
東陽電気工事株式会社は、福島県で電気工事を中心として地域に密着した経営を行なっている会社です。同社は「健康経営優良法人2022」で中小規模法人部門の上位500社に選ばれ、「ブライト500」の認定を受けています。
今回は、社員どうしの距離が近い企業ならではの健康経営の取り組みについて、代表取締役社長の石川格子さんにお話を伺いました。
地域の電気・通信・消防設備工事を支える東陽電気工事株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。まずは御社の事業内容について教えてください。
弊社は福島県の白河地域に本社を構えています。2022年で創業89年になる、社員数6名の会社です。
おもに電気・通信・消防設備工事を営んでいまして、公共では学校や庁舎、民間では工場関係を中心に建物の電気工事を行なっています。その他、太陽光や信号機の設置工事なども手がけています。
ーーありがとうございます。健康経営の取り組みを始めたのは何かきっかけがあったのでしょうか?
健康診断の結果から気になる部分を社員と話していくうちに、「メタボ」「食生活」といったキーワードが出てきたので、何か取り組めることをやってみようということで始めました。
社員の平均年齢が高くなってきていること、若手社員で朝食の欠食が見られたのも気になっていました。
あとは電気工事という職業柄、社員は腰に道具を付けて仕事をしますので、腰痛や肩こりなど、業種ならではの課題もあると感じていました。
ちょうどその時期に福島県からお声がけがあったり、健康経営優良法人の「ブライト500」の案内がメールで届いたりしたのも健康経営の取り組みを始めるきっかけになりました。
バランスの良い食事推奨のため、お弁当代を補助
ーー取り組みの一つとして、食事の補助をされているそうですね。
以前は、栄養バランスが取れた400~500円のお惣菜を社員が100円程度で購入できる福利厚生制度を導入していました。
ただ最初は皆さん活用してくれたものの、慣れてくるとだんだん使用頻度が減ってきましたので、現在はお弁当販売に変えています。
具体的には、弊社敷地内の貸しスペースにお弁当販売をする業者を呼び、社員は半額で購入できる制度を導入しています。オシャレなカフェの移動販売だと1品700円や800円しますが、それを半額で購入できるようなイメージです。
毎回決まった内容の食事から選ぶわけではないため、社員も飽きずに食事ができているかなと思います。
健康経営のモデル企業として県とのタイアップも

ーー他にはどのような取り組みをされましたか?
以前、健康経営のモデル企業として福島県とタイアップしていたことがあります。県の補助を受けて他企業と連携した施策を行なうという2年間の取り組みで、1年目にはジム企業、2年目に飲料メーカーと連携して運動習慣の定着や食習慣の改善に取り組みました。
食事は栄養のバランスを考慮して野菜をしっかり食べることが大切ですが、食べ物で野菜を摂るとなかなか難しいと感じる社員が多かったようです。
飲み物だと野菜をとりやすいということだったので、現在は会社の冷蔵庫に野菜ジュースを常備して、無料で飲めるようにしています。
1年目に導入したジムのトレーニングメニューはもとから興味を持っている社員も多く、皆さん積極的に取り組んでいて、なかには半年間で8kg痩せた社員もいます。
ただコラボ終了後の継続が難しいという声が多く、リバウンドした方もいました。プロの方から効果的な運動を教えていただく貴重な機会でしたが、健康経営には無理なく継続できる取り組みが大切だとも感じています。
睡眠の質を高めるためのセミナー活用・情報共有も
ーー睡眠の改善にも取り組まれていると伺っています。
社員から「寝付きが悪い」「寝ている時間は長いのに眠れた気がしない」といった声が頻繁に挙がった時期がありまして、睡眠状態を簡易判定するアイテムを皆で使ってみました。
するとやはり社員それぞれが言っていた結果になったので、社員と一緒にセミナーを受け、睡眠の質改善に向けて情報収集を進めています。
やはり朝早く起きて、日中は外で日光を浴びて、帰宅後は夕食を食べて寝るという基本的な習慣ができていないと、夜の睡眠の質が下がるようです。
まずは日中の活動している時間帯の生活改善をすることが睡眠の質の改善につながるとわかりましたので、私も含めて社員皆で改善しているところです。
ーートップダウンというよりも「社員全員で考える」ことが多い印象を受けますが、御社では日頃から健康に関する話題が出るのでしょうか。
社員の人数が少ないので、意見交換や実践をしやすいという側面はあると思います。朝に10分程度の朝礼を行なっているので、そうした時間も使って情報共有をしています。
セミナーについても、一人ひとりがスキマ時間に受けられるように、URLをWeb上で共有しています。最近はセミナー動画を見た社員がまだ見ていない人へ向けて積極的に発信することも多くなっていますね。
継続を軸に、社内外で健康経営の動きを進めていきたい

ーー今後の展望があればお聞かせください。
社内の取り組みを進めるのはもちろん、弊社の取り組みを外部の方に体感していただくことも今後の計画の一つです。東北には流行が数年遅れてやってくる傾向があり、健康経営など企業の取り組みに関しても同様の傾向があると感じています。
最近は地方でも健康経営に力を入れる企業が出てきましたので、弊社の取り組みで成功したものや失敗したものを、体験談を含めながら地域に普及していきたいですね。
例えば、健康で仕事することの大切さを体感できるビジネスゲームが当社の社員から好評でしたので、他の企業の皆さんにもご紹介したいです。
健康経営に関するセミナーを開催できる資格も取得したので、2023年以降は社外へ向けた本格的な取り組みを行ないたいと考えています。
ーー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
健康というテーマは誰にでも当てはまるので、世代は関係ないと感じています。また、一生涯続くものですから、継続できることも重要です。
健康経営の取り組みを成功させる一番の要因は「無理のない活動」だと考えていますので、これから取り組まれる企業の方も、日常的に無理のない、社員の負担にならない取り組みを考えていただけたらと思います。
当社も無理なく継続しやすい内容・方法、日常生活の何かと置き換えられるような工夫を中心に活動して健康増進を進めてまいります。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:東陽電気工事株式会社
インタビュアー:青柳和香子
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