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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

休暇や休職者への補償など福利厚生も充実!株式会社昭和設計にインタビュー

建築や都市開発の調査から企画、設計、監理にコンサルティング業務まで行なう株式会社昭和設計。経営理念のなかに「社員の幸せの実現」を謳い、社長自らが健康経営の責任者となり、社員の健康や労働環境の改善に注力しています。

「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」では上位法人に付与される「ホワイト500」にも選ばれ、福利厚生の充実から福利厚生表彰・認定制度「ハタラクエール2022」の表彰・認定も受けています。

今回は同社が認定にいたった経緯や取り組み内容、今後の展望などについて、代表取締役 梶山卓二 社長、総務部 茶円麻由子さんにお話をお伺いしました。

建築や都市計画の設計・監理にコンサルティングまで行なう株式会社昭和設計

ーーまず、御社の沿革や事業内容について教えてください。

梶山社長(以下、梶山):弊社は1957年に神戸で創業し、従業員数は現在218名。2022年10月で65周年を迎えます。おもな事業内容は都市建築や環境に関わる調査、企画、設計、監理、再生業務(診断や保全計画、改修)などのコンサルティング業務をしております。

建築であれば建築物全般を担当し、都市計画であれば開発計画や地区計画、土地利用計画、下水道計画を担当し、環境系につきましては、清掃工場や下水処理場、浄水場、上下水道などを手がけております。また、それらに関する各種のコンサルティング業務も行なっています。

「社員の幸せの実現」を謳う会社として健康経営にも着目

ーー御社は健康経営優良法人の認定を受けられていますが、申請にいたった経緯や健康経営に着目されたきっかけを教えてください。

梶山:従来から、一級建築士や技術士など、業務に欠かせない国家資格を有した技術職者は、60歳を超えても働いていましたが、2006年に高齢者雇用安定法の改正を受け、65歳までの再雇用制度を正式に導入しました。それにともない、長く勤めてもらうには社員の生活習慣病予防や重症化を抑える対策の必要性を感じました。

また、弊社の顧問弁護士が健康経営研究会の副理事長をされており、以前から健康経営優良法人について教えてもらっていました。加えて、弊社は経営理念のなかで「社員の幸せの実現」を謳っており、社員の幸せには健康が基礎になると考え、以前から社員自身が生活習慣を見直すよう取り組んでおりました。

こうした背景から、健康経営優良法人の認定を受ければ、弊社の取り組みが社内外に認知され、社員の健康に対する意識がさらに高くなると考え、申請にいたりました。

ーー健康経営の取り組みをされるなかで、社員の健康状態について改善が必要だと感じていた点はありますか?

梶山:設計という業界の特性から、長時間労働は長年の課題でした。設計業務はオーダーメイドの仕事で、その内容によって必要な時間が異なります。長時間労働を減らそうとしていたものの、担当者は自分の仕事への思い入れもあり、労働時間が長くなっても頑張ってしまう傾向がありました。そこに折り合いをつけるのが難しく、長時間労働による生活習慣の悪化や家族との時間が取れないといった問題が発生していました。

最近では、長時間労働が影響してメンタルヘルスに関する問題もあります。難しい問題ですが、何とか改善したいと取り組んでいるところです。

ーー長時間労働による問題には、どのような対策をされていますか?

梶山:労働時間の平準化を図るため、作業時間の見える化に取り組んでいます。各人に与えられた作業にかかる時間をデータ化し、過剰労働が予想される場合は仕事量の調整や担当の変更などを考えられる環境は整えました。

しかし、仕事には各人の得意分野もあり、すべてを平準化にするわけにもいきません。以前よりは長時間労働を減らせていますが、全体的な改善にまでは至っておりませんので、今後も課題として取り組むべきことです。

風邪予防や健康増進運動を続け、社員の賛同を得る

ーーそれでは、健康経営の取り組みとして実施された施策について、詳しく教えてください。

総務部 茶円(以下、茶円):健康経営の取り組みとしては、「風邪ひきゼロ運動」や「健康ウォーク」といった、弊社が加入している大阪府建築健康保険組合さん主催の運動への参加があります。また、社員の健康意識を高めるべく健康セミナーも定期的に実施しています。

「風邪ひきゼロ運動」は毎年12月から翌年2月までの3カ月間、冬場の風邪を引きやすい時期に食事や睡眠、運動など各自で生活習慣を見直し、風邪を予防しようという運動です。

この運動は社員だけでなく、扶養家族の方も参加できます。参加希望の方は参加票を提出し、3カ月間取り組んでもらったあと、風邪を引かなければ健保から健康奨励賞が贈られます。また、達成時には達成書を提出してもらうのですが、ここには風邪を引かないよう注意した事柄などを書いてもらっています。

「健康ウォーク」は年2回の開催で春は4月から6月、秋は9月から11月の3カ月間、各自で歩いてもらうイベントです。参加は希望制で、参加を申し込むと専用のシートが送られ、所定の歩数や時間を歩くことができたらマスを塗りつぶしていきます。最終的にどれだけマスを埋められたか、得点を得られたかが集計され、点数に応じた奨励賞が与えられます。

当初はごく少数しか参加していませんでしたが、10年以上毎年続けた結果、近年は社員の健康意識も高まってきているようで、参加者が増えてきています。「風邪ひきゼロ運動」運動は100名以上、「健康ウォーク」は15名~20名が参加している状況です。

健康セミナーはいろいろなテーマで実施しており、具体的には歯の健康や生活習慣、アレルギー、東洋医学と漢方などのセミナーを実施しました。メンタルヘルスや心と体のセルフケア、アンガーマネジメントを取り上げたものもあります。ほかにも、その場で実践できる内容を取り入れ、歩いたり簡単な体操をしてもらったりするウォーキングセミナーや肩こり・腰痛を防ぐセミナー、さらに健康診断の結果の見方のセミナーやご家族などの介護のセミナー、パワハラ防止のセミナーなども行なっています。

ーー健康経営を実践するうえで、大変だったことはありますか?

梶山:健康を意識するよう社員に呼びかけるだけでは、取り組んでもらえず、施策が進まないものです。健康に興味が持てない人もいますし、そういった方の参加を促せるよう、やり方を工夫したりテーマを変えたりと、試行錯誤して現在にいたっています。

また、弊社の設計業務は個人が能力を発揮する仕事という部分が大きく、みんなで集まって一緒に行動するよりは、個人でやれるもののほうが実践しやすい人が多いのではと思います。そういった部分を考慮し、なるべく抵抗感なく参加してもらえる施策を実行してきた結果、多数の社員が受け入れてくれる状況になっています。

ただ、まだ全員に理解される状況までには到達していませんので、これからも賛同してくれる社員が増えるよう、頑張っていきます。

技術継承と定年後の再雇用安定のため制度を明確化

ーー定年後の働き方について、御社はどのような制度を用意されていますか?

梶山:弊社は現在、60歳が定年になっており、希望すれば全員65歳まで嘱託社員として再雇用する制度があります。また、65歳以降も本人に働く意志があり、所属長の推薦があれば引き続き勤務いただけるようにしております。

弊社の特性上、技術継承も重要な問題です。単純に年齢で区切って世代交代できるものでもなく、後継者が育っていないなら育成のためにも残ってもらい、70歳やそれを超えて働く社員も登場しています。これについては社員の希望が前提であり、再雇用や雇用延長も任意ですので、無理に引き留めているわけではありません。

この制度は高齢者雇用安定法の改正を受け、2006年から正式に運用しました。それ以前も定年を超えて長く働く社員はいたのですが、「なんとなく居てもらっている」状況でしたので、制度として明確化させました。

福利厚生の充実で「ハタラクエール2022」にも認定

ーー御社は「ハタラクエール2022」も取得されていますが、取得までの経緯を教えてください。

茶円:「ハタラクエール」を知ったのは、健康経営優良法人の認定を受け、関連情報や案内を数多くいただくようになったのがきっかけです。

いただいた情報から、福利厚生の充実に取り組む法人を表彰認定する制度があると知り、これまで弊社が行なってきた福利厚生制度を記載して申請したところ、「ハタラクエール2022優良福利厚生法人運充実部門賞」に認定されました。

ーー福利厚生の充実としては、実際にどのような制度を導入されていますか?

茶円:新入社員のサポートや検診費用の負担、フレキシブルな働き方ができるよう時短や休暇制度の充実、休職者への給与補償などの制度を導入しています。

新入社員に対しては入社から1年間、教育係として先輩社員についてもらうメンター制度を導入し、仕事のやり方はもちろん、心身の健康面でもサポートできる体制を作っています。また、入社1年目の新卒社員は希望者全員、家具・家電とか食事付の寮を提供しており、これは同期との絆が深まると社員からは高評価です。さらに、公的資格の取得など、自己啓発に取り組んでもらうため、入社後の3年間は自己研鑽手当を支給しています。

生活習慣病や風邪の予防、健康増進としては、先ほど健康経営の取り組みに挙げた「風邪ひきゼロ運動」や「健康ウォーク」、健康セミナーを実施するほか、人間ドック・脳ドックの検診の費用補助もしています。それに、社内で毎週1回、保健師相談会を実施し、保健師さんに心身の健康について気軽に相談して、専門的なアドバイスをもらえる体制も整えています。

個々状況に合わせて勤務できるよう、日々に加え週単位での時短制度や年休以外でも1時間単位で取得できるパーソナル休暇やエフ休暇も整えました。

パーソナル休暇は本人や家族、知人などの祝いごとをはじめ、幅広い用途で取得できる休暇制度です。もともと、7月から9月の間に3日間取得する夏季休暇がありましたが、お盆休みシーズンに休むのではなく、休暇を分散させて1年のうちどこでも使える形に改定したものになります。

エフ休暇は従来の生理休暇を改定したものです。生理休暇という名前ですと、使いづらく感じる社員もいて、通常の年休を使ったり、我慢して出社したりといった実情がありました。それを大幅に見直し、生理日はもちろん、PMS(月経前症候群)で就業が困難な場合に取得できるほか、婦人科系の検診や通院、更年期障害、妊婦さんのつわりなどにも使えるようにしています。また、男女関係なく、不妊治療をはじめ妊活でも使えるようにし、実際に男性社員の取得者も増えています。この休暇は、有給として、それまでの月一日から年間12日間、任意のタイミングで取得可能な制度に改定しました。

さらに、長期にわたって介護のため休職せざるをえない場合も最長5年間、給与補償として保険金が支払われる保険に加入しております。これにより、社員の介護離職を防止して収入も確保できる体制にし、安心して働ける職場になっているかと思います。また、こちらの保険はメンタル系疾患で休職する社員にも2年間、給与補償が適用される保険になっています。

ほかにも外部研修制度や、社員が先生・講師の立場なって若手社員に仕事のやり方を継承する勉強会も年間を通して実施しています。

社員ひとり一人に寄り添った健康経営

ーー健康経営について、今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。

梶山:社員の心身の健康は、弊社が提供する仕事の品質にもつながると考えています。なにより、お客様と接する際、社員の表情が暗く、不健康そうだと良い会社には思われないでしょう。ハツラツとした様子で元気に話す社員のほうが、社外の印象も良いはずです。

健康経営についても社長である私が最高責任者を務めており、会社の経営も社員の健康も責任を持つ立場です。今後も経営理念にある「社員の幸せの実現」を推進できるよう、社員の賛同を得られる取り組みを実行したいと思います。社員が健康であれば、ご家族の幸せにもつながると思いますし、社員だけでなくご家族の方にも取り組みに参加いただけるようになればと考えています。

できるだけ社員目線で、社員ひとり一人に届けられる・寄り添える取り組みを続けたいですね。休暇制度を充実させた結果、内容は煩雑になりましたが、それでも社員が使いやすい制度であることが重要です。

こうした取り組みが実を結んで、健康経営優良法人として認められれば良いですし、「認定のためにやる」ではなくて「社員のために必要だからやる」という姿勢で、今後も取り組んでいきたいと思います。

ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:株式会社昭和設計

インタビュアー:塩野実莉

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