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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

Well-Being経営を行なっている「MS&ADインターリスク総研株式会社」にインタビュー

保険の前後を固めることでリスクマネジメントサイクルを完結させ、お客さまを、取り巻くリスクから守るMS&ADインターリスク総研

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の沿革、おもな事業内容、取り組みについて教えてください。

弊社のMS&ADインターリスク総研は、保険会社が中核となっているMS&ADインシュアランスグループに属しています。MSは三井住友海上のMS、 ADはあいおいニッセイ同和のADから取られています。

三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、持株会社であるMS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の中核損害保険会社です。グループ内には、三井住友海上あいおい生命という生命保険会社もあります。

MS&ADインターリスク総研の業務は、これらの会社が保険でカバーする部分の「前」と「後」を固めることになります。例えば損害保険では事故に遭わない、事故を起こさないための方策、自然災害に見舞われた場合に損害を小さく抑えるための事前準備などについて、アドバイスやソリューションを提供することです。

また、被害が生じたあとに、これ以上被害を拡大しない、1 日も早く元の状態に戻していく、再発を防止する方策についてアドバイスをすることも業務に含まれています。

つまり、お客さまを取り巻くリスクを、保険だけでなく総合的にマネジメント差し上げることで、安心して事業を継続運営していただくことが、弊社およびグループの役割、事業概要となります。

企業理念を実現するための健康経営=Well-Being経営とは

ーーありがとうございます。それでは健康経営に取り組みはじめたきっかけを教えてください。

5年前、当社内にヘルスケア関連の部門を立ち上げると同時に私も配属されましたが、この5年間はおもに健康経営に取り組む企業の支援を行なっています。

他の企業を支援するだけでなく、自らの実践を通して考え方を広めていくことも必要だろうと考え、自社でも取り組み始めた次第です。

ーーその5年前に、御社の従業員の健康に関して改善が必要だと思っていたところは何かありましたでしょうか?

弊社では、睡眠時間や腰痛・肩こりに課題を感じている社員が多いなどの事情はありましたが、深刻な健康上の課題があったというわけではありませんでした。

また、「健康」という言葉に囚われて、取り組み領域が狭くなり過ぎないように、弊社では「健康経営」といわず、「Well-Being経営」と称しています。健康経営の本来の姿である、企業理念・経営理念を実現する手段、企業価値を向上させる経営戦略の一つであることがより伝わりやすくするためです。さらには、そのために必要な取り組みを一般的にイメージされる健康増進の取り組みに留めず、より広範囲にとらえてもらいやすくするためでもあります。

当社では、イラストでお示ししたように、企業として掲げるパーパスを叶えていくためには、イノベーション=高品質なリスクソリューションを生み出す必要があり、そのイノベーションを生み出す源泉として大切にしたい価値観=コアバリューを社員間で共有したいと考えています。

このコアバリューをより深く浸透させていくには、社員のWell-Beingが不可欠であり、コアバリューが浸透することで、さらに社員のWell-Beingが向上し、持てる力を存分に発揮できる流れが作られていくと考えています。

Well-Beingは、あえて日本語に置き換えますと、「幸せ」という意味が近いと思います。慶應義塾大学大学院の前野教授の研究によりますと、「幸せを高めるためには大きく4つの因子がある。この4つの因子を意識して、それぞれが高まることをやっていくと幸福度が高まる」と仰っています。

この研究結果を参考に、これら4つの因子とコアバリューとの関係を意識しながら取り組みを展開していきたいと思っています。

ーー幸せの4つの因子について、そもそもこの考え方を取り入れるきっかけは何でしょうか?

5年前に現部門が立ち上がった時、関連するいろいろなイベントや講演会に通っていました。そこで偶然前野先生のお話しを伺う機会に恵まれ、”目からウロコ”であると同時に、「自分が進めたいと思っていた健康経営に不可欠の要素だ!」と感動し、その場から前野教授にメールを打ったことを覚えています。

ただし、社内で本格的に4つの因子を打ち出したのは一昨年から昨年にかけてです。幸福度を高めるためには4つの因子があるという情報提供は、経営陣や社員にもしていました。しかし、自分からではなく前野教授ご本人から直接お話ししていただくほうがインパクトを感じられるので、自身が5年前に受けた感動を同じように大勢の社員にも感じてもらえるのではないかと思い、社員向けに講演をしていただきました。

ーーありがとうございます。それでは具体的にWell-Being経営において、どのような施策に取り組まれているのかについて教えていただけますか?

体の健康も心の健康も大事なのですが、他人から必要とされる、役割を持っている、居場所があると感じられる状態、つまり社会的健康が満たされた状態でないとWell-Beingは感じられないと思います。

この「社会的健康」を高めるときに重要なのが、コミュニケーションです。社内のコミュニケーションをいかに活性化させていくかということが、大きなポイントになります。

去年の秋にオフィスを全面改装し、コミュニケーションスペースなるものを作りました。「フォレスト」と命名していますが、「森=forest」以外にも「forRest=休憩のため」や「forEST=最上級(を生み出す)ための」場所と位置づけ、仕事以外の雑談も気軽にできる、イノベーションを生み出すきっかけを作ってほしいとの想いから設置したものです。

そうしたイベントの一つとして、社員同士で集まってけん玉を始めました。トレーニングウェアに着替える必要もなく、経験・スキルに関係なく誰にでもできますので、気軽に参加してもらえます。普段とは異なるコミュニケーションを生むという効果を狙って始めました。

上達を目指すと下半身にスクワット同様の負荷がかかるため、体の健康に寄与するという効果も見込めますし、集中力を鍛えるという業務上の効果もあります。現在はコロナの関係もあり、密を避けるために、コミュニケーションスペースではなく大きな会議室を利用し、さらには、Web会議システムも活用して海外拠点とも接続しながら実施しています。

ーーコミュニケーションスペースで、現在どのくらいの方が実際にコミュニケーションを取られているのでしょうか?

まだ我々が期待している状態にはなっていません。朝、コーヒーを淹れながら、あるいは、昼食を食べながら会話をする人や、昼寝用のスペースとして活用している人もいます。本格的な活用は、コロナが落ち着いたあとかなと思いながら、気長に取り組んでいます。

社員が有用と思った情報は硬軟問わずに張り出せるインフォメーションボードも設置していますが、コーヒーを淹れながらこのボードを見ている社員が思った以上に多く、間接的なコミュニケーションは徐々に広がりつつあります。

ーーホームページを見ますと、良質の睡眠を取るためのセミナーについて掲載されておりました。健康に深く関わる要素として、睡眠は必須のものだと思います。こちらのほうも詳しくお聞きしてよろしいですか?

睡眠のセミナーは、お客さま向けの支援メニューとしても提供しています。グループ会社の産業医で睡眠に詳しい先生に監修をお願いして構築した内容です。

昨年は、社員に60台程度のスマートウォッチを貸し出して、睡眠の状態を見える化し、意識してもらう取り組みを行ないました。得られたデータを分析したところ、12 時前に寝るか否かで深い睡眠の時間に有意な差が出ることがわかり、社員に伝えています。また、睡眠時間の長さについても6~7時間は最低でも取るように働きかけもしています。スマートウォッチをつけると、自分の睡眠状態がわかり、取り組みへの意識づけになると思います。

最初から従業員全員が関心を向けてくれることはないですが、こうしたいろいろな取り組みを行なうことで、少しずつ関心の高い人が増えていき、そうした方々から周囲に伝播していくことを期待しています。

ーーありがとうございます。取り組みに対する、従業員の皆様からの反響はいかがですか?

施策によりさまざまですね。アンケートを取ると、かなり前向きな意見も書き込まれています。例えば前野先生の講演などは大きな反響があり、「家族にも伝えたい」「多様な友人を増やしたい」などフリー欄に記載されたポジティブな言葉も多く集まりました。施策によって当たり外れはありましたが、次の施策へのヒントにもなります。まだまだ試行錯誤が続いていますが、逆に考えれば常に進歩している状態です。

今後は多様なコミュニーケーションに着目したい

ーーありがとうございます。今後の展望として、健康経営について今後計画している取り組みや注力していきたいポイントなどありますでしょうか?

掲げているコアバリューの一つに「多様性の尊重」があります。また、「幸せの因子」の一つは多様な仲間がいることでも高まります。これらの第一歩は「相手を知る」ことだと思っています。相手を知るためにはコミュニケーションが欠かせませんので、その活性化に取り組んでいきたいと思っています。

今年度からの新たな試みとして「My favorite lunch会」なる取り組みを始めています。これは、リモート上でみんなと昼食を取りながら、自分の趣味や好きなことなど、仕事と関係ないことを5〜10分でプレゼンし、他の方々からの質問に答えたり、思いがけず同士を見つけられたりするイベントです。仕事中には伺えない意外な一面が垣間見られ、非常に盛り上がっています。

さらに、One on Oneミーティングの制度化につなげていきたいとも思っています。これは、上司が部下の話を、判断を交えず(Whithout Judgement)、さえぎらずに聞くということが中心になります。まず上司の方々に研修を実施し、傾聴すること・されることの重要性や「聴く」と「聞く」の違いを認識してもらったあとで定期的に運用する形にしたいと思っています。

ーー最後に健康に関心のある読者へのメッセージとして、これから健康経営を始めたい企業や担当者様、あるいは一般の読者に対して伝えたいことがあればお願いします。

私がコンサルティング業務でお客さまに接したときに必ずお伝えしていることですが、「それぞれの会社の“健康経営ストーリー”をぜひ考えてみてください」ということです。

会社によっては大きな健康上の課題を抱えているケースがあるかもしれません。当社のようにコミュニケーションが課題だととらえている会社もあるかもしれません。その課題を解決していくことが社員の力をどのように高め、それがどのような流れで、企業として目指している姿の実現につながっていくかを考えることが非常に重要になると思います。

健康経営の、あるいはWell-Being経営の「ストーリー」を自社の経営目標や課題を当てはめながら描き、そこに取り組み施策や得られる効果・狙いなどで肉付けして、重厚でオリジナリティのあるおもしろいストーリーにしていってほしいと思います。

ーー本日はありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:MS&ADインターリスク総研株式会社

インタビュアー:塩野実莉

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