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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

バス運転士の健康管理でより安全に。ベイラインエクスプレス株式会社へインタビュー

運転士の健康起因の事故を起こさないために

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革や事業内容について教えてください。

森川さん(以下、森川):2012年に設立した会社で、高速路線バスの運行がおもな事業内容です。夜行バスと言われる、都市と都市をつなぐ路線バスを運行しております。一番近くて関東から名古屋、一番遠くて関東から島根の出雲大社まで約820kmの道のりを16時間くらいかけて、運転者2名が交代しながらお客様を目的地までお送りしています。

従業員は、新型コロナウイルス感染症が流行する前は75名ほどいましたが、移動が制限される時代になった影響も受けて早期退職を募り、現在は約半数の45名ほどで運営しています。

ーー健康経営を始めたきっかけは何かあったのでしょうか?

森川:創業当初、今から10年ほど前にも運転士の健康問題を起因とした事故が起きている状況でした。さらに、バス運転士よりもトラック運転士の就労人口の方が多いにも関わらず、健康起因の事故はバス運転士の方が多いという状況がありました。そのため、バス事業を始めるときに、運転士の健康管理について、確実に対応しなければならないと感じていたことが、健康経営に取り組むきっかけとなりました。

ーー健康経営を始めてから、従業員の健康状態で改善しなければならないと思ったことはありましたか?

森川:喫煙率の高さが気になっていました。弊社の場合、48%くらいの方が喫煙している状況でしたので、去年は敷地内での禁煙に取り組みました。把握しているだけでも、3名ほどが禁煙をスタートしています。

睡眠の質を可視化することで、不規則な勤務でも質の良い睡眠を取れるようにする

ーーここからは具体的な施策について詳しくお伺いします。まずは、スマートウォッチを使った健康管理について教えていただけますか?

森川:僕たちは夜行バスを運行しますので、睡眠の管理や睡眠の質を知ることがとても重要だと思っています。そのために、睡眠の質を可視化する「Fitbit」というものを腕に巻いて寝てもらっています。寝るときには何もつけたくないという人が一定数いることもあり、装着率は83%くらいです。

睡眠の質を可視化することで、睡眠の振り返りをすることができ、結果的に質の向上が見込めます。夜中に運転することも多い不規則な生活の中で、睡眠のリズムを整えるのは難しいですが、このように、睡眠を振り返ることでそれぞれの良質な睡眠を追求することは重要なことです。

運輸業の始業時に行なう点呼では、昨晩の睡眠時間をヒアリングして記録を残さなければいけません。もし、スマートウォッチで記録していなければ、だいたいの勘で睡眠時間を回答する可能性もあります。弊社では、安全な運航のために、明らかに寝不足だろうと感じた人や新入社員で初めての業務にあたる人については、Fitbitをつけていればアプリで確認させてもらうようにしています。

ーー睡眠の質を可視化できるということですが、どのような情報が見られるのでしょうか?

森川:何時に寝たか、何時に起きたのかが確認できます。また、睡眠状態なのか眠れていないのか、眠れているのであれば、睡眠が深いのか浅いのかといったことがアプリ上にグラフで示されます。

また、睡眠がスコア化されているので、ぱっと見て眠れたのかどうかがわかります。思っている以上に深く眠れていないことや、お酒を飲んだほうがよく眠れると思っていたけれど実際は違うということを、アプリを見て理解できるようになりました。

ーー脳ドックや睡眠時無呼吸症候群検査を全運転士さんに必須化されているとのことですが、こちらについても詳しく教えてください。

森川:バス業界では補助金もあるので、どの会社さんでも雇い入れ時には検査をしていると思います。ただ、大きい会社から転職された方でも、年齢が若いと脳ドックを受けたことがない人もいます。

弊社では、脳ドックにプラスするかたちで肺や心臓血管をCTで確認してもらえるところを探しました。喫煙率が高いので、肺の血管の石灰化を発見できるようにしたり、高速道路上で意識喪失する状態をつくらないためにも、病気をなるべく早期に発見できるようにしたりするという意味で、ドックの追加オプションが実施できる検査施設を選びました。

あわせて、寝ているのに眠れていない状態の睡眠時無呼吸症候群の人が弊社には5名います。改善できるよう、CPAPと呼ばれる酸素を強制的に送り込む装置を装着して、就寝してもらっていますね。ただ、費用もかかるうえ、毎月1回は通院しないといけないので、装着率に対して会社から補助を出すように取り組んでいます。

コロナ禍での危機

ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありますか?

森川:コロナ禍で健康経営の投資に対して消極的にならざるを得ない時期がありました。例えば、脳ドックは3年に1回実施しているのを、経済的な都合でコロナ禍の間はいったんスキップしていたことなどです。その時期は大変でしたね。

しかし、社員から「この会社は健康経営を推し進めてくれていますよね」という言葉をかけてくれたことがきっかけとなり、健康経営をおろそかにしてはいけないと思い直すことができました。社員からの言葉がなければ、生き残ることだけに必死になって、健康経営はより消極的になっていったかもしれません。

ーー健康経営に対して従業員の方の反響はいかがですか。

森川:すべて自分のためになるということを理解してもらえたり、前職がトラックやパッカー車の運転士だった人たちも「脳ドックをやったことがなかったから、やってみてよかった」と言ってくれたりするので、そうした声が聞けたときはうれしかったですね。

再検査に関しても、放置せずに必ず行かなければ勤務が難しいことを伝えていますので、それにしたがってひとまず再検査に行ってもらうなど、健康経営を受け入れてくれているという実感はあります。運輸業は健康と安全がイコールだと思うので伝えやすいですし、運転者自身も理解してくれていると思います。

シフトをまとめて出すことで、有給の取りやすい会社にしていく

ーー今後の展望についてお聞かせください。

森川:コロナ禍で労働環境が悪化していることもあるので、有給消化率70%を目指して、休みやすい環境の会社に再建していきたいと思っています。

具体的な施策としては、今までは前月15日に1カ月分のシフトが出るようになっており、休みがどこにあるのかわかるタイミングがやや遅めでした。そのため、休みの希望も出しづらく、なかなか有給を消化させてあげられていなかったように思います。

そこで、今後は3カ月分のシフトを一気に出すようにしていこうと考えていますね。予定が早めにわかることで社員同士でも調整しやすくなり、計画的に有給を取りやすくなるのではないかと思っています。

ーー最後に、これから健康経営を考えている読者の方へのメッセージをお願いします。

森川:自分の会社や所属しているチームが、どういう状況になれば健康的といえるのかを明確にして、そのために何をやる必要があるのかを経営陣に伝えて、二人三脚で実行していくことで健康経営を進めるスピードが上がっていくと思います。ゴールを共有していきましょう。

ーー本日は貴重なお話をありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:ベイラインエクスプレス株式会社

インタビュアー:塩野実莉

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