東洋設備工業株式会社は、山形県を中心に管工事、水道施設、機械設備工事業を行なっている会社です。社員のマインド改革をはじめ、会社の雰囲気づくりに力をいれた健康経営を実施し、ブライト500の認定をうける同社の常務取締役 石澤宏太郎さんにお話を伺いました。
健康経営の第一歩は会社の雰囲気づくりから
ーー本日はよろしくお願いします。まずは、御社の沿革やおもな事業内容を教えてください。
石澤宏太郎さん(以下、石澤): 当社は山形県内で公共工事を中心に、機械設備や水道施設等の工事を行なっている会社です。1969年の設立当初は、給排設備工事がおもな事業内容でした。55期を迎えた現在では、空気調和設備、暖房設備、換気設備など、コミュニティセンターといった公共施設から工場、ビルと幅広い施設の機械設備に携わっています。
ーー健康経営を始める前に、課題に感じていたこと、改善しなければならないと感じていたことはありますか?
石澤:世の中が変わっていくなかで、古い考え方や働き方が中心になっている点が気になっていました。建設業ということで職人気質な社員も多く「俺の背中を見て覚えろ」といったような雰囲気がただよっていたこともあり、やや閉鎖的な風土ということになるでしょうね。
社内で共有する書類なども、数値を用いて理論立ててというよりは「なんとなく」「感覚的に」という部分が多かったと思います。ただ、社会的にも法令遵守についての考え方が厳しく求められていることもあり、そうした感覚的なものではなく、客観的に理論立て、仕様書に即してお客様にご提供する技術が必要になってきています。
そうしたところで、社内のコミュニケーションが必要になるにも関わらず、不十分だと感じることもあり、課題として感じていました。
ーー閉鎖的な会社の雰囲気やコミュニケーション不足について改善が必要だと感じられたことが、健康経営に取り組まれたきっかけになったのでしょうか?
石澤:健康経営の担当役員から「外資系の会社では上下関係に捉われず、対等に、オープンに意見を交わせるところから生産性が上がったり、上席の働きかけでチームの士気が上がったりする」という事例を聞いておりました。
時代の流れに沿って当社の生産性をさらに向上させるためにも、閉鎖的な環境ではなく風通しの良い職場環境や、良好なチームワークが不可欠だと感じたことが、メンタルヘルスやコミュニケーションに重点を置いた健康経営に取り組んだきっかけです。
メンタルヘルスの健康を基盤に、次の10年でフィジカル面へもアプローチ
ーー食生活や運動不足といったフィジカルな面ではなく、メンタルの面から健康経営を始めたのには理由があるのでしょうか?
石澤:フィジカル面の健康にはメンタル面が大きく影響していると考えたからです。
実際にチームで仕事をするのに、組織編成やコミュニケーションを改善しただけで、風通しが良くなったり、お互いに助け合えたりする風土が生まれました。誰かが失敗しても、マウンティングやミス探しのようなことをせずに、どうやって改善していくかを前向きに考えられるようになりました。
問題が起きたときに、解決策についてコミュニケーションをとりつつ進められるようになり、みんなが安心して仕事ができるようになったと思います。
フィジカル面へのアプローチは、そうした土壌ができてから取り組み始めました。
ーーフィジカル面での取り組みについて教えてください。
石澤:山形市のコミュニティセンターでパーソナルトレーナーの方に、体の使い方を知ることでメンタルにも良い影響が出るとことを実感してもらえるような指導をしてもらっています。
心が体に影響することは、すでに実感してもらっていると思うのですが、今度は体が心に影響することを体感してほしいと思っています。呼吸方法や体の使い方によって緊張がほぐれるといったことを知ってもらい、仕事にも取り入れられるようになるのがねらいです。
この10年間は、メンタルヘルスを中心に、ロジカルに考えることやチームワークを大切にするなど、意識改革をして土台を築いてきました。フィジカル面については次の10年でいろいろ取り組んでいきたいと思っています。
ーーフィジカル面の健康ついて今後の展望はありますか?
石澤:職業柄、腰痛に悩まされる社員も多いので、既にこの10月には「心と体の相関性を高める」研修を開催しました。
また、スマートウォッチで歩数を計測して、一日8000歩を目標にして、一番多い人にはスポーツ用品店で買えるような健康に役立つグッズを景品として用意しています。
あとは、減塩料理コンテストも行なっています。社員には料理を楽しむ社員が多く、弊社のブログに作ったお弁当などを遊びも兼ねて載せています。ブライト500もいただいたので、ただ作った料理を載せるのではなく、ステップアップさせて健康に良い減塩レシピをアップしています。
ーーメンタル面の施策についての今後の展望はありますか?
石澤:良好なメンタル面の維持、職場環境、チームワークにゴールや答えはありません。引き続き、仕事以外のところで楽しい話をして、どんどんコミュニケーションをとっていけたらいいと考えています。良好なチームワークを築けていれば、フィジカル面について新たに取り組みたいことの良い提案も出てくるかもしれません。
今後取り組みたいことを募集して、良いものはどんどん取り入れていきたいと思っています。
マインドを変えることでプラスのスパイラルへ
ーー健康経営を実践するうえで、大変だったことはありますか?
石澤:職人気質の社員が多いので、そのマインドを変えていくことが大変でした。仕事に対して強いこだわりや、独自のやり方というものがあって。他の人の意見や法律で求められるものとの間で違いやズレがあることを認めるのが難しかった人も多かったように思います。
法律に則った考え方や「会社としての考え」で仕事をしていくというのを、みんなに理解してもらえるまでに時間がかかりました。
ーーそうした大変さを乗り越えていくなかで、変化はありましたか?
石澤:職人気質のマインドを、より柔軟で今の世の中に合ったものへと変えていくなかで、お客様からの評価が良くなりました。実際にお客様からの評価が良くなると「意識を変えれば組織も変わっていくんだ」ということが実感でき、自信や次のステップにつながっていったと思います。
意識改革をしていくなかで、お客様から良い評価というリターンをいただいたことで、プラスのスパイラルへと動き出したことが変化として感じられました。
ーー読者へのメッセージをお願いします。
石澤:健康というと、禁煙をする、よく歩く、規則正しい生活をするといったフィジカル面のことを先にイメージしがちだと思います。もちろん、そうしたことも大事ですが、会社で8時間一緒に過ごす仲間とのチームワークや、会社の雰囲気といったメンタルヘルスに関わる部分が土台になっていて、本当に体への影響も大きいと思っています。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:東洋設備工業株式会社
インタビュアー:朝本麻衣子
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