
株式会社イワサキ経営は、静岡県沼津市に本社を構える会計事務所です。健康経営の取り組みは、運動促進に注力して行なっています。健康経営優良法人には2年連続で認定され、今年度(2022年度)はブライト500にも認定されました。
今回は、同社の代表取締役社長 吉川正明さんと営業企画課 竹内奈津美さんに、健康経営で取り組まれている施策やこれまでの経験を伺いました。
静岡県で最も規模が大きい会計事務所

ーーまずは御社の沿革や、おもな事業内容について教えてください。
吉川さん(以下、吉川):当社は、1973年に4名で創業した会計事務所です。来年50周年を迎え、現在は113名の社員が在籍しています。2020年頃からは女性社員の割合が男性社員の割合を超え、女性の活躍を推進しています。
会計事務所は会社の経営を支援していく立場なので、我々の会社もますます成長していかなければならないという考えを持っており、気付けば静岡県で最も規模の大きな会計事務所にまで成長していました。
現在では、税金の計算をする従来の会計事務所の枠を超えて、マーケティングや資産運用、DX支援、動画制作など幅広く業務展開することで、中小企業の悩みをノンストップで解決できる組織となりました。
運動している社員の割合が同業他社の半分以下だった

ーー健康経営を始められたきっかけを教えてください。
吉川:会社の経営理念として「社員第一」という考え方を持っています。「いかに社員が働きやすい環境を作れるか」と考えた結果、健康経営に取り組み始めました。会社が社員のことを大切にすることは、社員がお客様のことを大切に思うことにつながり、サービスの質の向上やお客様の満足度も向上していくと考えています。
竹内さん(以下、竹内): 2018年に新社屋に移転したのをきっかけに、好きな席で仕事ができる「フリーアドレス制度」や、週に1度「ノー残業デー」を取り入れるなど、健康経営を推進してきましたが、特に力を入れているのが運動促進への取り組みです。
弊社は協会けんぽに加入しています。健康診断の結果を同業他社の結果と比較すると、「運動する人の割合」が極端に低いという結果が出ました。この結果を受けて、今は元気に働いている社員でも近い将来、体調不良を訴える社員が増えていくのではないかと危機を感じたことが、運動促進に力を入れていくきっかけとなりました。
ーーどのような施策で運動促進に取り組まれたのでしょうか?
竹内:まずは運動するきっかけを作る必要があります。そこで沼津市の市民福祉部健康づくり課に依頼し、健康セミナーを開催してもらいました。保健師さんや管理栄養士さんをお招きして、身長と体重から算出される適正体重を知ってもらいます。
そのうえで、自分の適性体重になるにはどのような運動をするべきなのか、どのような食事をとるべきか、などの知識を勉強します。水泳やランニングなどは普段の生活で取り入れにくい社員もいるので、すぐに実践できるストレッチも教えていただきました。
ほかにも社内でウォーキングイベントを開催しています。これまで3回開催していますが、それぞれ別のコースを設定して、目的地まで社員や社員の家族と歩いて向かいます。ほかにも、毎年5月に開催される「さつきラン&ウォーク」というウォーキングイベントにも参加しています。これは、5月1日~31日までの1カ月間の平均歩数を、会社対抗で競うイベントです。高い順位を目指すことだけが目的ではなく、社員が運動を意識して過ごせるようになることが重要だと考えています。
ーーほかには、どのような施策に取り組まれているのでしょうか?
竹内:ゴルフ大会のイベントを今年の7月に開催しました。ゴルフは一日中歩きますので、気付くと1万歩以上歩いているなど、良い運動の機会になっているようです。11月にはお客様向けのゴルフコンペも企画しています。
また、弊社には福利厚生委員会があり、そこで社内の懇親会などのイベントを企画してくれています。今までは飲み会の開催が一般的でしたが、最近は健康経営と絡めた「ウォーキングイベント」や「ソフトボール大会」など社員が楽しんで参加できる企画が増えました。
健康経営の推進には2年ほどかかった

ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことはありましたか?
竹内:社員の人数が多いこともあり、健康経営の取り組みを浸透させるには時間がかかるということを実感しました。取り組み始めてから、全体会議などで「健康経営」という言葉を積極的に伝えていますが、社員にとって聞き馴染みのある言葉になるまで2年ほどかかりましたね。
最近は、「週末にあそこに行って何千歩も歩いた!」という会話を昼食中や休憩中に聞く機会が増えてきたと感じています。
吉川:先日開催した健康に関する社内セミナーで、数名の社員に自分の健康法を発表してもらう機会がありました。その発表を聞いて、運動に対する意識が向上している社員が増えていることを実感しましたね。オートミールを取り入れてダイエットをしている社員の発表では、どのような味なのか、どのくらい痩せるのか、おすすめの食べ方などを話してもらいました。社員も楽しんで聞いてくれたようです。
ーー健康経営に関する、今後の計画について教えてください。
竹内:健康経営優良法人に2年連続認定をされまして、今年は上位500社に与えられるブライト500の認定も受けました。少しずつ取り組んできたことが結果となりうれしく思っていますが、まだまだ取り組めることもあります。例えば、当社は女性社員の割合が高いので、女性特有の健康問題への支援も進めていきたいですね。
吉川:「長く健康に生きたい」という欲求はみんなにあると思うので、そこを引き出し、健康への意識を持ち続けられるような施策作りにも取り組んでいきたいです。社内に影響をもたらすための社外への発信など、まだまだやるべきことはあります。
健康経営が社員のストレスにならないように進めていくことが大切

ーー健康に関心のある読者の方や、企業の健康経営ご担当者様に向けてメッセージをお願いします。
竹内:いくら健康経営を大事に思っていても強制的に進めると、社員にストレスを感じさせてしまう可能性もあります。焦らずに時間をかけて、健康経営を浸透させていくことが大切だと思います。
吉川:経営者の方へのメッセージとして、健康経営は売上と関係なく、優先順位が低いと考えている方は多いかと思いますが、実際はそうではありません。働くのは社員なので、社員が健康に働けると売上も上がっていくはずです。経営者の方も健康経営を意識して、社員も幸せになると良いと思っています。
ーー本日はお話をお聞かせいただきありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社イワサキ経営
インタビュアー:塩野実莉