
株式会社六協は長野県に本社を構え、地域のインフラを守り続けている会社です。2022年には健康経営優良法人の認定を受けており、健康経営にも力を入れています。
今回は健康経営の取り組みについて、株式会社六協の代表取締役社長である河西さんと、健康経営担当の小口さんにお話を伺いました。
地域に密着した総合建設業を営む「株式会社六協」

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の沿革やおもな事業内容などを教えてください。
河西:弊社は総合建設業をメインとした、従業員36名の会社です。1968年に創業し、今年(2022年)で創業54年になります。
六協という社名は、もともと創業者が地元でオルゴールなどを制作していた三協精機という会社で働いており、当時の三協精機の社長から独立を後押しされたこともあり、「三協精機の倍働いて倍稼ぐ」ということが由来になっています。
建設業として創業した当初は三協精機から独立した会社の建設を少しずつ請け負っていましたが、その後土木工事業や地域の公共工事なども手がけるようになりました。
現在は年間の売上のうち、建築工事が8割、土木工事が2割の比率になっています。内容は民間工事が8割、公共工事が2割となっているので、地元のお客様に支えられている会社です。
主に商業施設や地元の工場、倉庫の建設が中心になります。また不動産業と産業廃棄物処理業も行なっており、建設に関わる業務をワンストップサービスにてお客様に提供しています。
ーー健康経営についてお聞きしたいのですが、ブライト500を取得した経緯や取り組みを始めたきっかけを教えてください。
河西:私が社長になったのは5,6年前なのですが、社長になってすぐに祖父の代から頑張ってくれていたベテラン社員が癌になり、亡くなってしまいました。葬儀では会社の代表として弔辞を読むことになったのですが、それがとても辛かったです。
そのときに、健康で長く働くことがすごく大事なことだと実感し、同時に、病気になっても安心して働ける環境作りが必要だと感じました。
会社として何かできることはないか調べていくなかで、健康経営という枠組みがあることを知り、私が考えている「社員が健康で長く働ける職場作り」ができるのではないかと思い、取り組みを始めたのがきっかけです。
またブライト500については、あくまで健康経営の延長線上にあるもので、そもそも取得を目指していたわけではないです。
保険会社に健康経営のサポートをお願いしているのですが、健康経営優良法人の申請をする際に、弊社が実施している内容をしっかりと盛り込んでもらえた結果、ブライト500に認定されたと感じています。
ーー社員の健康に対して改善点が必要だと感じていることはあったのでしょうか。
河西:弊社は長年近くの病院から会社へ健診車をよんで、健康診断を実施しているので健康診断の受診率は良かったのですが、再検査や要精密検査の結果が出た方に関しては、なかなか病院に行ってくれないという点は課題に感じていました。
また喫煙に対しても課題がありまして、私が入社した当時は分煙もできておらず、自分の机でたばこを吸っている方も多く、事務所が煙たい状態でした。世の中の風潮もあって分煙などを実施してはいますが、まだまだ喫煙者に対する問題は改善できていない点もあると考えています。
社員の健康を考えるうえでは、会社としてできることと、個人が気をつけなくてはいけないことがあると思います。会社としてできることは健康に対して促すことや、健康への取り組みができる環境を整えることくらいしかないです。
あとは本人の「健康でいられる」「健康になろう」という意識が大事だと考えているので、そこに対してのテコ入れは必要だと感じています。
ーー社員が再検査に行ってくれない理由としてはどのようなことがあるのでしょうか。
河西:健康に対する意識もありますが、時間の確保が難しい点があると思います。現場の仕事は工期に追われることも多いですし、現場監督は責任感の強い方も多く、「現場が終わったら行く」という場合がほとんどです。
しかし、その現場が終わったらすぐに次の現場が始まることも珍しくないので、なかなか再検査の時間を確保するのは難しいというのが現実的なところです。ただ、そこは少しずつでも改善しなければいけない点だと感じています。
「出勤扱い」にすることで社員が気兼ねなく健康診断を受けられる環境に改善
ーー健康経営の取り組みで具体的な施策を教えていただけますか。
河西:弊社では社員が再検査を受けやすいように、初回の検査と精密検査に関しては「出勤扱い」にする規定を設けています。もちろん、きちんと検査を行なっているか確認するために、検査結果の報告も義務付けています。
小口:その他、健康診断時に癌検診や婦人科検診、付加健診などのオプションで受けられる検査の案内もしています。案内をするようになってからはオプションで検査を追加する社員が増えています。
また健康診断の費用は基本的に会社負担ではないのですが、付加健診については40歳、50歳に限り会社負担で実施しています。
河西:あとは健康診断と関係ないのですが、自動販売機の飲料水ごとにカロリー表示するなども実施しています。
社員の健康を守るための「食事」と「運動」への取り組み

ーー他にも実施している取り組みがあれば教えてください。
河西:食事と運動を中心に、成人病予防の取り組みもしています。たとえば弊社では社内の交流を企画するための委員会を設けているのですが、町内の清掃を計画したり、スポーツイベントを企画して身体を動かす機会を作ったりしています。
スポーツイベントについては、近くの体育館でバレーボールやマレットゴルフ、ボウリング大会などを過去に行なっています。
小口:町内の清掃活動は年に4回ほど計画を立てています。地域のゴミを拾いながら結構な距離を歩いてもらっているので、良い運動になると感じています。

河西:あとは、若い社員も多いのでコンビニのお弁当だけにならないように、月に1回の委員会デーを設けて、地域の飲食店に温かい食事を出してもらっています。費用は会社で負担しており、社員の健康だけではなく、地元飲食店のサポートにもなればと思っています。
ーー健康経営の取り組みによって、社内で変化したことがあれば教えてください。
小口:劇的な変化はないのですが、アンケートを見ると、社員一人ひとりの運動に対する意識が変わってきていると感じています。たとえば「1週間に1回のペースで運動している」「運動を継続していきたい」といった内容が少しずつ増えてきています。
河西:弊社では健康アプリを導入して、社員がどのくらい歩いたかわかるようにしているのですが、今まで歩数が少なかった社員の歩数が伸びたり、まったく歩かなかった社員が歩き始めたりと、健康に対する意識が変化してきていると感じています。
思い切った施策で喫煙者の意識も変えていきたい
ーーありがとうございます。今後の展望などがあれば教えてください。
河西:喫煙に関することは今後の課題になると感じています。特に40代以上の社員に多く見られるのですが、世の中的にも規制が厳しくなったり、たばこの値段が上がったりしているにもかかわらず、今も喫煙している方は止める気がないと思っています。
そのことを踏まえて、いかに喫煙率を下げていくかということですね。現在いろいろと調べているのですが、たとえばシーシャや電子タバコ等、比較的に体への害が少ないとされているものに替えていくため、会社から喫煙者を対象に禁煙支援となるものを配布するなど、思い切った施策で喫煙者の意識を変えていきたいです。
建設業は喫煙者が他の業種よりも多い傾向があるので、喫煙率を減らすのは難しい課題ですが、何とかして改善に取り組んでいきたいと考えています。
ーー最後にこの記事を読んでくれている読者に対してメッセージをお願いします。
河西:健康経営優良法人は、認定を受けるための具体的な項目が記載されているので、社員の健康を考えたときに、ツールとして利用すると比較的、健康経営にも取り組みやすいと思います。
また、健康経営は形に囚われるのではなく、自社で実施できることから積極的に取り組むのが良いと感じています。私の場合は長年勤務していた社員が亡くなるという形で認識できましたが、やはり社員が健康に働いていることが会社にとっては一番だと思います。
それと同時に、社員一人ひとりも、健康に働ける状態がどれほど幸せなことかということを考えてほしいです。当たり前の幸せって健康に働けているときは感じづらいのですが、健康を害したときに気付くことが多いです。健康を害する前に日々できることを実践し、予防してほしいと思います。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社六協
インタビュアー:朝本麻衣子
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