
株式会社コスモスイニシアはレジデンシャル事業、ソリューション事業、宿泊事業を展開し、不動産デベロッパーとして都市環境のプロデュースを行なう企業です。
同社は「ポジティブに健康維持に取り組むことができる風土づくり」を重視してさまざまな施策を実施し、2021年から「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2年連続で認定されています。
健康増進に力を入れている理由や取り組み内容について、人事部人事課保健師の藤澤 由香さん、コスモスイニシアグループ健康保険組合に所属する澤田 亜希さん、経営企画部の三木 美和さん、根岸 由さんにお話を伺いました。
都市環境をプロデュースする不動産デベロッパー 株式会社コスモスイニシア

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の業務内容について教えてください。
三木さん(以下、三木):弊社は1974年に不動産事業を開始し、現在創業48年になります。2005年にリクルートグループから独立し、社名を現在の「コスモスイニシア」へ変更しました。2013年からは大和ハウスグループの一員となりました。
当社は『「Next GOOD」 お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。』というミッションを掲げています。
創業時から住む人の立場に立って住宅を考え、より住み良いマンションを提供することを目標として、新築分譲マンション事業を開始し、現在は新築マンション、一戸建て、リノベーションマンション、海外での住宅分譲などのレジデンシャル事業を行なっております。
また、事業用などのマンション・ビルの新規開発および中古ストック再生の一棟販売に加えて、コミュニティを重視した賃貸運営、不動産仲介などのソリューション事業も推進しています。
さらに住まいづくりで培ったノウハウを生かし、宿泊事業を行なっています。日本ではまだ少ない全室キッチン・ダイニング付きの広々としたお部屋で中長期滞在にも対応できる都市型アパートメントホテル「MIMARU」を東京・大阪・京都で展開しています。
官民連携で公共施設などを活用し、非日常空間で心身の活力を得られるアウトドアリゾート「ETOWA」など、地域とのつながりを考えた新しい事業も展開しています。
「従業員の一生涯の健康づくり」を支援する

ーー御社は2021年から2年連続で「健康経営優良法人」を取得されています。健康経営を始められたきっかけを教えていただけますか?
藤澤さん(以下、藤澤):これまでも健康管理において「従業員を大事にする」人事策を展開しておりました。例えば、健康診断の内容を充実させたり、健康を意識したイベントを実施したりといった取り組みです。
ただ対外評価は受けていなかったため、当社の取り組みが社外からどのような評価を得るのかを知るために、健康経営優良法人認定を申請しました。
ーー従業員の方の健康に関して課題だと感じていたことはありますか?
藤澤:10年前ぐらいまでは従業員の平均年齢は若めでしたが、少しずつ上がってきていましたし、働き方改革の流れもあり、健康課題も徐々に変わっていきそうだと感じていました。
澤田さん(以下、澤田):当社においては、不健康な従業員は少なく、疾病面でのリスクや課題は多くない一方で、「よく働き、よく遊ぶ」社風によるものなのか、飲酒や食事、睡眠などの生活習慣への課題は見られました。疾病リスクが少ない今のうちに生活習慣を向上させることで、将来も良好な健康状態が維持できているように、生活習慣に関しての取り組みを強化しているところです。
また、女性が約6割という従業員構成ですので、女性の働き方・キャリアに合わせた健康課題のサポートも会社として重視しています。
当社の健康経営の特徴は「従業員の一生涯の健康づくりを支援する」「ポジティブに健康維持に取り組むことができる風土づくり」を重視している点です。コスモスイニシアで働くことで、健康の礎を作ってもらうという軸を持って取り組んでいます。
そして最終的には、体調不良や病気で会社を休む、パフォーマンスを発揮できないという状態を予防し、会社全体の健康風土を醸成することを目指しています。それが組織全体として生き生きと生産性高く働ける状態につながると考えています。
性別問わず働きやすい環境づくりを推進

ーー具体的なお取り組みについてご紹介ください。
澤田:当社の健康経営では、「世代・性別ごとの健康リスクへの対応 」、「生産性向上とプレゼンティーイズムの改善 」、「ヘルスリテラシーの向上 」、「メンタルヘルス不調の早期発見と予防 」、「ポジティブに健康維持に取り組むことができる風土づくり 」を注力課題として掲げ、これらを解決するための様々な施策を実施しています。
藤澤:まず「世代・性別ごとの疾病予防」として婦人科系の検診を充実させ、全女性従業員が無料で受けられるようにしています。また、検診や人間ドックのバリエーションを増やしたり、受診しやすくしたりする取り組みもしています。
女性特有の健康課題に関しては特に力を入れており、ホルモンバランスによる体調不良をテーマとしたものなど、健康セミナーを定期的に開催しています。全従業員が参加できるので男性も積極的に参加していただくようにしており、実際に参加者の半数ほどは男性でした。
根岸さん(以下、根岸):同期3名で提案し、「Life Style Support休暇」というものも導入しました。もともとあった生理休暇の適用範囲を広げ、全日・時間休で柔軟に取得できる休暇制度です。女性特有の症状だけでなく、不妊治療による通院時にも使えるように変更しました。
性別に関わらず全従業員の健康課題を支える活動の一環として、こうした制度改革に取り組んでいます。
藤澤:健康の専門家である保健師だけでなく、根岸のような若手の従業員たちが声を発して「女性がより働きやすいように」とプロジェクトが立ち上がり、この「Life Style Support休暇」が実現しました。
ヘルスキーパーによる施術で生産性向上

ーー御社にはリフレッシュルームという場所があるそうですね。
藤澤:「鍼灸あん摩マッサージ指圧師」の国家資格を持った腕の確かなヘルスキーパーがリフレッシュルームに2名常駐し、施術にあたっています。
なんとなく不調でパフォーマンスが落ちている時に、ヘルスキーパーに肩や体をほぐしてもらうことで生産性が改善される効果が高いと感じています。また、彼らはとてもコミュニケーション能力が高く、リフレッシュルームは社内の癒しの場になっているんですよ。
私たちと協力して肩こり解消などに関する情報発信もしてくれていて、従業員のリテラシー向上、プレゼンティーイズムの改善に役立っています。
なかなか達成しないことがカギ。「世界一周」を目指すウォーキングイベント

ーー運動習慣に関するお取り組みはありますでしょうか。
藤澤:「歩数をつないでみんなで世界一周チャレンジ」というイベントを開催しています。以前開催していた集合型のウォーキングイベントがコロナ禍でできなくなった一方、在宅勤務による運動不足を訴える方が増えていました。
そのため、会社で導入していた健康管理アプリの歩数管理機能を使って「みんなで歩いて、みんなで目標を達成しよう」というコンセプトでこのチャレンジを始めたんです。
健康アプリで集計した参加者全員の累計歩数で「出発地点:羽田空港」「第一弾到着地:グアム(羽田空港から約2,643km地点)」などと歩いた距離をビジュアル化しています。
今年は感染状況が少し落ち着いたタイミングで、リアルバージョンも織り交ぜながら実施しています。終業後に本社オフィスを出発して都内の夜景の名所を歩く企画には、社長や役員が率先して参加し、一緒に歩きながら従業員とコミュニケーションをとっていました。
澤田:目標を「世界一周」にするとなかなかゴールに到達しないということで、毎年の継続開催ができ、運動習慣の定着につながると考えました。競争ではなく、みんなでゴールをめざしましょうというコンセプトがポイントです。
運動支援が食支援にもつながる

ーーウォーキングイベントについて、従業員の方からの反応はいかがでしたか?
澤田:バーチャルのウォーキングイベントでも、「スマホを持って一生懸命歩いているよ」と前向きに取り組んでくれている従業員もいますし、リアル開催は参加者同士で盛り上がってとても楽しそうでした。時代背景に合わせて工夫しながら、このような機会を提供することで、運動促進の効果は徐々に表れてきているかなとは感じています。
また、当社では従業員に継続的な健康増進を促す目的で、インセンティブプログラムを設けています。全従業員が利用できる健康管理アプリへの運動や食事の記録を元に、毎月優秀な健康増進活動をした従業員へインセンティブポイントを付与しています。
藤澤:その他、ウォーキングイベントでは、期間平均歩数8,000歩以上の目標を達成すると、インセンティブとして生産者さんから直接届くお野菜などを受け取ることができ、従業員に大変喜ばれています。運動支援から食支援、そして全国の生産者支援にもつながる仕組みです。
「健康」をデザインする人を増やしたい

ーー健康経営のお取り組みによる社内の変化、今後の計画についてお聞かせください。
藤澤:健康診断を受けるのが当然と考える従業員が増え、受診率が高くなりました。女性の健康に関するセミナーに男性が多く参加しているのも大きな変化のひとつだと感じています。
今後はリテラシーの向上に注力していく予定です。従業員の一生涯の健康づくりを目指したいと思っていますので、従業員一人ひとりが自らの健康意識を上げることが大切だと思っています。
そのため、今はあまり健康に関心がない方でも、働く環境や日常的に触れるものを健康的にすることで、自然と健康になっていくという状態づくりに注力しているところです。
例えば健康のために水を飲む習慣を促進できるよう、本社オフィス内の自動販売機にある水を通常の半額で販売しています。
同様の趣旨で、オフィスに定期的に届く野菜も従業員に提供しています。障がいをもつ方の労働環境が整った農園で働く従業員がおりますので、彼らが育てた安全で新鮮な野菜を置いておくことで、野菜を食べる機会を自然と増やせるようにしたり、手に取るものが健康的という状態になる仕掛けです。
ーー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
三木:「コスモスイニシアグループ健康保健組合」設立以来、健保の方々と連携して従業員の健康を大事にしてきました。コロナ禍であっても、迅速に工夫をしてさまざまな取り組みが進められていると感じます。
根岸:「Life Style Suport休暇」を発案するきっかけになったのは、会社全体で健康に向き合うという体制があることを入社時から心強く感じていたからでした。健康リテラシー向上に関して従業員側としてできることがあると思いますので、今後も社内や健保の方と協力して進めていきたいと思います。
藤澤:働くうえでキャリアをつくることには、皆さん意識を向けていると思いますが、健康も同じくらい大切なものです。
それぞれの年代に応じて、キャリアをデザインするように、健康も自分でデザインできるようなサポートを目指しています。
澤田:「コスモスイニシアで働いたからこそ、健康の礎を築けた」と感じてもらえるよう、従業員一人ひとりの一生に、健康面で寄り添っていきたいですね。
ーー本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社コスモスイニシア
インタビュアー:青柳和香子
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