
鳴本石材株式会社は、岡山県に本社がある石材製品の卸売業を営む会社です。健康経営優良法人認定で推奨されている項目にすべて取り組むというアグレッシブな姿勢を貫く同社。今回は、代表取締役社長の鳴本さんにお話を伺いました。
健康経営のきっかけは新聞のローカルニュース

ーー本日はよろしくおねがいします。まずは、貴社の沿革やおもな事業内容について教えてください。
鳴本さん(以下、鳴本):弊社の創業は1971年で、昨年50周年を迎えた会社です。石材製品の製造および輸入卸売業を営んでおり、全国に営業活動をしています。社員は国内に約50名、海外に約90名、合計140名くらいおります。社員の平均年齢はだいたい45歳くらいで、男性が6割、女性が4割ほどです。
ーー健康経営をはじめたきっかけについてお聞かせください。
鳴本:新聞のローカル記事を読んでいたら、たまたま私の知っている地元の企業さんが「健康経営優良法人に認定されました」と載っていたのを目にしたことがきっかけです。新聞に載っていたのは短い記事でしたが、地元で認定を受ける企業はまだ少なかったので印象的でした。
そのときに初めて健康経営という言葉を知って、いろいろと調べるなかで会社にとっても社員にとってもいいことばかりの取り組みだと感じました。認定を受けるかどうかは別にしても、健康経営優良法人認定を目指して取り組みをしてみようかなと思ったことがきっかけです。それが2019年くらいですね。
体の健康と心の健康、それぞれに課題
ーー社員の皆さまの健康状態で改善が必要と感じていた点はありますか?
鳴本:健康とひとことでいっても、体の健康と心の健康があると思います。まず、体の健康に関しては「生活習慣病に気をつけなければいけない」という情報提供があまりできていなかったと感じています。
中高年になると、メタボリックシンドロームなど体型が目につく社員もいます。「健康診断を受けましょう」くらいの勧奨はしていましたが、特段のアプローチをしていなかったなと思います。
心の健康については、メンタル疾患を予防する取り組みや早期発見のための体制づくりの必要性も感じていました。
「全部取り組めばいい」。推奨される項目のすべてにチャレンジ

ーー健康経営については、どんなことから始めましたか?
鳴本:健康経営優良法人の認定を申請するときには「健康課題の把握」「健康意識の向上」「過重労働対策」などさまざまな大テーマについて、それぞれ推奨される取り組みが複数羅列されていたので、すべて目を通しました。
健康経営優良法人の申請を目指す際、その大テーマのなかからいくつか選んで取り組みましょうといった指針があったのですが、どれもいいと思う内容ばかりでした。だから「もう全部取り組めばいいじゃないか」と思い、一覧にしたものを健康経営宣言として取り組みをスタートしました。
ーーたしかに、どのテーマも健康経営に必要ですね。実際の施策について詳しくお聞かせください。
鳴本:「健康課題の把握」についていえば、人間ドック半額負担(40歳以上)、定期健診の実施および受診率100%、ストレスチェックの実施をしました。「健康意識の向上」であれば、社内で導入しているチャットツールに健康に関する豆知識を流しています。

また、2020年度からは社員を表彰する制度に健康経営部門を新設しました。初年度はベストBMI賞といって、病気になりにくいBMI数値に近かった人ベスト3を表彰しています。あとは、歩数アプリを導入して、全社員で歩数の競争をしています。そうしたことで健康意識の向上を促しました。
社内の制度についていえば「ワークライフバランスの推進」というテーマに基づいて、原則週休二日制、育児短時間勤務の導入といったことを整えてきましたし、「運動機会の増進」というテーマでは、地域などのスポーツイベントに参加する費用を会社で負担する取り組みをしています。
社員の健康への意識が確実に変化してきている
ーー健康経営を実践するうえで大変だったことはありますか?
鳴本:健康経営を始めた2020年は新型コロナウイルス感染症が流行しだしたということもあり、状況が常に変化していました。社内の勤務体制や実際に感染者が出たときの対応、行動制限については頭を悩ませましたね。特に、営業会社なので、基本的にはお客様を訪問するのが仕事ですし、社員同士の飲み会もわりと多い会社だったので、どこまで行動制限をかけるかといったところは大変でした。
ーー取り組みによる効果や社員の皆さまからの反響はいかがでしょうか?
鳴本:健康習慣アンケートを全社員に実施しています。アンケートの実施は今年で3年目になりました。アンケート結果を見ると「あなたの会社は社員の健康づくりに関して熱心だと思いますか」といった項目に対して「はい」と答えたのが初年度は50%ぐらいでしたが、今年は75%くらいになりました。
また「勤務先の取り組みを活用してあなたも健康になれると思いますか」という項目について「はい」と答えたのは、初年度はわずか10%程度でしたが、今年は45%くらいです。少しずつ社員の方の意識と具体的な行動が変わりつつあるのかなと思います。
健康経営をきっかけに「タバコをやめようと思う」といってくれた社員もいると聞いています。健康への意識をもつことについては、確実に変化してきていると感じています。
宣言項目をすべて継続して結果を出す。そのうえで新しい取り組みも
ーー健康経営について今後の計画、展望がありましたらお聞かせください。
鳴本:健康経営宣言をした取り組みすべての項目について毎年自己採点をしていますが、なかなか100点満点にはなりません。まずは、宣言で挙げた項目についてすべて成果が出せるように実行していくことを継続したいと思っています。しっかり結果を出したいですね。
そのうえで、また新たに取り組んでみたいことがあれば積極的にやっていこうかなと思っています。今、計画しているのは会社のなかに筋トレマシンを置いて、社員のみんなが自由に使えるようにすることです。そこへ、定期的にトレーナーの方に見に来てもらって、器具の使い方や効果的なトレーニングの仕方を指導してもらえたらと思っています。
食事や睡眠に関しては社員任せになりがちなので、せめて運動する機会の提供は会社として環境を整えていきたいなと思っています。
会社のトップが「健康が最優先事項」であることを発信し続けるべき
ーー最後に、読者へのメッセージをおねがいします。
鳴本:健康が大事だということは分かっていても、それでも定期健診で再検査の項目を、そのままほったらかしにしてしまう人はいますし、自分は大丈夫だろうと思ってしまいがちです。
健康は人が生きていくうえで一番大事なことです。体の健康、心の健康が最優先事項であることや、健康を犠牲にしてまで仕事をする必要はないということを会社のトップが発信していく必要があるのではないでしょうか。
ベストコンディションで仕事をしてもらうためにも、心身ともに健康でなければならないですし、体調が悪いときは無理をせず休んでね、というようなメッセージを会社側から伝えていかなければいけないと感じています。私自身、さまざまな不調を経験してから健康は当たり前ではないことを強く意識するようになりました。
あとは、定期健診などの機会を大事にしてもらって、予防や早期発見、早期治療に努めてもらいたいと思います。適度な運動、バランスのとれた食事、良質な睡眠といった基本中の基本だと思いますが、そうしたことをメッセージとして社員に発信し続けていくことが一番大事だと思っております。
ーー本日は貴重なお話をありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:鳴本石材株式会社
インタビュアー:朝本麻衣子
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