
株式会社PHONE APPLIは、企業のウェルビーイング経営を支えるアプリケーションサービスを行なっている会社です。2022年3月には、ウェルビーイング経営に関する書籍も出版されました。
従業員みんなが心身ともに健康で、人との絆を感じられるウェルビーイング(幸せ)な状態を目指して、ビジネスモデルの転換や週に1度マネージャーとメンバー1対1で実施されるWeekly 1on1で、マネージャーとメンバーの「心理的安全な関係」「信頼関係」の構築を行なうなど、会社全体を巻き込んで健康経営に取り組んでいます。
今回は同社で健康経営に取り組む、ウェルビーイング経営コンサルティング部長 兼 CWOアドバイザーの藤田さん、ヒューマンサクセス本部 ヒューマンリソースマネージャーの出口さん、マーケティング企画本部 セールスマーケティング部の野々山さんにお話を伺いました。
組織を強くするコミュニケーションポータルを提供

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業について教えてください。
藤田さん(以下、藤田):当社は、「働くを変える、生き方が変わる」というコーポレートメッセージのもと、企業のウェルビーイング経営、それからコミュニケーションの変革を支援し、人々が生き生きと働くことを実現するアプリケーションサービスを提供している会社です。導入企業数が約3000社、ユーザー数が約191万人の会社となっております。社員数は現在300名 ほどで2008年に創業して以来増え続けています。
メインサービスには、「組織を強くするコミュニケーションポータル」であるPHONE APPLI PEOPLEがあります。このアプリでは、社員の基本情報や現在の状態(取り込み中、連絡可能など)の確認ができるほか、社員が交換したお客様の名刺を一覧で確認することができます。
ストックビジネスの比率を増やすことで、業務量を安定させる

ーー御社は「健康経営優良法人2022」に認定されています。健康経営を始めたきっかけについて教えてください。
藤田:きっかけは二つあります。一つはビジネスモデルの転換があったこと、それからオフィス移転があったことです。まずはビジネスモデルの転換についてご説明します。当社のメインサービスであるPHONE APPLI PEOPLEはストック型(毎月の課金型)のサービスですが、実は、4年前はパソコンのIPの電話設備やオンプレと呼ばれているサービスがメインでした。こちらのサービスがメインだと労働集約型となり、例えば年度末など忙しい時期に業務が集中してしまい、社員の残業が多くなってしまいます。忙しい時期と忙しくないと時期に波があり、社員の健康状態にも良くない状態が続いていました。
それから、ストックビジネスの比率を増やすように転換し、現時点では65%ほどがストックビジネスです。それにより安定した仕事量で働ける状態を保つことができ、結果的に社員の皆さんが生き生きと働ける環境の土台を作りができました。
また、2018年にはオフィスを移転しました。新しいオフィスには、テントのスペースを含めたさまざまな場所を用意しています。フリーアドレス制度を導入しているので、ご自身のパフォーマンスが発揮できる場所を選んで働いてもらっていますね。コロナ禍以前からテレワークという働き方も選択肢の一つです。ストックビジネスへの転換とオフィスの移転、この二つの土台作りを行なったことが、本格的に健康経営に取り組むきっかけとなりました。
ーー施策に取り組むときに意識していることはありますか?
藤田:当社では積極的に新しい施策を取り入れていますが、その際に意識しているのが「ルール、ツール、プレイス」という枠のなかで考えることです。まずはルールを取り入ることで、継続的に取り組みを続けられる土台を作り、ツール(施策)、プレイス(働く場所)という順番で考えていきます。
一人ひとりの社員がウェルビーイングになることを目標として掲げたときに、何か一つの施策を実行しても、社員全員がそれに対して「この施策があって良かった」と思うことはおそらくないと思います。人によって環境を重視する人もいるでしょうし、環境はそこまで重視していないけど人間関係を大切にする人など、いろんな趣向の方がいるので、幅広い施策に取り組むことが大切だと考えています。
幅広い施策を取り入れるだけでなく、その施策の効果や結果も重視しています。例えば、毎週上司と部下が30分間話す“Weekly 1on1”では、終了後に部下がアンケートに回答するルールです。また、ウェルビーイングカンパニースコアという、社員の健康状態の現状把握を目的としたアンケートをとることで、行なっている施策の効果ができているのかを確認するようにしています。効果が出ていない場合は、足りない箇所を補っていく流れです。
上司と部下が何でも話せる関係値の構築

ーー具体的にはどのような施策に取り組まれているのでしょうか?
藤田:一つ目は、ウェルビーイングカンパニースコアという、組織の幸福度を測定するアンケートを毎月一回行なっています。結果を分析するときに意識していることは、結果だけを評価するのではなく、それぞれのチームでどのような変化があるのか、どのような特徴があるのかを見ることです。結果を公開することで、「より働きやすいチームになるためにどういうことができるのか」を自分たちで話し合ってアクションを起こしてもらっています。
また先ほどお伝えしたWeekly 1on1では、毎週欠かさず上司と30分間話す時間を設けています。仕事の相談をしたい場合は仕事の話をしても良いですし、プライベートの相談でも良いです。上司は部下が何を望んでいるのかを考えて傾聴やアドバイスを行ない、何でも話せる関係の構築を目的としています。
出口さん(以下、出口):「仕事で相談したいときにいつでも声をかけてね」と上司に言っていただきますが、忙しくてなかなか声がかけられないときもあります。毎週この時間に必ず上司と話せると決まっていることで、私も安心して働けていますね。「今後のキャリアが心配」といったすぐに仕事に直結しない話しもできるのは、1カ月に1度の実施ではなく、1週間に1度だからこそだと思います。また、部下とのミーティングでは「忙しそうだけど大丈夫?」「あのとき、実際はどう思っていたの?」など、オンラインで聞けない細かいことや本音を聞くことができるので、上司としても安心できる制度です。
藤田:その他の施策としては、Wellnessアンバサダーという名称で、当社の健康経営に関わりたい社員を手上げ制で募集しました。今年3期目で、毎年20名ほどのメンバーがいます。私が2019年に当社に入社したときに、健康経営の取り組みを会社全体で行なうことを目的として発足しました。アンバサダー主催の施策も考えてもらい、コミュニティ活動の一環として楽しんで取り組めるような活動を意識しています。
また、毎週水曜日はオンライン宅トレという取り組みを行なっています。始めたきっかけは、コロナ禍になって私自身も運動をしなくなり、「自分1人だとなかなか続かないけど、誰かと一緒にやったら続けられるかもしれない。」という話を別の部署の社員と話したことです。それなら、お昼の時間帯に集まれる人だけ集まろうと、YouTubeのトレーニング動画を参考にオンラインでトレーニングを実施しています。今日は5分だけなど、隙間時間に少しだけ集まれるので、取り入れやすいですよね。
ーー御社はホワイト500を取得されています。その理由はどのような点にあると考えられますか?
藤田:経営者である社長が健康経営にコミットしているという点は、やはり大きいと思います。社内への発信だけでなく、社会に向けて、セミナーの開催やプレスリリースなどで発信していることですね。また、健康経営を推進するWellnessアンバサダーの発足で、社長だけでなく、社内のいろいろな立場の社員が関わってくれたことで、一体感を持って取り組めていることが、4年連続で取得できている理由と考えています。
働くことでポジティブな考え方ができるようになった

ーー健康経営の取り組みに関する、社内の反響はいかがでしょうか?
出口:当社はメンタルヘルスにも力を入れて取り組んでいます。管理職向け、一般社員向けにメンタルケアの研修動画の提供や、メンタルヘルスマネジメント検定の取得サポートを実施したことで、心身の不調を抱える社員に、一早く気付く管理職が増えてきたなと感じています。「最近、メンタルが安定していない感じがするけど大丈夫か。」「カウンセラーと話してもらった方がいいか。」などの問い合わせがとても増えています。施策が浸透してきたことを感じますね。
野々山:私、個人の意見になりますが、この会社に入ってからポジティブな考え方ができるようになったと思います。もともとネガティブな考え方をすることが多かったのですが、きっかけは、「ポジティブに生きることがいかに大事か」ということを会社でもいつも発信してくれていることだと思います。緊急事態宣言のときには出社制限などがあり、誰もがネガティブに考えてしまうタイミングでも、ウォーキングイベントを開催してくれて、みんなで運動を行ない、Weekly 1on1では上司と連携することですごくポジティブな気持ちになれました。人生においてポジティブになることは大事だと学べたことが、良い経験だと感じています。
ーー今後の展望として、どのようなことを考えていますか?
藤田:健康経営には「ビジョンの浸透」というのがすごく大切だと思っています。一人ひとりがビジョンに対して、具体的にイメージを持って向かっていくために、みんなで対話する場を作り、ビジョンを深めていく機会をもっと作っていきたいと思っています。
弊社は、『ウェルビーイング経営!』という書籍を2022年3月に出版していて、そこにも書いておりますが、社員の一人ひとりがウェルビーイングになるには「対人関係」「未来」「仕事」「環境」の四つの要素が大切です。人によって重視する要素のバランスが違うので、まずは社員に、自分自身はどのようなバランスが一番ウェルビーイングな状態なのかというのを理解してもらうことも大切です。また、会社としていろいろなバランスの人がいることを受け入れながら施策を行ない、社員全員で作りあげていきたいですね。
担当者の方も楽しんで取り組んでいきましょう
ーー健康に関心のある読者の方や、企業の健康経営ご担当者様に向けてメッセージをお願いします。
藤田:健康経営はゴールがなく、道を歩み続けることが大切だと思っています。担当者の方はイベントを企画しても参加率が低いなど、楽しめなくなっている方も多いのではないかなと思います。そういったときは、社内での情報交換だけでなく健康経営に取り組んでいる社外の企業と情報交換をしたりして、担当者のみなさんと励まし合って、一緒に楽しむことも一つの手ではないかと思います。
自社だけで取り組んでいると孤独なので、自分自身が楽しむために健康経営について同じ思いを持っている企業と情報交換しながら、応援し合って続けていきましょう。ぜひ当社に興味がある方はご連絡ください。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社PHONE APPLI
インタビュアー:塩野実莉
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