
物流に特化した人材派遣業などを営む株式会社グッドパワーは、2021年から2年連続で「健康経営優良法人」の認定を受けており、2022年には中小規模法人の上位500社にも選ばれています。
臨機応変な対応が求められる人材派遣業に必要な社員の健康について、代表取締役社長の倉石昌治社長と、管理栄養士のご経験を生かして取り組みを推進する採用定着支援グループの鈴木 麻未さんにお話を伺いました。
現場で働くスタッフのやりがいにつながる健康経営を

ーー本日はよろしくお願いします。最初に御社の業務内容について教えてください。
倉石社長(以下、倉石):当社は20年前から、成田空港で物流企業に特化した人材派遣業を営んでおり、倉庫内作業をメインに派遣を行なっております。併せて人材紹介業や求人媒体の販売事業を展開しています。
物流企業様における人材派遣業では、倉庫に到着した商品をお客様の指示に基づいて出荷するのが主な仕事です。
特徴として「ある日は倉庫が埋まるくらい入庫するけれど、それを片付けてしまうと翌日は全く荷物がない」といった具合に、日によって稼働量と必要人員が異なるという側面があります。そのため、急な入庫にも対応できる質の良い人材を提供することが求められます。
派遣会社多しといえどもそれができる会社は少ないのですが、当社は企業様のニーズに合った人材を提供できるという点を強みとしております。
ーー御社は「健康経営優良法人2022ブライト500」に認定されています。申請されようと思ったきっかけを教えていただけますか?
倉石:ある勉強会でご一緒した富里市の会社の社長様が、2019年に健康経営優良法人認定をお取りになったとお聞きしました。そして当社のように人材を扱う会社としては、健康経営の認定を取ることはすごく大事なのではないかと進言いただき、私もその必要性を強く感じたため取り組み始めたという経緯です。
ーーお取り組みの当初、社員の方の健康について課題だと感じられたことはありましたか?
倉石:現場で働いていただく派遣スタッフを管理している担当社員がまず健康でなければいけないと考えました。彼らが健康であることが、現場で働くスタッフに働きがいを感じてもらえる管理の仕方へつながるからです。
当社社員の健康を第一にし、それを派遣スタッフに還元していくことで、スタッフの定着率が向上し、良い結果に結び付きました。この認定を受けているという看板も「この企業は社員の健康増進を意識している会社だ」という認知につながり、質の良い人材が集まるようになったというメリットも実感しております。
社長と栄養のプロからの継続的なアプローチ

ーーお取り組みの具体的な内容についてもお聞かせください。
倉石:一つの目標課題となっているのが、喫煙率です。しかし、喫煙者へいきなり禁煙を目標として掲げるのは難しいため、毎月何%ずつかでも吸っている本数を減らしていって、最終的に禁煙につながればという思いで取り組みをしております。
働きかけ方としては直接言葉で伝えることが1番ですので、健康を大切にしてほしいと繰り返し伝えています。完全禁煙するのはなかなか難しいようですが、本数が減ってきている人はいます。
ーー栄養・食事に関する情報発信もされているそうですね。
倉石:社員の年齢が上がってくると多くなるのが高血圧の問題だと感じています。採用定着支援グループの鈴木が管理栄養士の資格を持っておりますので、そのスキルを活かして書面や口頭で情報を発信してくれています。
伝聞などではなく、有資格者として今までの経験の中で培ってきたものを直接発信できるので、社員に対する説得力もあると感じています。
鈴木さん(以下、鈴木):情報の内容としては難しいことではなく、日常的に取り入れられる基本的なことを伝えるようにしています。例えば「塩分が高いものを抑えるようにしよう」といったトピックです。難しいとなかなか取り組もうと思えませんので、「これならやってみようかな」と思える情報を共有するようにしています。
月に一回あるミーティングの際に少し時間をいただいてお伝えしたり、社内のチャットや事務所内で情報を共有したりといった方法をとっています。
「更年期だから」で済まさず、病院受診へ背中を押す

ーー女性の健康保持や増進に向けたセミナーを開催されているようですが、具体的にはどのような取り組みなのでしょうか?
倉石:私以外は社員が全員女性ですので、女性の健康保持という面では活発に情報共有がなされていると思います。
鈴木:更年期障害が気になってくる年代の社員が多いため、更年期に関するセミナーの開催や情報の共有をしています。症状には個人差がありますので、基本的な情報から、それを踏まえて行動を促すような内容までさまざまな内容を発信するようにしております。
倉石:当社で働く女性の皆さんは、体調の不調を感じるとすぐに「更年期だから」という言葉で片付けてしまう傾向にあると感じています。でもそれが思わぬ病気だったということもあり得ますよね。
社員が1人でも欠けてしまったら会社としても大きな損失になりますから、「少しでも不調を覚えたなら自己判断を過信することなく、病院を受診するように」と勧めています。それが、本人にとっても周囲にとっても良い結果につながると考えています。
メンタルヘルスケアとしてアンガーマネジメントも

ーー最近取り組みを始められたことや、注力されていることはありますでしょうか?
倉石:一度目標に掲げたことは達成できるまで諦めず、継続するようにしています。特に喫煙率の低下は今後も継続して進めていきたいことですね。
鈴木:最近始めたことは、メンタルヘルスのセミナーとしてアンガーマネジメント(怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニング)のセミナーです。コロナ禍ということもあってストレスを感じやすい状況ですので、自分の怒りをマネジメントして、ストレスなく過ごすための話をいたしました。
こういったセミナーは、ミーティングなどで社員の皆さんが集まっている時間を活用して開催しています。
倉石:あとはどうしてもデスクワークが多くなってしまうので、定時に社員みんなで一緒にストレッチをして、少しでも体をほぐすようにしています。
鈴木:座りっぱなしであることが原因で、肩こりや腰痛の問題を抱えている方が多いですね。今後はラジオ体操なども取り入れていけたらと思っています。
一人ひとりの健康意識を高め、雇用で社会貢献を

ーー今後の展望についてお聞かせください。
倉石:今回、健康経営優良法人の中小規模法人部門で上位500社に選ばれ「ブライト500」の認定をいただきましたので、できれば継続して認定をいただけるように尽力したいと思っています。
「認定」という目に見える評価をいただけたことで、社員一人ひとりの意識が変わってきたようにも感じています。率先して血圧を測っている社員が見受けられるようになりましたし、食事の際に塩分を控えようという意識も広がっているようです。
このように自分で健康状態を確認し、日々の生活に反映する社員が出てきているのは良い変化だと思います。
ーー最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
倉石:健康経営というのは、SDGs(持続可能な開発目標)と紐付けされるべきものだと考えています。当社は人材派遣業を営んでいますので、「雇用は最大の社会貢献」だというのが私の考えです。雇用を守っていくためにも健康経営についてさらに勉強して、会社のために取り組み続けていきたいと思います。
また、転職を希望されている方は、ぜひ健康経営の認定を受けている企業の会社内容をのぞいてみるようにおすすめしたいですね。
鈴木:「認定取得」というとハードルが高いと感じて、申請を躊躇されている企業もあるかと思いますが、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。ご自身の会社の取り組みがどう評価されるのかを知る機会にもなりますし、実際に取得している企業の取り組みをSNSなどで情報収集してみるのもおすすめです。
参考になる部分をどんどんご自身の会社でも取り入れて、健康増進・健康経営優良法人認定に向けて一歩踏み出していただければと思います。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社グッドパワー
インタビュアー:青柳和香子
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