
藤井株式会社は、山形の総合商社としてレディース・メンズアパレル製品や健康関連商品、介護用インナーなどの商品を取り扱っている会社です。「やまがた健康企業宣言」の登録や、健康経営優良法人に6年連続で認定されているなど、健康経営の取り組みを継続的に取り組まれています。
今回は、同社の取締役総務部長 阿部敦子様にお話を伺いました。
特定保健指導が必要な従業員が多いことが課題だった

ーーまずは御社の沿革や事業内容について教えてください。
阿部さん(以下、阿部):明治38年創業以来、繊維製品総合卸売業として、118年という長い歴史と信用を大切にしている会社です。山形市に本社、酒田市に支店があり、山形県内を中心に秋田県、宮城県など幅広く活動しています。トンボ学生服の山形県代理店として学校の制服などを取扱っております。
ーー健康経営を始められたきっかけや、健康経営優良法人取得への流れについて教えてください。
阿部:2016年に「やまがた健康企業宣言」を行ないました。その際に、協会けんぽ山形支部から、「健康経営優良法人の認定制度に該当する取り組みをしているようなので、申請してみてはどうか」という提案をいただき、従業員の健康維持と企業のブランディングに、必要で大切なことの指標になると思い、申請を行なったのがきっかけです。
本格的に取り組みを始めて、2017年~2022年の6年連続で認定され、2021年と2022年の2年連続で『ブライト500』に認定されました。
ーー健康経営の取り組みを通して、従業員の皆さんの健康状態について改善が必要と感じた点はありますか?
阿部:健康診断により特定保健指導が必要であるという従業員が多数いたことが課題であると感じました。保健師のアドバイスを受けながら、会社としても積極的に改善に取り組む必要性を感じ、健康診断率100%、再検査率100%および再検査後のフォロー、がん検査、がんリスク検査などの取り組みを進めてきました。
健康経営には、身体的な健康だけでなくメンタル面のケアも必要ですので、メンタルヘルスチェックとチェック後のフォローを行なっています。
また、毎年寒い時季になると、風邪やインフルエンザが流行して、次々と従業員が体調を崩して休んだり、長引いたりすることが多く、仕事にも影響も出るので、予防接種の必要性も感じ、インフルエンザ予防接種への費用補助も行なっています。
胃腸の働きを支える電解水素水整水器の設置

ーー具体的にはどのような施策に取り組んでいますか?
阿部:当社ではさまざまな施策に取り組んでいますが、独自の取り組みとしては「電解水素水整水器の設置」を行なっています。電解水素水とは、おいしいだけでなく胃腸に優しい水のことです。従業員の胃腸の働きを支えることができると思い、導入しました。
また、健康意識の向上を目的として、月に一度は健康情報・健康レシピ(主に地元の食材を使用)の配布を行なっています。「食生活と健康の関連性」や「歯周病について」などをテーマとして取り上げました。
健康には運動することも必要ですので、当社では歩数計を全従業員に配布しています。毎週末データを集計し、1カ月ごとにランク付けも行ない、半年に一度は上位者への褒賞贈呈。更に年間上位者へも褒賞贈呈を行ない、従業員が楽しんで取り組めるよう意識しています。
ーー健康経営を実践するうえで、苦労されたことや工夫されたことはありますか?
阿部:初めの頃は、「健康経営」について従業員に理解してもらうことが難しいと感じていました。毎年、健康経営優良法人に認定されたことから取材等で内外に広く知られるようになり、ようやく企業としての取り組みが従業員に理解されてきていると感じます。
当社は場所が郊外にあり、自動車通勤が100%です。「歩く」ことが少なくなりがちで、従業員もシニア世代が多いことから、みんなが無理なく、楽しく自然に運動が意識づけられるような工夫が必要と思い、平等に歩数計を配布して、従業員全員が同じ一日の平均10,000歩を目標にし、上位者には“米沢牛”を贈呈することで「楽しみ」のきっかけを作り、「より多く歩く」ことを日常的に意識するよう工夫をしました。
健康経営を続けること、従業員の方が楽しんで健康に取り組んできたからこそ、周知されていったのだと思います。
ーーお取り組みによる効果、社内からの反響はいかがでしょうか?
阿部:電解水素水整水器の設置については、設置前に食生活に関する健康セミナーを全員に行なったこともあり、従業員の関心も高く、社内にいる時はもちろんのこと営業に出る時もマイポットに入れて飲んだり、自宅に持ち帰ったりするなど、自ら身体に良いものを取り入れる意識が高まっています。自販機は、従業員の熱中症対策の為に設置し、特保の飲料中心にしてもらい、社内外に多く利用されています。
一日10,000歩の上位者への“米沢牛”の贈呈は大変好評で、残念ながら上位者になれなかった人も、「次こそはもっと頑張ってゲットしよう!」と、ウォーキングを始めたり、スポーツクラブやジム等に通ったりするなど、少しずつ運動を始めた人も出てきました。
従業員が健康経営の取り組みを楽しみながら参加できるように進めていく

ーー健康経営について、今後の計画や注力されていくことがありましたらお聞かせください。
阿部:これまでも意識していたことですが、どのような施策に取り組むにしても、従業員が「楽しみながら」「自然に」参加できるように、偏った施策をしないよう心がけたいと思います。
今後の方針としては、「歯科検診」に注目し、補助金を全員に出すことにより、歯周病などによる疾病を未然に防ぎ、健康を維持出来るよう努力したいと思います。
ーー健康に関心のある読者の方へメッセージをお願いいたします。
阿部:毎日、少しずつでも続けられる何か(運動・食生活・習慣)を持つことで、自然に身体を意識するようになるのではないかと思います。『健康でいること』は、自分だけではなく、大切な家族を守り、会社や地域社会への貢献へと繋がっていくと思います。皆が『健康』で『笑顔』でいられる毎日を送ることが、一番の幸せです。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:藤井株式会社
インタビュアー:塩野実莉