれしいことに、この仕事は社内から感謝されることが多く、私自身のやりがいにもつながっていると感じます。ただ、先ほども申し上げたとおり、どうしたら全職員に健康への関心を持ってもらえるか、どうしてもそちらの課題が気になってしまいます。
きらぼし銀行独自のエクササイズを制作
ーー今後の展望などありましたら、お聞かせください。
安藤:今後、肩こり・腰痛の対策として、きらぼしグループ独自のエクササイズ動画を作成できたらいいなと思っています。また健康課題を社内できちんと議論し、打ち手を一つひとつ確実に実行していきたいと思います。
なかなか全員の健康意識を高めるのは簡単なことではありませんが、少しずつでも健康意識を高めていけたら、おのずと会社全体の健康状態や目標も達成できるのではないかと感じているので、トライ&エラーではないですが、いろいろなことを企画し、挑戦し続けていきたいです。
健康経営の取り組みを積極的に発信
ーー健康に関心のある読者の方へ向けてのメッセージをお願いいたします。
安藤:健康経営の取り組みを始めて4年ほど経ちますが、まだまだ課題も多く、道半ばといったところです。これから取り組まれる方も含めて、世の中全体の健康への意識が高まっていくと、当行の職員も自然と積極的に健康経営に取り組むようになるという良い流れができていくと思っています。ぜひ一緒に健康経営を盛り上げていきましょう。
木村:私はおもに採用を担当していますが、最近では職場づくり、組織づくり、環境に関する質問が増えてきたと感じています。先日は健康経営に関して、どのような取り組みを行なっているのかを聞かれました。
健康経営だけが要因で入社を希望していただけるとは思いませんが、健康への意識が高い方は、会社がどのような取り組みをしているか関心を持っています。きらぼしグループとしてもこういった取り組みをしていますというメッセージを積極的に発信していけたらと思っています。
石井:福利厚生担当として、自分たちの取り組みを振り返るとても良い機会となりました。職員が働きがいのある組織だと感じてもらえるよう、引き続きいろいろな取り組みをしていきたいと思います。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社きらぼし銀行
インタビュアー:島田佳代子