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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

創業時より健康で働きやすい職場作りに努めてきた日東精工株式会社にインタビュー

健康増進を組み込んだ社是で会社全体が健康を意識

ーーまずは御社の沿革や事業内容について教えてください。

有本さん(以下、有本):弊社は1938年に創業開始いたしまして、創業当時は時計の修理やダイヤルゲージ製造をしておりました。1956年からは工業用ファスナー(ねじ)の製造を開始し、ユーザ様のコスト低減を実現するタップタイトねじの開発・製造・販売を行なっております。1981年にはねじ締め機の開発も行ない、この時期からアジア圏を中心に海外展開もスタートさせました。

現在は、ねじの製造販売を行なうファスナー事業部、自動組立機を提供する産機事業部、流量計や小型部品の寸法を検査する装置、地盤の硬さを測定する地盤調査機などを手がける制御システム事業部、2020年4月に発足したメディカル製品の開発を行なうメディカル新規事業部、以上4つの事業部を展開しております。

また、女性活躍の推進や子育て支援にも力をいれておりまして、厚生労働省の「えるぼし認定」(職場での女性活躍推進について一定基準を満たす企業の認定制度)や「くるみん認定」(従業員の子育てサポートについて一定基準を満す企業の認定制度)、経済産業省の「なでしこ銘柄」(女性活躍推進に優れた上場企業が選定される制度)、京都府からの「あったか子育てきょうと表彰」(子育てしやすい社会作りに取り組む企業・団体への表彰制度)といった外部認証・表彰を受けております。

ーー健康経営を始められたきっかけや背景にはどのようなものがあったのでしょうか?

藤原さん(以下、藤原):弊社は社是で「よい人がよい仕事をして、よい貢献をする」「よい人づくりには先ずは健康増進から」と謳っており、創業当時より健康で働きやすい職場環境作りに努めて参りました。2019年には中期経営計画として「NITTOSEIKO Mission”G”」がスタートし、戦略テーマのなかに健康経営の概念を盛り込み、本格的に取り組むようになりました。従業員が病気ではないということだけでなく、身体的・精神的・社会的に満たされて活き活きと働ける状況を目指して、取り組みを推進しております。

片山さん(以下、片山):社是は1962年に制定されました「我らの信条」という文面なのですが、そのなかにも「健康を増進し」という文言があり、毎日の朝礼でも全員で唱和しています。ですので、健康増進については我々従業員にも、以前から浸透している状態です。

健康に関するセミナー開催で従業員の学習機会を作る

ーー以前から従業員の健康に対して注力されていたようですが、健康経営の取り組みを始める以前から課題に感じておられた点はありますか?

藤原:弊社の本社や工場は車がないと生活が難しい京都府の北部にあり、どうしても車での移動が中心になります。そのため日頃から運動している方が少ないのが課題です。

KPIでも運動を挙げていますが、運動習慣がある方は17.2%と低く、生活習慣病にも関連する項目なので改善が必要だと感じていました。

片山:弊社は部活動にも力を入れており、自社の体育館を使っての活動も盛んです。野球やバドミントン、卓球など、部活動に参加してスポーツをしている方は健康増進になっているのですが、参加していない方へ十分な働きかけができていないのが現状です。

藤原:また、労働時間はそこまで多くはないのですが、職場環境や人間関係、本人の抱えている問題を原因とするメンタルの不調で休職される方が多く、2016年からストレスチェックを始めました。

ーーそれでは健康経営の取り組みについて、具体的な内容をお伺いします。

片山:ホームページにも出していますが「Nicotto7(ニコットセブン)」という、独自の取り組みを実施しています。運動、夕食、朝食、飲酒、メンタルヘルス、禁煙、睡眠の7項目を掲げて生活習慣の改善や健康リスクの軽減、活気ある職場作りに取り組んでいます。

藤原:運動に関してはウォーキングキャンペーンの実施、夕食・朝食、飲酒の部分ではセミナーを受けていただいてヘルスリテラシーの向上を図っています。禁煙に関しては、セミナーで喫煙についての知識を得る機会を作るとともに「日東禁煙週間」を導入しました。まだ、全面禁煙までは実現していませんが、期間中の休憩時間は禁煙してみようという取り組みです。

片山:セミナーは2カ月に1回ぐらいのペースで実施し、健康について学んでいただく機会を設けています。

有本:セミナーの内容は社員専用のライブラリーに随時アップして、当日参加できなかった従業員も後日、動画を見られるようにしています。30分から1時間程度の動画を見てWebでレポート提出できるようにして、なるべく多くの従業員が参加できる形にしています。

また、弊社の教育制度には単位制を取り入れておりまして、仕事に関する研修を受けるだけでなく、こうしたセミナーに参加してのレポート提出でも、単位付与されるようになっています。そうすることで、セミナーへの参加や動画視聴の動機付けになるよう進めています。

片山:部活動は特定の部署だけが活動しているのではなく、活動に興味を持った人が世代も部署を超えて集まってやっています。スポーツだけでなく過去には文化系の集まりもあったことで、社内でのコミュニケーションや交流の機会にもつながっていると思います。厚生会の行事として、「市民駅伝」や「80m巻きずし作り」といった、従業員が家族と一緒に楽しんでもらえる行事も取り組んでいます。

ーー取り組みをされるなかで、従業員の皆さまからの反響や効果を感じた点はありますか?

片山:健康に関するセミナーは意外と楽しみにしてくれている従業員も多いようで、私たちも驚きました。開催予定の問い合せや「次はこんな内容をやってほしい」「会社が実施してくれてありがたい」といった声も寄せられて、健康への関心が高いということを実感できました。

コロナ禍の影響で1箇所に集まってのセミナー実施が難しくなり、今後の開催をどうしようかと思っていたのですが、Web開催にしたところ、受講者が増えたのは良い効果でした。ライブラリーにセミナー動画がアップされるようになりましたので、自分が勉強したいときに試聴できるのもありがたいという声をいただいています。

これからも健康セミナーや情報提供をしていって、さらに意識を高めてもらえるよう進めていきたいなと思っています。

藤原:社内の反響としては、トップの発信や「健康経営銘柄」「健康経営優良法人ホワイト500」の認定をいただいたことで従業員の認識も深まり、ヘルスリテラシーが徐々に向上していると思います。

ストレスチェックや各種健康習慣のアンケートも取っていますが、こちらも少しずつ改善の傾向が見られますので、健康経営の取り組みによる効果が出てきているのかなと感じます。

健康経営を理解してもらうにはトップからの発信も重要

ーー健康経営の取り組みをされるなかで、大変だったことや苦労されたことはありましたか?

藤原:健康作りというと、自分自身でやるものという概念がありました。そのため、会社経営の一環として組織で取り組むにあたり、その重要性を理解して従業員が一体となって推進するには、少しハードルがあったように感じます。それについては、経営トップから発信を繰り返ししていただいたので、従業員の理解度は上がっていきました。

先ほど、セミナーの開催方法を変更したことについても触れましたが、集合型のセミナーや部署ごとに集まって実施していた体力チェックが、コロナ禍により実施できなくなり、計画変更を余儀なくされたというところは少し苦労した部分です。

片山:健康経営を従業員に理解してもらうのは、私たち一担当者が発信するだけでは進みませんでした。それで、社長からも朝礼で「従業員と従業員の家族の健康は、会社にとってかけがえないものである」と繰り返し従業員に伝えてもらい、健康経営の概念が経営計画に組み込まれた結果、理解が進んだ実感はあります。

また、取り組みのなかで健康経営推進委員会という組織ができ、そこからいろんなことを進められるようになりました。その組織には役員と労働組合も入って、みんなで取り組む形で進めました。私たちが、必死に健康を呼びかけるだけでなく、会社の上層部や組合も協力して、みんなで力を合わせて健康経営をやっていこうという形になったのがとても大きかったと思います。

明るい未来のための健康作りを推進したい

ーー今後の展望や目標、計画していることがあれば教えてください。

藤原:今までは従業員が健康に働けるよう、個人に対しての施策を中心にしていましたが、今後はそれも継続しながら、組織の健康というところにシフトしていく時期かなと感じています。具体的には、プレゼンティーズム(労働生産性損失)が、やや大きい傾向にありますので、そちらの減少や働きやすい職場作りの推進に力を入れていきたいです。

片山:従業員が最低限健康であるというより、健康で楽しく元気に働ける状態であることが生産性向上につながり、本当の意味での健康経営の推進になると思います。「健康でなければならない」という考え方ではなく、健康で楽しく元気に仕事ができるように、退職後も元気で生き生きとした生活ができるような、健康な人生を送るための発信や施策を展開していきたいと考えています。

有本:広報としましては、外部の認証や表彰を受けた際、都度、社外にも発信しておりますが、そうした受賞報告だけでなく社内の取り組みについても報道機関に取り上げてもらえるようにしたいですね。そして、地元の方にも弊社の取り組みを理解してもらえるよう努めていく必要性を感じております。

ーー最後に、健康に関心のある読者の方へメッセージをお願いします。

藤原:人生100年時代といわれる昨今、老後をいかに健康に過ごせるかは、日々の積み重ねであると感じています。自分らしく楽しい人生を送れるよう、できることから一つずつ取り組んでいただけたらと思っています。従業員の方が退職後や老後に弊社で働いてよかったと思えるように、また、従業員だけでなくステークスホルダーの方々にも、健康経営を推進していけたらなと思います。

片山:病気をしないための健康作りではなく、自分にとっての楽しさや生きがいを目的とした明るいものであればいいなと思います。生きていくなかで健康は切り離せないものですから、いかに楽しくやっていくかも大切です。もし、体調を崩しても、そこから立ち直って明るい方向に目を向けられればいいと思いますし、社内にもそのように働きかけていきたいです。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:日東精工株式会社

インタビュアー:朝本麻衣子

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