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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

社員の身体と心の健康をサポートする「日本システム技術株式会社」にインタビュー

健康診断の受診率100%はあたり前だと思っていた

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容や沿革について教えてください。

所さん(以下、所):弊社は1973年に大阪で創業した、システム開発を中心とする会社です。最初は7名でスタートした会社でしたが、2022年3月末時点で871名の従業員がおり、東京本社と大阪本社の2本社制で営業しております。また、海外展開としてタイ、シンガポール、マレーシア、中国にグループ会社を有しています。2023年3月に創業50周年を迎え、着実に成長してきました。

事業内容としては幅広い業界・分野のシステム開発に取り組んでおり、顧客企業のDX化、教育機関・金融機関向けパッケージソフトの開発・導入、保険者向けのトータルサービスなどを手がけています。また、そのなかで培ってきたノウハウも提供しています。

ーー御社は「健康経営優良法人2022」に認定されていますが、健康経営に取り組むようになったきっかけについて教えてください。

所: 2015年にKenko企業会に参加したのが、健康経営に取り組んだきっかけです。Kenko企業会は、自社の社員の健康を促進するためのベストプラクティスを共有する目的で活動している集まりです。

当時、単一健保の設立も視野に入れていたので他社の意見を参考にしたいという思いもあり、参画する大手企業の取り組みを知る機会にもなりました。当初は本当に何もわかっていなかったですね。他社の話を聞かせていただき、勉強する立場としてできるところからやっていこうと進めてきました。

そのなかで、自社でも社員の健康について取り組めていることがあると気付きました。例えば、健康診断の受診率100%や検査項目の充実など、誰もが知っているような大手企業からお褒めの言葉をいただくことも多かったです。健康診断の受診率100%はあたり前だろうと思っていたのですが、企業それぞれに課題があるのだと知りました。

その後、Kenko企業会の活動で参加したセミナーにて、健康経営優良法人認定制度を知り、認定を目指して社内での活動を進めた結果、2021年・2022年に認定いただきました。

平均年齢が若い職場の隠れた健康課題

ーー御社が実行されている健康経営の施策は、どのようなとことに必要性を感じて始められましたか?

大友さん(以下、大友):弊社の平均年齢は36.2歳と若いので、これまでに大きな病気をして治療歴や入院歴がある社員は少ないです。一方、健康への関心やヘルスリテラシーがあまり高くないのは、課題の一つだと感じています。

フィジカルヘルスでは、健康診断の結果は一見良く見えるのですが、データ集計するとさまざまな問題が明るみになりました。肥満の社員は約24%おり、年齢の割に肝機能が悪い人も多い。これはシステムエンジニアや事務職など、デスクワークを中心とする職種が多いので、運動不足も関係しているのではないかと思います。生活習慣についての問診結果を見ると、朝食を食べない社員が多く、生活習慣の乱れが見えましたね。

メンタルヘルスでは、コロナ禍の影響により新入社員研修終了後からほとんどテレワークという社員もおり、コミュニケーションを取りづらい状況にあったため、不調を見つけにくいという問題がありました。ちょっとした不調を抱えていても、家にいて人と接する機会がないから気付かないというテレワークの弊害が出ていると考えています。

ーー専属の産業保健師を採用されたのも、健康経営に取り組まれるなかで課題を感じてのことだったのでしょうか?

所:はい、そうです。当初は健康経営度調査の得点を伸ばすことに注目していましたが、何年かやっているうちに何か違うと感じました。

社員が健康になっているわけでもなく、調査票の評価を上げるのが目的では健康経営とはいえない。かといって、専門知識もない我々だけではできることが限られている。それで保健師が社内にいると良いのではないかという話になりました。

価値のある健康経営を実現するため、専門知識を持った人を採用したいと役員に話しました。承認を得て採用活動をしたところ、大友がまさに求めていた人材で、即決でしたね。看護師の経験もあるし、これまでの経歴も十分。2021年1月に入社して以降、健康経営の取り組みとしてやりたいことを進んで提案し、どんどん引っ張ってもらっています。

社員には自分の健康を守るスキルを身につけてほしい

ーー課題として認識している点について、具体的に取り組まれている内容を教えてください。

大友:健康診断の結果、要精密検査や要治療の全員にメールで通達し、受診結果を報告してもらうまで追いかけています。

また、2021年度は東京エリアの社員465名と個別に面談をして、一人ひとりの業務内容や生活スタイル、趣向などに合わせたアドバイスや、健康のために何をするべきかを話しました。

若いうちから健康を考えて行動すれば、この先40代50代になったときに反映されますし、健康な社員の多い会社になると学び、自分の健康を守るスキルを身につけているのが大事だと考えています。

健康診断の受診率100%はもちろん、必要な再検査や治療についても100%になるように取り組んでいますが、保健師のいない事業所ではそこまでやるのは難しいですよね。将来的には東京・大阪ともに、事後措置も100%を達成して維持したいと思っています。

メンタルヘルスでも同様に、休職者が復帰後に再発するのを防げるよう、本人と面談して復帰後の対応を考えるようにしています。

産業医や主治医が復職可能と判断したら、すぐに現場復帰する休職者は多いと思います。しかし復職可能といわれても、元どおりに働ける状態まで回復しているとは限らない。結局似た状況に陥って再発してしまうこともあるのです。

そこで、リハビリ出社で会社に来て、通勤や会社で過ごすことに慣れてもらいます。休職者が復帰の準備運動として、周りと顔を合わせて慣らしながら段階的に戻っていくので、再発防止に効果があると感じています。

ーー個別面談で個別にサポートされているのは、すごく温かいですね。そのほかで健康経営の取り組みとしてされていることはありますか?

所:2020年からウォーキングイベントを開催しています。弊社は9割近くがエンジニアなので、歩く機会が少ないですよね。仕事で身体を使わないので、せめて歩く習慣を身につけてもらいたいと思い始めたイベントです。

部署対抗戦や、ウォーキング中に撮影した写真コンテスト、目標達成者に賞品を出すなどマンネリ化しない工夫をしています。これまでは上期・下期に1カ月間ずつ、年に2回開催でしたが、今年は「習慣化」を目標に通年開催にしました。

参加者が増えるよう試行錯誤をしながら続けていますが、現在の参加者は300名ほど。全社員の50%にも届かず、まだ少ないですね。目標としては全社員の60%、600名弱は参加してほしいと考えています。何とか今年度中に到達しようと働きかけているところです。

ーー健康経営の取り組みのなかで、大変だったことはありましたか?

所:単一健保・JAST健康保険組合を立ち上げたときは大変でしたね。ただ、そうすることで健康保険組合と会社が一体となって、コラボヘルスを進められるメリットがあるので、実現できて良かったと思います。

以前は同種同業の企業で組織された総合健保に加入していましたので、当然ながら弊社の健康課題に特化した保健事業を推進してもらえません。それならば自社で立ち上げたいという話になり、単一健保の設立要件を満たしているかの確認や総合健保からの脱退承認、設立に必要な審査書類の作成、提出、事務局の設置といったことを進めて、2021年の7月に実現しました。

また、テレワークの制度化も難しい一面がありました。コロナ禍以前から在宅勤務制度はありましたが、事情がある場合を除いては日数上限がありました。コロナ禍になり、安全を考慮して出社人数を抑制する措置をとっている裏で、在宅勤務の日数上限撤廃と働く場所を拡大するテレワーク制度を構築しましたが、生産性、人材育成、健康の視点で「自社に最適な制度」を考えるのが大変でした。

大友:各種データの利活用が課題です。健康管理システムの導入によって、健康課題の見える化は実現しましたが、相関関係や因果関係の分析はこれからです。また冒頭のほうでもお話ししましたが、社員の年齢層が若く、健康上の問題を感じていない社員が多いことから、予防の重要性を理解してもらうのにも難しさを感じています。

社員の健康に寄り添い、データも活用した健康経営に取り組みたい

ーー健康経営の取り組みについて、社員の方からの反響はいかがでしたか?

所:反響というと「また大友さんに叱られる」という声が聞こえるのが、一番大きいですかね。面談をセッティングされると、前日はプレシャーで眠れないこともあるとか。

大友:そんなに怒ったりしていないはずですが、私がフロアに行くとお腹をキュッと引っ込める人もいます。

ーー東京地区の社員の方全員と個別面談されてきた大友さんの存在が、すごく大きいのですね。

大友:私は保健師として入社したのですが、社内では「保健師って何ですか?」という社員が多かったと思います。看護師は知っていても、保健師がどのような存在で何をしているのかは、知名度があまりないので。だから、個別面談に力を入れたのもそうですし、いろいろな場面に積極的に出ていって「保健師が会社に入ってきたよ」と、一生懸命アピールしました。

取り組みの結果としては、コロナ禍で肥満者や肝機能有所見者が増加していましたが、2020年から2021年にかけては脂質異常や高度肥満者が徐々に減少しているようなので、悪化に歯止めをかけられたかと思います。

所:健康管理システムの導入によって、結果をWebで参照できるようになったのも好評です。紙の健診結果だと、受診する医療機関が違えば過去データとの比較はできません。しかし、健康管理システムによって医療機関に関わらず比較できるようになりました。その結果、健康診断の受診機関の選択肢を広げられたのも喜ばれています。

ーー今後、健康経営を続けていくうえで目標や注力していきたい事柄はありますか?

大友:健康管理システムも導入され、検診結果をデータ集計、分析できるようになりました。そういったデータをもっと活用して健康課題を明確化し、KPIを設定して、それに基づいた施策の実行と同時に効果も検証するPCDAサイクルを回していきたいです。

また、JAST健康保険組合の設立によって、健康保険組合との連携のしやすさを非常に実感しています。しっかり連携を強化して、コラボヘルスを実現していきたいです。

一人ひとりが健康を考え、身体と心を健やかに

ーー最後に読者の方へメッセージをお願いします。

所:やはり健康の基本となる、食事と睡眠と運動を各個人のベストな形に保ち、若いときから続けていくのは大切だと思います。

私も若いときは、特別に運動していなくても太らず、痩せ体質だったのですが、年を取ってくると運動不足がお腹周りに来たように感じます。悪玉コレステロール値も一気に数値が悪くなりました。今からでも遅くないとは思いますが、若いときから気をつけておけば良かったと思います。

大友:皆さんに知っていただきたい言葉に「心身相関」というものがあります。身体と心は連動していて、どちらかが調子を崩すともう片方も引っ張られます。

例えば健康診断結果に悪いところがなくても、気持ちがすごく落ち込んでいると、頭が重いとか、何となく不調を自覚することはありませんか?逆に、どこか身体に痛い所や苦しいところがあると、気持ちも憂鬱になったり不安になったりします。そんなふうに身体と心は相互に影響し合っているので、どちらもバランス良くケアしてもらって、毎日生き生きと過ごしていただきたいです。

所:弊社でも社員に対する健康投資をよりいっそう進めていきます。社員が健康になれば、業務効率が上がって業績もアップ。社会課題である医療費の抑制にもつながり、社会貢献にもなります。健康長寿社会に向けた取り組みを推進し、社会を豊かにするITシステム・サービスを提供してまいります。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:日本システム技術株式会社

インタビュアー:塩野実莉

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