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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

従業員数25名の会社で取り組む健康経営。日美商事株式会社にインタビュー

従業員数25名の専門商社

ーー本日はよろしくお願いいたします。御社の事業内容や沿革を教えていただけますか?

岡さん(以下、岡):当社は、電線やケーブル、化成品の原料などを販売する専門商社です。設立は1938年、東京電燈という現在の東京電力と古河電気工業が日本軽金属を設立する際に、アルミニウムの原料であるボーキサイトの輸入をするために設立しました。

戦後、社名を変えて現在の日美商事となりました。これからはアメリカと仲良くする時代だろうということで、日美商事の「美」という漢字はアメリカを意味しています。古河電気工業は現在も特約代理店で、同社の電線やケーブル、付属品、伸銅品等などの国内販売を行なっています。近年は情報通信関連分野に強みを持ち、光ファイバーケーブルやLANケーブル、その周辺機器の販売に注力しています。

現在、年商58億円程ですが、従業員は25名と少人数の体制です。そのため従業員が1人でも病気になってしまうと業務体制上も困るものですから、これまで従業員の健康を重要視してきました。

ーー御社は健康経営優良法人を取得しています。健康経営に取り組み始めたきっかけを教えてください。

岡:2017年4月に私どもが所属している東京都電機健康保険組合から「健康企業宣言をしませんか?」という案内がありました。当社は、以前より健康経営に関心が高かったためすぐに健康企業宣言を行ない、取り組みを始めました。それにより、会社として「健康経営の取り組みをより強化していこう」という方針で、健康宣言の内容にある、健康診断結果の活用や健康づくりのための職場環境、食、運動、禁煙、心の健康などに本格的に取り組んだのです。その結果、2017年の12月に健康優良企業、銀の賞の認定を受けました。

当社を含め約400社が加入している組合のなかで、健康企業宣言をスタートしたことも銀の賞を獲得したことも当社が最初だったそうです。そこから健康経営が回り始めましたね。2019年からは日本健康会議の健康経営優良法人2019の中小規模法人部門の認定を受けています。健康経営優良法人は、2020年2021年2022年と取得していて、2021年から始まったブライト500(中小企業部門の上位500社)も2021年、2022年と取得できました。

前述した健康保険組合の健康企業宣言はステップ1ですが、4年前からステップ2に取り組んでいる段階です。ステップ2の取得には実績の数字が強く求められ、クリアすると金の賞を取得できます。毎年チャレンジしていますが、従業員の人数が少ない点がデメリットとなっていることを実感していますね。例えば、健康診断の再検査率、有給の取得率などを割合で出す場合、1人のパーセンテージが大きくなってしまいます。

従業員7名が健康管理委員として活動

ーー健康経営に関する具体的な施策として、どのようなお取り組みをされていますか?

岡:まず、みんなに健康リテラシー持ってもらうために勉強会や講演会を企画しました。健康な人はなかなか健康について意識することを忘れてしまいますよね。そのため、毎週朝礼時に健康に関する3分間スピーチを行なったり、ストレッチやラジオ体操を行なったりして、健康に対する関心を高めてもらおうと考え、実施しています。

健康経営の組織体制としては、当社にある営業2部と総務部から7名を選抜して健康管理委員を作りました。活動内容としては、取り組む施策を話し合うために、月に一度会議を行なっています。この7名には東京商工会議所の健康経営アドバイザーという資格を取得してもらい、みんなの健康を引っ張ってもらっていますね。朝礼の場や営業会議の場、メールなどで健康に関する情報発信もしてもらっています。発信する健康情報のテーマは、例えば睡眠について、朝食を食べることの重要性などです。

また、新型コロナの感染が広がってから3年が経ち、東京商工会議所で雛形を作ってくれた「感染症BCP」改定を行なっています。新型コロナウイルスなど感染症の状況はどんどん変わっていくので、それに応じて改定しながら従業員のみなさんに発信することで対策をとってもらっています。

ーー心の健康に対しては、どのような取り組みをされていますか?

岡:当社は50名以下なのでストレスチェックは義務ではないですが、心の健康は特に気をつけるために毎年行なっています。結果をABCの評価で行ない、Aの高ストレス者には提携している生命保険会社のメンタルサポートを紹介し、医師に相談に乗ってもらうようアドバイスしています。また、グループ別に昨年と比べてどのように改善されたかなどを話し合い、より働きやすい職場環境を目指しています。

ーー健康経営に取り組む中で大変だったことはありましたか?

岡:申請に伴い、記録を取るなどしてきちんと資料を揃えておかないといけないことですね。健康企業宣言などは、メールで共有した内容やサイトに掲載した内容、従業員に話した内容まで資料として取っておかないといけません。実務の面ではとても面倒で大変だと感じました。

また、施策を行なう中では従業員の関心を高めることが難しかったですね。仕事が忙しくて健康を気にしていられないという意見もありました。しかし、その人たちの関心を高めるのが健康経営で重要なことだと考えているので、講演会や健康に対する情報発信で健康に対する教育を進め、みんなに同じ方向を向いてもらうということが必要ですね。

採用活動で活きた、健康経営

ーー健康経営に取り組んだことで何か反響はありましたか?

岡:健康経営に取り組んだことで、採用活動の面でも良い結果をもたらしました。求職者の方も健康への意識も上がってきていますし、健康経営優良法人を取得しているとブラック企業ではないという証になりますよね。去年から今年にかけて行なった採用活動では約560名からの応募があり、健康経営優良法人の取得以前と比べて多くの方にお会いすることができました。中小企業は採用に苦戦することも多く、より良い人材の確保が課題でもあります。健康に気を付けて取り組んでいる会社ということがこのような結果につながりとても驚きました。

環境経営と健康経営の両立

ーー今後の展望を教えてください。

岡:私どもは健康経営と並行して、持続可能な社会の実現に向けて貢献したいという思いから環境経営にも取り組んでいます。体制としては、環境経営のエコステージという第三者認証への取り組みのなかに、健康経営の取り組みも入れているという形ですが、約3年前からSDGs未来経営宣言を行ない、4つのSDGsの目標を掲げています。その中に「働き甲斐も経済成長も」といった健康経営に関わる目標もあります。

3年先、5年先の中期経営計画を立てる時には、2030年に向けた、この4つの目標を達成する取り組みを中心に考え、達成するために現在やるべき施策を立てています。売上や利益の目標達成や、事務のIT化を図るなど作業の効率化も重要ですが、健康経営の推進としては従業員の満足度を中心に掲げています。

チャレンジすることで見えてくる課題

ーー健康に関心のある読者の方や企業の健康経営ご担当者様へ、メッセージをお願いします。

岡:従業員の健康を考え、健康経営に取り組んでいると会社の業績も安定することを実感しています。健康経営優良法人2023の申し込みが始まっていますので、ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。認定を取得できる、できないという結果のほかに、従業員の健康を守っていくうえで必要な課題が見えてくるので、ここから始めてみてはいかがでしょうか。

ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:日美商事株式会社

インタビュアー:塩野実莉

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