
株式会社マスパックは大阪府に本社工場、東京都に支店を構え、ペーパーディスプレイや医薬品パッケージの製造、販売を行なっている会社です。
健康経営の取り組みとしては、ツキイチ保健室というサービスを利用して従業員とのコミュニケーションを取るなど、従業員の健康意識向上を目指した取り組みを進めてきました。健康経営優良法人2022では、中小規模法人部門の上位500社が認定されるブライト500を取得しています。今回は、同社の代表取締役 増田昭雄さんにお話を伺いました。
健康意識が低いことが課題

ーー御社の沿革や事業内容について教えてください。
増田さん(以下、増田):1968年に大阪府で創業し、ペーパーディスプレイ・POPの企画製造や、デザインパッケージの企画製造、医薬品パッケージの製造を行なっています。2002年に東京支店を開設し、2010年には「大阪ものづくり優良企業賞」を受賞するなど、成長を続けている会社です。
ーー健康経営の取り組みを始めたきっかけを教えてください。
増田:2019年に、訪問介護や訪問看護業を営む株式会社フリーステーションの小宮社長から、弊社に月に一度訪問し、従業員の心身に渡る健康面でのアドバイスを行なう「ツキイチ保健室」を開設したいとのお誘いを受けたことが、健康経営の取り組みを始めるきっかけとなりました。健康経営優良法人の認定取得についても進めていただき、健康経営優良法人2022ではブライト500の認定を受けるに至りました。
ーー健康経営の取り組みを進めるなかで、従業員の健康状態について改善が必要だと感じていた点はありますか?
増田:以前から、健康診断の結果に問題がある従業員が多くいました。それをもとに、要精密検査以上の従業員には社長が個人面談を実施していましたが、健康診断結果の中身も見たことがない、自分の健康に関心が低い従業員が多くいました。つまり、健康意識が低いことが課題であると思います。個人面談では、今まで健康診断結果を見たことがない従業員でも一緒に確認するため、改めて自分の健康について考える機会になったと思います。
ツキイチ保健室でいろいろな相談ができる場所を提供

ーー具体的にはどのような施策に取り組まれていますか?
増田:まず、健康経営に取り組むきっかけとなった「ツキイチ保健室」を開設し、3カ月に一度、全従業員と株式会社フリーステーションの小宮社長との面談の機会を作りました。具体的には、健康診断の内容説明と対策、体の不調、女性の健康状態などの体の健康に関することだけでなく、メンタルチェックや日頃の愚痴こぼしなど、精神的な面についてもサポートしてもらいました。その結果から、看護師目線の専門的かつ具体的なアドバイスもいただきました。
また、当社は肩や腰の痛みを抱えている社員がいるので、株式会社フリーステーションの理学療法士により、個人別に腰や肩の痛みの緩和方法を教わっています。全体としては、当社のツキイチニュースで栄養や運動の情報を提供するなど、健康に対する知識も増やしているところです。さらに、以前から社員が行なっているプロジェクト活動に健康経営を加え、自主的に昼休みに運動を行なったり、食事のアプリを入れたり、禁煙運動をするなどの活動も始まりました。
このように健康経営の取り組みが広がっていくなかで、社長が毎週月曜に発行している社長新聞に掲載している内容にも、健康アンケートの結果発表などの健康の話題が増え、従業員も健康に関する話題を目にする機会が増えていますね。
急いで取り組むのではなく、時間をかけて進めていくことが大切
ーー健康経営に取り組むなかで大変だったことはありましたか?
増田:食生活や喫煙、運動のことは、従業員のプライベートな時間に立ち入ることになるので、取り組みを始めた頃は、強く踏み込みませんでした。そのため、結果が出るのに時間もかかりましたね。しかし、急いで改善するのではなく、時間をかけて少しずつ確実に進めていく必要があると思います。
「ツキイチ保健室」で全従業員が小宮社長と面談を行なっていましたが、従業員が心を開き、フランクに相談できるようになるまで半年ほど、プロジェクトチームの体制が整うまで1年ほどはかかったと思います。
ーー健康経営の取り組みについて、従業員の皆さまからの反響はいかがでしたか?
増田:健康経営の取り組みは勤務時間を使って実施しているので、従業員からは全体的に好評の声をいただいています。なかには、医者のアドバイスを受けながらダイエットに成功し、検診の数値も良くなった従業員もいます。
また、肩や腰が悪い従業員については、理学療法士の方に個別で指導してもらえる施策はとても好評ですね。セミナーで知識を伝えるだけでなく、実際にマットを敷いて体幹を鍛えるトレーニングなどを教えていただけることで、改善に向かっている従業員もいますね。
マスパックで働いて良かったと思える会社づくりを進める

ーー健康経営について、今後の計画や目標を教えてください。
増田:従業員一人ひとりが、自分や家族の健康への意識を高く持ち行動することが大切だと思っているので、これまでの取り組みを継続していきたいと考えています。それが経営理念である、「マスパックに入って良かったと思える会社づくり」「社員が物心両面で豊かで幸福であること」につながっていくものと確信しています。
ーー健康に関心のある読者の方や、企業の健康経営ご担当者の方に向けてメッセージをお願いします。
増田:健康は、日常的に口にする食べ物や飲み物で体に良いものを取り入れ、運動や排泄を通じて体外に出す循環を大切にすることが重要だと考えています。私自身は、化学的に作られた薬や栄養補助食品は口にせず、あくまで自然体に進めていますね。
また、個人的な意見ではありますが、会社などの組織単位で従業員の健康に取り組む場合には、プライベートな時間に立ち入ることにもなるので、強制的にやることはあまり良くないと考えています。従業員とコミュニケーションを重ね、ボトムアップで考えや行動が浸透していくように時間をかけて取り組むのも手段の一つです。
ーー本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
今回お話を伺った企業はこちら:株式会社マスパック
インタビュアー:塩野実莉
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