
ダイサン・株式会社は、愛知県小牧市に本社を置く機械メーカーです。特殊用途向け産業用生産設備の企画・設計・製造・販売事業を展開しています。
田中知克社長は1999年の就任直後から、海外進出を経営方針としてさまざまな取り組みをしてきました。さらに、多忙な日々を過ごすなかで、自身の経験から健康の大切さを痛感。今回は「健康経営優良法人ブライト500」認定につながった取り組みや、今後の目標についてお話を伺いました。
社長自身の体調不良をきっかけに、社員の健康づくりを見直すことに

ーー本日はよろしくお願いします。御社の沿革や事業内容について教えてください。
田中さん(以下、田中):当社は1953年創業の機械メーカーです。主に産業用設備の機械製造を行なっており、お客様が開発された商品を量産するための機械をつくっています。分野を問わず、車、食品、住宅、医療、環境関連など、さまざまな業界向けの製造ラインを手がけているのが当社の大きな特徴です。
2000年初頭からは海外に進出し事業展開をしています。韓国をはじめベトナムなどに事業所・工場を設け、アメリカ、中国、ヨーロッパ、韓国、東南アジアなど、さまざまな国で海外展開しているお客様に製造した機械を届けています。今後は航空宇宙産業にも携わっていく予定です。
ーー健康経営を始めたきっかけを教えてください。
田中:当社では、健康経営が提唱される以前から社員の健康づくりに取り組んできました。そのきっかけとなったのは、2009年に自身が体調を崩し緊急手術をしたことです。術後寝たきりの生活をするなかで、あらためて健康の大事さに気付かされました。
退院後は、体力回復のためにトレーニングジムに通っていたのですが、その時に受けたトレーニングメニューの内容が、非常に充実していてバランスが良く、自分が望んでいたものだったのです。
そして、社員の健康づくりにも取り入れたら良いのではとの思いから、会社にトレーニングジムをつくりました。当時新しい工場を建てる計画があったため、建物のなかにトレーニングジムをつくり、社員がいつでも気軽に体を動かせる環境を用意しました。
ーー健康についての課題はありましたか?
田中:愛知県という地域性もあり、通勤は車、仕事はデスクワークとなると運動機会が少なく、社員の肥満が問題でした。産業医からは健康診断の結果から注意を受けていました。
また、残業がある日は夕食の摂取時間が遅く、お菓子などで空腹を満たして仕事をしていたことも、肥満の原因につながっていました。
運動不足解消のため社屋にジムを設置!週2回のパーソナルトレーナーによる指導も

ーー具体的な施策について教えていただけますでしょうか。
真野さん(以下、真野):運動することの習慣づけのために、ジムを自由に利用できるようにしました。器具の正しい使い方やトレーニングの指導を受けられるよう週に2日、パーソナルトレーナーに来てもらっています。
しかし、当初は健康意識の高い社員だけが利用する、という新たな課題も生まれました。
そこで、2020年に発足したのがMVH(most valuable healthモースト バリアブル ヘルスの略)会です。同じ部署内で8名ほどの人数で1つのチームをつくり、健康のためチームごとに活動を決めて頑張ろうというものです。また、チームの代表者が2カ月に1回集まり、健康経営アドバイザーも交えてチーム内での成果や、悩みごとなどの意見交換をしています。
スクワット・散歩・ダンスなど、何をするのかはチームで決めます。ひとりで続けるのは難しいですが、メンバー同士で声をかけ合うことが継続する力となります。歩く歩数は、アプリを使ってお互いに頑張っていることが分かるようにしました。
そして、1年の活動の総まとめとして表彰式を行ないます。チームの中からユニークな賞の名前をつけて行なうチーム内の個人表彰、最優秀チームの表彰、そして全社員のなかから最優秀個人賞(MVH)が選ばれます。賞金がありますから表彰式は盛り上がります。
ーー食事面への取り組みもされているようですね。
真野:食に関しては、低糖質で腹持ちの良い「ふすまパン」の社内販売を行なっています。昼食をふすまパンにしたり、お菓子をふすまパンに替えることで、帰宅後の食事量が減ったりして肥満抑制の効果がありました。
これも、トレーニングジムと同様に会社で補助をしています。さらに、ふすまパンは社員の家族からも好評で、家に持ち帰ることで家族も健康に対する意識が高まっているようです。
ーー健康診断への取り組みについても詳しく教えてください。
真野:健康診断に関しては、基本的な項目だけでなく、40歳以上は眼底眼圧検査、女性特有の疾患の検査を2年に1回全額補助しています。また、検診は勤務時間内に受診しています。
さらに、通常は40歳以上が受ける生活保健指導ですが、当社では全社員が産業医からの生活保健指導を受けています。
健康経営を通して社内のコミュニケーションが活発に!

ーー健康経営を通して、社内の変化や反響はありましたか?
真野: ジムやチーム活動を通じて社内のコミュニケーションの機会が増えました。MVH会のチームには20代をはじめさまざまな年代の社員がいます。普段は仕事を教わる若い社員が先輩社員にトレーニング器具の使い方を教えたり、ダンスを教えたり、世代や部署を超えてコミュニケーションが図れるようになりました。
新入社員のころからジムを利用することで運動する習慣がついています。
ーー今後の展望について教えてください。
真野:若いうちから健康に興味を持ってもらえるような、健康経営をしていきたいと思っています。同時に働く高齢者がたくさん増えてくる時代に備えておきたいです。また、メンタル面、睡眠に関しても会社でサポートできる体制を整えられたらと思っています。
早川さん(以下、早川):新卒採用の際に、コミュニケーションや物事の理解の仕方が時代の流れとともに変化していると感じます。対面で話す機会や年代の違う者同士が話す機会が減っているなかで、人間関係を築いていくのが難しくなってきています。
世代間のギャップを埋めるためにも、チーム戦で健康づくりを継続していくのは、とても意味のあることだと思います。
ーー読者に向けたメッセージをお願いします。
早川:当社の行動指針にもありますが、まずは何でもやってみることが大事だと思います。新しいことに挑戦するとき、理由をつけてやらないようにしてしまいがちです。しかし、まずはやってみることで見えてくることがあります。失敗を恐れずに何でも挑戦してみることが大事ではないでしょうか。
ーー本日は貴重なお話をありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:ダイサン・株式会社
インタビュアー:朝本麻衣子
サントリーウエルネスのおすすめ商品はこちら