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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

大幅な残業削減から健康経営優良法人へ。総合埠頭株式会社にインタビュー

世界各地からの輸入貨物を届ける総合埠頭株式会社

ーー本日はよろしくお願いします。まず御社の事業内容について教えてください。

杉本さん(以下、杉本):当社は、三河港の明海埠頭で港湾運送業を営む会社です。輸入貨物を船舶から港へ下ろし、お客様へお届けする仕事をしています。

主な取り扱い貨物は、ドイツ・スペイン・メキシコ・南アフリカからの外国輸入完成自動車、タイから建設資材用石膏ボード原料の石灰石、インドネシア・マレーシアからバイオマス発電燃料、アメリカ・ブラジル・ウクライナから家畜の飼育原料となっており、世界各国からの貨物を取り扱っています。

日本全国に輸入される外国自動車の約半分がこの三河港で陸揚げされ、その半分近くを当社が取り扱わせていただいていますので、日本で走る外国車4台のうち1台は当社が扱っていることになります。

運搬船から輸入自動車を港の保管ヤードへ下ろしたら、自動車会社のオーダーに応じて整備工場に運びます。狭い場所で高価な車を移動させるには高度なテクニックが求められ、2020年には朝日新聞の「凄腕しごとにん」という記事でも当社社員が紹介されました。

近年、三河港の臨海部はパーム油を搾った後のヤシ殻や木材チップを燃料とするバイオマス発電所が次々と建設されています。当社ではそのバイオ燃料の荷役も行なっております。

部署は3つで、輸入車両の運搬・管理業務を行なうのが「車両部」、家畜飼育原料のトウモロコシなど車両以外の貨物を全て扱うのが「港湾部」、私と鬼頭がいるのが管理部です。

残業削減から始め、健康増進スタート

ーー御社が健康経営を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

鬼頭さん(以下、鬼頭):今から7~8年前に、貨物量の急激な増加に対応できず、後手に回る期間が1年ほどありました。その期間中は、従業員の残業時間も増え、全部署で応援に行ってもなかなか業務が終わらず、食事も睡眠もままならない状態にまでなってしまいました。これはどうにかしなければいけないと考えたのが、健康経営のきっかけです。

ーー当初はどんなことから始められたのでしょうか。

鬼頭:当時は勤務時間が自己申告制でしたので、まずはタイムレコーダーを導入して勤務状況を確認することから始めました。会社の制度の見直しなどをしたのはその後ですね。

現在、当社の就業時間はお昼休憩を除いて7時間で、それ以上の残業は最大でも40時間以内に収めるようにしています。8時間勤務の会社が多いと思いますので、さらに残業を少なくするようにし、それを達成できている状況です。

ーー残業を減らすという明確な課題があったのですね。健康面で特に気になっていたことはありましたか?

鬼頭:まず、夏場の車両部の健康維持が課題でした。業員が運転する車両は日陰が全くないモータープールに置いてあり、新車なので汚れや傷がつかないようボディにカバーがかかっています。

そのカバーを開けて車に乗り込むと車内温度は50℃以上です。体力がないと熱中症ですぐに倒れてしまいますし、冷房の効いた作業車との往復で温度差が激しい業務であるため、5月頃から徐々に体を慣らしていく必要があります。

朝食の欠食や寝不足も体力低下や事故につながるので、軽食が購入できる自動販売機やお金を入れなくてもボタンを押すだけで経口補水液が出てくる自動販売機を設置したり、睡眠時間を毎朝名簿に記録してもらったりしています。

健診の日程調整と費用はすべて会社で

ーー健康診断の受診もサポートされているそうですね。

鬼頭:健康診断に関しては今まで集団検診だったのですが、コロナ禍をきっかけに個別で受ける方法に変更しました。その際「配偶者の方も含めて会社で予約を取りますし、費用も持ちますよ」「この期間でご都合はいかがですか」と呼びかけたところ、ご家族と一緒に受診する従業員が増えました。

ご家族の体調も従業員の仕事に影響しますから、なるべくご家族で健康を維持していただけたらと思っています。

杉本:家族も大切にしたいと当社は考えていますので、健診サポートだけでなく、子の看護休暇制度(有給)も設けており、お子さんがいる従業員から好評です。他の従業員の理解もありますので、必要なときに気兼ねなく休めているかと思います。

運動習慣づくり・社内コミュニケーションも促進

ーーほかにはどのような取り組みをされていますか?

鬼頭:事務作業をしている従業員の運動不足を懸念していました。ただ、ジムなどは人によって都合の良い場所が違いますので、それぞれ運動のために使った施設費用を毎月2,000円まで補助するという形式にしています。

「体を動かす施設の利用料であればなんでも申請できる」と周知していますので、お子さんとテニスを楽しむ、ご両親とボウリングをするといった場合も利用されていますね。会社が施設を指定する方法もありますが、当社の場合は従業員それぞれがしたい運動を補助するという方法で運動促進を始めました。

ーーちなみにお2人も普段運動はされていますか?

杉本:週1回、ジムでトレーニングをしています。頻度は多くないですが、もう3~4年続けているので、結構体を絞れているのではないかと思います。

鬼頭:私は10年ほど前からフラメンコをやっていて、週に2回練習しています。 以前は従業員みんなでバトミントンなどのレクリエーションをする機会も設けていましたが、コロナ禍でそうした集まりは難しくなりました。

ただ従業員どうし、従業員と社長とのコミュニケーションを活性化するために「バースデーランチミーティング」を毎月開催しています。誕生月の従業員を集めて社長と一緒にランチをする会です。

ランチであれば就業時間内なので参加しやすいですし、普段本社とは別棟で仕事をしている車両部の従業員も、社長と直接近況について話したり、困りごとを伝えたりできる場になっています。

社外から健康増進施策に関する声がかかるように

ーー御社は「健康経営優良法人」認定制度で、中小規模法人部門上位500社の「ブライト500」に選出されています。認定を受けたことで何か変化はありましたか?

鬼頭:おもに豊橋市の保健所から、健康に関する取り組みの依頼をいただくことが増えました。例えば「カロママ」という健康管理アプリの3カ月トライアルや、女性の健康をテーマにしたオンラインエクササイズ、産婦人科の医師に悩みを相談できる場など、内容はさまざまです。

カロママを利用したときは毎日食事の写真を撮ってアップロードしたり、歩数や運動内容を記録したりしたことで、自分の生活習慣に気づくきっかけになりました。現在は一日8,000歩から1万歩を目指しています。

オンラインエクササイズやセミナー、個別相談なども本来であれば自分で意識して探さないと見つけられないですが、こうして行政から声をかけていただけるので、助かっています。

ーー企業として健康増進に取り組むことならではのメリットですね。

鬼頭:なるべく声をかけてもらえるようにするために、基本的に依頼は断らないようにして、10人くらい参加者を集めて実施しています。

豊橋市の政策には「出前講座」というものもありまして、いくつかの講座から希望内容を選ぶと講師の方が会社まで来てくださるんです。

以前の出前講座では助産師さんが来てくださり、女性特有の悩みに関して薬以外の対処方法などを教えていただきました。ほかにも薬剤師さんや歯科衛生士さんなど、さまざまな講師の方からお話を聞けます。

これらがすべて無料なので、当社のような中小企業にとってはぜひ活用したい機会です。ちなみにこの地域には女性が少ない会社が多いので、女性に特化した内容の際は近隣にも声をかけて女性従業員の方をさらに集めています。

中小企業だからできることも。今後も健康に働ける職場づくりを進めたい

ーー今後の展望をお聞かせください。

杉本: 当社は健康経営実施以降の離職率がゼロで雇用が安定していますので、一人ひとりが長く活躍できる会社です。加齢による身体能力、生産性の低下は避けては通れませんし、簡単に部署異動を行なうことができません。

そのため、健康的にいつまでも活躍できる年齢をのばし、働きがいがあって高いモチベーションが保てる会社にしていきたいです。

また、健康を保つには運動や食事も大切ですが、一日の約2/3を費やす睡眠と労働環境がより大切だと思います。健康経営によって得られた利益と時間を従業員にできるだけ多く還元し、残業しない・有休を使い切るのが当たり前にしたいですね。

あとはご家族のケアと仕事の両立も支援していきたいと考えています。一部テレワークは導入しているのですが、一番自由度が高いフレックスタイム制をトライアルで導入することも検討中です。

ーー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

鬼頭:健診予約を例として、従業員40名ほどの当社のような中小規模だからできること、フォローできることがたくさんあると思います。健康経営を「大企業がやることだから」「業務以外のことに取り組むなんて」と思う方もいらっしゃるかもしれないですが、できることから着手すると意外とさまざまな取り組みができるのではないでしょうか。

当社は以前、育休規定の見直しをするために社労士の先生に社内データを見ていただいたのですが、「女性が多くて勤続年数も長いし、女性活躍企業の認定項目に4つ当てはまっていますよ」と言われて驚きました。

この件も健康経営に取り組み始めるきっかけでしたので、自社の状態を客観的に知ることで、より働きやすい職場づくりの活動につなげられるのではないかとも考えています。

ーー本日はお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:総合埠頭株式会社

インタビュアー:青柳和香子

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