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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

従業員の幸せと心身の健康を考える株式会社鴻池組にインタビュー

人や社会の幸せを考えるには、従業員の幸せと健康が重要

ーーまずは御社の沿革や事業内容について教えてください。

佐伯さん(以下、佐伯):弊社の創業は1871年と古く、2021年に創業150周年を迎えました。事業内容は、いわゆるゼネコンと呼ばれる総合建設業を主力事業とする会社です。

グループ全体の連結売上高は、直近決算となる2021年12月時点で約2320億円。そのうち鴻池組単体の完成工事高は約2050億円です。内訳としましては、建築物を建てる建築が約65%、トンネルや道路などを作る土木が35%となっております。

ーー健康経営の取り組みや、健康経営優良法人の認定を受けようとしたきっかけは、どのようなものでしょうか。

佐伯:創業150周年を迎えた2021年度、社長が「ESG経営元年」の宣言をいたしました。弊社の親会社である積水ハウスさんが、以前からESG経営に取り組まれていたこともあり、その取り組みを参考にしながら、弊社でもESG経営の推進体制を整備し、“「幸せ」をつくる、支える、共にする。”というステートメントに象徴される、2050年度までの長期ビジョンを定めました。

そのなかで、従業員自身が健康で幸せでなければ、人や社会の幸せを考えることは難しいという考えが出てきました。そして、つづく2022年度は「健康経営元年」という位置づけをし、社長がメッセージを発信。これが、健康経営に取り組み始めた経緯でございます。

健康経営優良法人の認定は数年前から取得しておりますが、本格的な施策に乗り出したのは2022年からという状況です。“「幸せ」をつくる、支える、共にする。”と謳っている以上、従業員が幸せでなかったり、幸せを支える要素でもある健康でなかったりという状況はよくないということで、健康経営の取り組みを本格化させました。

健康経営ビジョンを打ち立てて取り組みを加速

ーー従業員の方の健康状態について、改善が必要だと感じていた点はありますか?

佐伯:中川とともにデータを集めて社内の状況を確認しましたが、建設業で男性社員が多いためか、喫煙率と飲酒習慣率が高い傾向にあることを課題ととらえています。生活習慣病の原因にもなりますし、予防にはこれらの改善も必要です。また、毎年一定数のメンタル不調者が発生している状況であり、そこも改善したいと考えました。

ーー喫煙率の高さやメンタル不調者の発生に対して、取り組まれている施策はありますか?

佐伯:喫煙に関しては、非喫煙者手当を支給しております。これは喫煙していない社員に対し、本人の申告に基づいて一定金額を支給するものです。そして、今年度からの3カ年計画として健康経営ビジョンを掲げておりまして、2年目となる来年度からは業務時間中は完全禁煙にする方向で考えています。ただ、喫煙者からは当然抵抗もあり、推進する難しさも感じています。

メンタルヘルスについては、従来からストレスチェックは実施しておりましたが、健康経営ビジョンを打ち立ててから専属の保健師さんを雇用しました。今年9月に入社してもらったばかりであり、どのように働きかけてもらうかはこれから詰めていく段階です。面談を実施してメンタルに不調を感じている社員の相談に乗ってもらい、抱え込まない体制を作っていきたいですね。2カ月に1度発刊しているESGニュースでも、保健師さんの存在や仕事内容を取り上げて従業員に周知できるよう考えています。

2つの要素を盛り込んだウォーキングイベント

ーー取り組まれている施策のなかに、ウォーキングチャレンジ制度があるようですが、こちらはどのような内容ですか?

中川さん(以下、中川):ウォーキングチャレンジ制度は、親会社である積水ハウスさんがもともと取り組まれていた制度です。弊社も生活習慣病予防に向けた取り組みが必要と考えていたところ、同じグループとして一緒にやりませんかとお誘いいただき、参加が決まりました。内容としましては、健康のために運動習慣を身につけることを目的として、歩数を競い合おうというものです。

また、ウォーキングチャレンジ制度は弊社として今回が初めての取り組みですから、従業員の積極的な参加を促すために、「健康チャレンジログ」という当社独自のインセンティブ制度も導入しています。

佐伯:健康チャレンジログでは歩数だけでなく、時々出題される健康に関するクイズの正解数もポイントとして加算される仕組みです。集めたポイントによってアプリ内で果物が育っていき、最終的に上位に入ると、本物の果物がもらえます。

積水ハウスさんのウォーキングチャレンジ制度は約半年単位をワンクールとし、グループ単位で競う取り組みですが、弊社ではそのうち2カ月間に果物の獲得を目指す個人戦の要素を加えました。

ーーウォーキングチャレンジ制度への参加率や反響はいかがですか?

中川:参加率としては現在18%というところで、まだ少ないですね。ただ、8月にスタートした制度で、今回が初めての取り組みですし、10%あれば良いところだと思っていましたから、予想よりも少し多い参加率になっています。実際にウォーキングチャレンジが始まってからは、前向きに取り組んでいるとの声も聞こえてきています。

eラーニングも活用して従業員の意識改革を実施

ーー健康経営の取り組みを進めるなかで、大変だったことはありますか?

中川:やはり従来の健康管理と何が違うのか、その施策になぜ費用をかけるのか、といった部分を理解してもらうのが大変だったと感じています。佐伯とも何度も相談して、伝え方やアプローチの仕方を考え、ようやく健康経営ビジョンを打ち立てるところまでたどり着けました。

ーー健康経営ビジョンを出したとき、従業員の方の反響はいかがでしたか?

中川:まず正直なところ「健康経営ってなんだろう?」と思われたのではないかと思います。

健康経営ビジョンを打ち出したあと、社内でeラーニングを実施しました。従来の健康管理との違いや健康経営の重要性についての解説も含めたので理解してもらえたかと思います。

佐伯:eラーニングをとおして従業員の理解が進んだと感じるのは、6月から7月にかけて全社員に登録してもらった「My ESG宣言」で、健康経営の取り組みに関連した内容が見られるようになったからです。

「My ESG宣言」は「E・環境」「S・社会」「G・ガバナンス」の各テーマに一言ずつ、各自の行動や目標を宣言してもらうもので、全社員が登録し、お互いにどのような宣言をしているかを見ることができます。

社会面でのテーマとしては、地域貢献や働き方改革、人権問題などがありますが、健康経営に関連した目標を宣言している社員も割と多い印象です。具体的には、まだ正式導入前であったウォーキングチャレンジへの参加を表明する社員や、一日1万歩以上歩くといった目標を宣言している社員もいました。

また、弊社では社長が委員長を務めてESGに関する施策を決定する「ESG推進委員会」を、本社だけでなく各本支店にも設置しているところに特徴があります。各本支店では本支店長が委員長を務めており、ESG経営への「「全従業員の参画」を目指して作った仕組みです。ある支店では支店を挙げてウォーキングチャレンジに取り組もうと、委員会が主体となって呼びかけているとの話も聞いています。このように、ESG経営や健康経営をどうすれば実現できるか、いろいろなところから声が上がり、呼びかけ合って、盛り上がりを見せてくれればと思います。

体だけでなく心の健康に資する取り組みも検討中

ーー健康経営について、今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。

佐伯:今年が本格的な健康経営に取り組み始めた初年度で、目玉企画としてウォーキングチャレンジ制度と健康チャレンジログをスタートさました。そして保健師さんを雇い入れましたので、これから従業員の健康面でのフォローやサポートに取り組んでいきます。来年度の計画としては、先ほども申し上げたとおり、勤務時間内の禁煙をスタートさせる予定です。

また、積水ハウスさんが開発された「ヘルシーチャレンジアプリ」の導入も、来年の計画として考えています。積水ハウスグループに入ったことにともない、今年から保険組合が積水健保さんに編入され、定期健康診断のメニューが共通化しました。そのことから、アプリを活用した個別の健康アドバイスも受けられるように、現在は導入に向けたシステム整備を進めております。

さらに、健康経営は身体的なことだけでなく、精神的な部分でも注力すべきだと思います。承認欲求が満たされる環境作りや、ハラスメントの撲滅も従業員の精神的健康に資するものと考え、施策を検討している段階です。

具体的な方法は未定ですが、その一環として「サンクスポイント制度」も検討中です。従業員の幸せ度調査の結果を見たところ、弊社の従業員は「他者承認」が満たされていない傾向にあると判明しました。幸せ度そのものは調査を実施している企業のなかでは高いほうでしたが、「認められていると感じるか」の項目だけが一般平均より低かったのですね。社員からのヒアリングでも「感謝されたり褒められたりすることは非常に少ない」「あまり褒める文化がない会社だ」という声が多くあり、ポイントによって感謝を具現化させたり、上下関係に関わらず感謝を口にしたりができるような仕かけが必要なのではないかと考えています。

ーー最後に、健康に関心のある読者の方や、健康経営を考える企業のご担当者さまへのメッセージをお願いします。

中川:健康経営についての具体的な取り組みはスタートさせたばかりで、他社さんの取り組み内容から学ばせていただく点も多々ございます。そのなかで、弊社に合ったやり方で推進し、社内浸透を図ろうと取り組んでいるところです。

昨今、非財務情報が重視され、特に人的資本に関する事柄は注目度も高まっています。弊社としては従業員自身が健康で幸せでなければ、人や社会の幸せを考えるのは難しいとして、健康経営をESG経営における最重要施策のひとつと位置づけております。

従業員の心身の健康について、しっかりケアしていくことで、お客様をはじめとする全ステークホルダーの皆さまに、持続的な価値を提供できる企業でありたいと考えています。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:株式会社鴻池組

インタビュアー:塩野実莉

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