
株式会社キャリアコンサルティングは東京・大阪・福岡にオフィスを構え、教育事業やセールスプロモーション事業を行なう企業です。
同社は、運動促進や睡眠時間コンテストなどの取り組みを続け、健康経営優良法人2022では中小規模法人部門上位500社が認定を受けるブライト500を取得しました。
健康推進のために実際に取り組んだ施策や今後の計画について、総務部の綿引さんと福永さんにお話を伺いました。
寝る間も惜しんで働いた経験から、健康の重要性を学んだ

ーーまずは御社の沿革や、おもな事業内容について教えてください。
綿引さん(以下、綿引):2003年に創業し、おもに教育事業を行なっています。具体的には、大学生や社会人の方がリーダーシップの基礎を身につける教育サービス「しがく」に、学ぶ場として通っていただいています。
また、大学生の就職活動支援やセールスプロモーション支援として伝統工芸品のノベルティや記念品を企業に販売する事業も行ない、職人さんの支援にもつなげています。例えば、埼玉県の藍染と福岡県の博多織をかけ合わせたネクタイなど、職人さん同士がコラボレーションした商品などもご好評いただいています。
ーー健康経営を始められたきっかけや、どのように推進されてきたかを教えてください。
綿引:2003年に創業した当時は、スタートアップ企業のため寝る間も惜しんで働く社員も多くいました。それから3年が経った頃、弊社代表の室舘がテレビ番組に出演する機会があり「今までで一番の失敗は?」という質問をされたときに、「不健康」と回答しました。健康を意識して生活していないと仕事でパフォーマンスを発揮できないですからね。その時期から従業員の健康を意識していくようになりました。
弊社はリーダーシップを教えていますが、リーダーが不健康で倒れてしまう組織はうまく立ちいかなくなってしまいます。リーダーシップの要素として、健康についても教育していこうという方針が決まったことも、健康経営の取り組みを強化したきっかけの一つです。
健康診断の結果に応じてインセンティブを付与

ーーどのようなことから、健康経営の取り組みを始められたのでしょうか?
綿引:ちょうどその頃「縄文ストレッチ」というものを教えている倉富和子先生と知り合う機会があり、社員へのワークショップを開催してもらうこと、オフィスで実践できるストレッチを教えてもらうことから始まりました。
縄文ストレッチは健康的な食事や運動についてなど、健康の基礎的な要素を学ぶ機会となりました。例えば、運動では、26歳を超えたら激しい運動ではなくウォーキングのような程良い運動にすること、食事については「まごわやさしい」を意識すること、基礎体温を36度台にするために根菜類を摂ること、湯船に浸かるようにすることという内容です。
ーーほかにはどのような施策に取り組まれているのでしょうか?
福永さん(以下、福永):まずは、毎月行なっている「健体康心チェックシート」の実施です。質問内容には、「睡眠時間はどのくらいですか?」「イライラすることは多いですか?」など、健やかな体と康らかな心についての項目を用意しています。その回答を総務部や健康推進課の社員がチェックして、結果が不安な社員がいた場合には本人に健康推進課から連絡を取る体制を整えています。
また、30歳以上の社員には健康診断結果に応じてインセンティブを付与する施策も行なっています。前回よりもランクが良くなっている社員や、Aランクを維持した社員にインセンティブを渡しています。
全社員が参加する運動促進イベント

ーー運動促進についてはどのような取り組みを行なっているのでしょうか。
福永:運動に対する取り組みでは、「歩け歩けコンテスト」という歩数を競い合うイベントを開催しています。他部署の社員同士で3人1組のチームを組み、実施しているので、コミュニケーションを取る機会も増えました。最初は任意で参加者を募ってみたのですが、結果、社員の9割以上が参加してくれましたので、現在は、怪我をしている社員や妊婦さん以外の全社員が参加してくれています。会社全体を巻き込んで取り組めているイベントです。
ーー社員の方がたくさん参加されているのですね。
綿引:弊社の教育事業で健康の重要性を学び、縄文ストレッチなどの取り組みから健康への理解を深めている社員も多いので、このイベントが開催されるときには「私も取り組もう」と前向きに考えてくれた社員が多かったのかもしれません。また、全社員が集まる場で表彰を行なっているので、イベントとして楽しんで参加してくれています。
仮眠は仕事に活きるリフレッシュの時間
ーー睡眠に関して、何か取り組みはされていますか?
綿引:仮眠を取れるリフレッシュルームを作りました。パーテーションで仕切り、照明や音楽、アロマを焚くことでリラックスできる環境を整えています。「今日は忙しくて遅くなりそう」、「次の約束のためにパワーを入れ直すぞ」というタイミングで使ってくれていますね。代表の室舘が営業マン時代に、「電車で5分仮眠するだけで、リフレッシュになり仕事に活かせた」と話していたことから取り組みが始まりました。
このようなスペースが使われなくなってしまう理由として、上司の目が気になるということもあると思います。そうならないために、管理職に率先してリフレッシュルームを使ってもらい、若手の社員が「使っていいんだ」と感じてもらえる環境作りを行ないました。現在は、活用してくれている社員も多いです。
また、睡眠については「睡眠時間コンテスト」を社内で開催しました。3週間の実施期間中、毎日の睡眠時間を記録して、しっかりと睡眠を取っているかを競い合うという内容です。優勝者にはお米などを贈呈しています。
体力測定で気付きを得てほしい

ーー健康経営について、今後の計画や目標がありましたら教えてください。
福永:運動への取り組みを強化していきたいと考えています。弊社の社員はメタボリックシンドロームに該当する社員はごくわずか、予備軍を含めても8%ほどの割合です。若手の社員でメタボリックシンドローム予備軍の割合が少しずつ増えていたり、割合が高い部署があったりするので、改善に向けて取り組む必要がありますね。
まだ実施できていない企画として、体力測定を実施できたらと考えています。「体力年齢はこのくらいです」という結果が出ると、「体力がなくて大変!」などの気付きを得られる機会になります。普段の運動への意識が変わるきっかけになると思うので、より良い形で実施できるように検討している段階です。
ーー健康に関心のある読者や企業で健康経営を担当されている方へのメッセージをお願いします。
綿引:健康な人が増えると、国の医療費を圧迫しなくなると思います。日本を元気にしていく手段として健康経営が活きてくると思いますので、健康経営を推進している企業が力を合わせ、社員の働きがいと生産性の向上で、より良い日本にしていけたらと思います。
福永:楽しく、無理のない範囲で取り組んでいくことが続けられるポイントだと思うので、イベントはみんなが楽しく取り組めるように意識していくことも大切です。
ーー本日はお話いただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社キャリアコンサルティング
インタビュアー:塩野実莉