
1983年設立のシー・システム株式会社は、ソフトウエアの設計・開発・保守、パッケージソフトの開発・販売を行なう大阪のIT企業です。
IT業界で早くから従業員の健康を意識した経営方針を打ち出し、6年連続で「健康経営優良法人」の認定を取得しています。また、2021年からは健康経営に取り組む中小規模法人の上位企業に与えられる「ブライト500」にも選出されました。
今回は同社の専務取締役 森下 亮佑さんと総務部の安部さんに健康経営と生産性についてのお話をお伺いしました。
IT技術で業務効率化するシステムを開発・提供

ーーまず、御社のおもな事業内容や取り組みを教えてください。
森下専務(以下、森下):当社は今年41期目を迎え、おもにシステム開発を行なう企業です。具体的には販売管理システムや会計システムを開発しており、最近では業務の自動化関連ツールの開発・提供もしています。
具体的には反復的な業務を自動化して効率を上げるRPAや、AI技術を活用して読み取った書類や帳票を電子化するAIOCRといったツールの開発・提供です。
健康経営支援事業も展開し、ストレスチェックサポートセンターを運営しています。ここではストレスチェックの実施だけでなく、そのデータから従業員の健康課題を分析・可視化してフィードバックを行なっています。
健康経営は、従業員の健康増進によって会社の生産性を向上させる目的もあります。お客様の課題をお聞きしつつ、ストレスチェックの結果から見える問題点を考え、生産性を高めるための情報提供や業務システム導入の提案などをしています。
IT業界で常態化する問題に創業時から改善を図る

ーー健康経営はどういった経緯で始められたのですか。
森下:創業当時のIT業界は日付が変わるまで働くことが常態化している、いわゆるブラックな状況でした。創業者もそのような環境で働いており「これは間違っている」という思いから、創業したという経緯があります。
当時は健康経営という言葉はありませんでしたが、業界内の働き方に対して疑問を持っており、従業員の健康を強く意識していました。そして従業員を大切にし、健康を促進すれば会社の生産性も上がるというコンセプトのもと、創業時より取り組んでいます。
経営者視点と従業員視点で健康経営を推進
ーー御社の健康経営はどのような体制で進められているのですか?
森下:私は専務取締役という経営者視点で、働きやすい職場環境の整備や仕事とプライベートを両立できる制度づくりを担当しています。一方、総務の安部は従業員の一人として職場や家庭のことで困っている者がいないかヒアリングを実施し、フォローする働きをしてくれています。
制度を作って従業員をその型にはめるだけでは、問題解決にならないこともあるでしょう。安部が困っている従業員の状況を聞き、将来予想される問題にも対応できるよう意見を吸収して社内制度などに反映できるようにしています。
安部さん(以下、安部):個別のヒアリングでは健康上の相談だけでなく、家族の状況に関するものもあります。例えば配偶者が出産を控えている従業員から事前に状況を聞いていれば、育児休暇を取得しても周囲がフォローできる体制を準備できます。
こうした従業員へのヒアリングや情報発信には、チャットツールも活用しています。全員が見られるチャンネルを作って発信したり、個別の相談もチャットを使ったりしています。
フォローが必要な環境にある人については専用のグループチャットを作って、営業担当者が案件についての橋渡しをすることもあります。連絡に漏れがなく円滑に業務を進める工夫の一つですね。
森下:私は経営側の立場ですから、口調に気を使って話しても従業員からは重く受け取られがちです。でも同じ従業員の立場である安部にならちょっとした困りごとも話しやすいようで、健康経営を進めるうえで欠かせない存在になっています。
当社は経営理念に「一人ひとりの幸せを追求する」とあり、健康経営もこれをベースに考えているため、従業員に強制するやり方はしていません。自発的な行動を促すことを重視しています。
フレックスタイム制を採用し、従業員の勤務状況もフォロー
ーーこれまでに実施されてきた、具体的な施策を教えてください。
森下:今では多くの企業で採用されていますが、当社は創業当初からフレックスタイム制を採用しています。そのため各自の都合に合わせた柔軟な働き方が可能です。
私自身も子どもを保育園に送ってから出社するといった、時間の融通が利く働き方ができています。従業員のなかには、午後休を使わずにフレックスを使って午後からライブを見に行く者もいます。このように、各個人のライフスタイルを尊重した時間の使い方を実践できています。
安部:システムエンジニアは案件の内容や進捗によって、勤務状況にばらつきが出やすい職種です。当社では基本的に残業せずに済むような勤務体制ですが、納期や状況によっては業務が多くなります。
残業が多い状態にある従業員がいれば、健康を害していないか、休みは取れているのか、その状況はいつ頃収束する見込みなのかなどをヒアリングしています。これは残業をとがめるためではなく、健康的に働けるようフォローするためのものです。
森下:健康に関する取り組みとして、当社は部活動制度もあり、フットサルや卓球などで従業員の運動促進に役立てています。ここ数年はコロナ禍の影響もあって積極的に活動できていませんが、状況を見て再開させるとともに、運動促進の施策をあらためて考えていきたいですね。
ただ我々も小さな企業ですから、社内でスポーツ大会をするにしても人数が足りません。そこで、大阪や関西の企業数社で集まってのフットサルやリレーマラソンなどを企画・運営する「スポーツ法人エンジン」という活動も行なっています。
「ブライト500」に選ばれたことで会社の認知度がアップ

ーー取り組みによる効果や、健康経営優良法人「ブライト500」取得に対する社内外からの反響はいかがでしょうか?
森下:健康経営優良法人を取得していることは求人情報にも掲載しており、それを見て応募してくださる方はエンジニア職・営業職ともに増えました。採用面接の場でも志望動機として話題に出ることがあり、企業の魅力を高める効果もあったと実感しています。
特に若い世代では、働きやすい職場環境や従業員の健康を意識している企業であるかが、仕事選びにおいて重要な要素となっているようです。私も採用に関わっていますので、健康経営や当社が導入している制度について質問があれば、しっかりとお伝えしています。
社内にも健康経営の取り組みは浸透しており、不健康なことをしていたり、体調を崩す従業員がいたりすると「健康経営をやっている会社の人間なのに、大丈夫か?」というような話題が出てきます(笑)。「健康経営優良法人」や「健康経営」という言葉が、社内文化のキーワードになっているのを感じますし、そうした意識が従業員に芽生えているのは良い流れですね。
健康経営に取り組まれている他の企業も「ブライト500」について声をかけてくださることがあります。それが会社の信用にもつながっているようで、取り組んできて良かったと感じています。
健康経営は従業員の健康を促し、会社の生産性も高める取り組み

ーー6年連続の健康経営優良法人認定を経て、今後の目標や計画がありましたらお聞かせください。
森下:現在実施していることはこれからも継続していきたいと考えています。育児や介護との両立がさらにしやすくなるよう、必要に応じて特別休暇が取れる社内制度も整えているところです。また、食生活についての情報発信も強化したいと考えています。
安部:会社が働きやすい環境を整えていくためには、従業員との適度なコミュニケーションが必要だと思います。
しかしながら近年は、テレワークなどが増えて、顔を合わせる機会が減っているため、従業員の様子がつかみにくい現状があるように思います。
社会的に本当の意味でのWithコロナの暮らしが定着しつつある今、顔を合わせる機会を増やしていけたらなと思っています。
ーー健康に関心のある読者や、企業で健康経営に取り組む方へのメッセージをお願いします。
森下:健康経営というと、従業員を健康にしていく活動に焦点を当てている場合が多いですが、従業員が健康であることを会社の生産性や業績の向上に結びつけるフェーズもあります。
ただ、従業員が健康になれば会社の生産性も上がるというわけではありません。そもそも不健康の原因には各自の生活習慣だけでなく、非効率な働き方や生産性の低い職場環境による負担も考えられるでしょう。形式張った手法やアナログな反復作業などがまさにその一例です。
従業員の健康課題を改善すると同時に、生産性を高める仕組みを導入して負担を軽減する。当社の健康経営ではこの両輪をしっかり回していけるようにと考えています。
冒頭にご紹介したように、当社はストレスチェックサポートセンターだけでなく、RPAやAIOCRを活用した人間がより人間らしい業務に集中するためのシステム開発・提案もしています。従業員の負担を軽減し、生産性を高める健康経営をお考えの企業様にも当社にご興味をもっていただけたら幸いです。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:シー・システム株式会社
インタビュアー:青柳和香子
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