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企業が進める健康への取り組みを聞いてみました

健康経営は時間をかけて進めていくことが大切。株式会社中島製作所にインタビュー

体調不良で突然休む社員が多く業務に支障を来たす

ーー御社の沿革や事業内容について教えてください。

吉村さん(以下、吉村):株式会社中島製作所は1969年7月に設立し、社員23名の中小企業です。工作機械を使用して鉄のかたまりを削り、機能部品をつくる金属加工業を行なっています。

具体的には、自動車や通信端末などに搭載される電子部品の組み込みの役割を担う「電子部品実装ロボット」のパーツをおもに製造しております。高精度・高品質な製品を製造するために欠かせないのが、会社の力の源泉である社員の健康だと考えています。

ーー健康経営を始めたきっかけについて教えてください。

吉村:弊社が健康経営に取り組むようになったきっかけは、毎年行なっている定期健康診断において、二次検査が必要だと診断された社員の割合が4割を超え、病気や体調不良によって突然休む社員が多くなったことです。

業務に支障を来たす事態に悩んでいたときに、健康経営優良法人認定制度を知りました。「認定基準解説書に書かれた事例に取り組むことで社員は健康になり、業務体制も改善されるのではないか」と思い、取り組みを始めました。

まずは、誰でも簡単に取り組めるものから始めようと思い、2016年から朝礼終了後に「ラジオ体操」を毎日全社員で実施し始めました。現在では習慣となっています。この取り組みによって、年間65日間ほど従業員が突然休む日があったのですが、今では2~3日間になるほどの結果が出ております。自発的に運動に取り組む社員が増えていき、生活習慣が整ってきたのではないかと考えています。

健康な社員には健康手当を支給

ーー他にはどのような取り組みを行なっていますか?

吉村:当社では、毎朝各所属長が部下の体調確認を行なっています。具体的には、出社してきた社員に対して、本人の体調や家族の体調を確認し、積極的に声かけを行なっております。声かけをすることでコミュニケーションも取れると実感していますね。

また、「プライベートの時間を大切にしてほしい」という思いから、毎月第4 金曜日はノー残業デーに設定しました。全社員のがんばりで生産効率・業務効率が改善され、今では金曜日だけでなく半数以上の社員が月の残業時間0時間になりました。

ーーどのような施策で残業時間が減少したのでしょうか?

吉村:残業時間削減の評価制度を設けました。残業時間を削減した社員と所属長に対してプラス評価を行なうという仕組みです。この評価制度には、プラス評価のみでマイナス評価はありません。この制度により残業時間は大幅に削減できました。

ーー健康手当を支給する取り組みもしていると伺いました。詳しく教えてください。

吉村:健康な人に健康手当を支給するという施策です。健康な社員には毎月5,000円を支給し、2年連続健康であれば毎月8,000円、3年連続健康であれば毎月10,000円というように、年数に応じて支給額が増えるという仕組みです。健康を意識している社員であれば当然のように受け取ることができます。健康な社員はより健康に、健康状態が良くない社員は健康になってもらうことを目的として、取り組みを始めました。

健康経営でプラスになった利益は社員に還元し、社員の生活レベル向上に努めています。

ゆっくりと進めていき、2年が経った頃にようやく社内に発信

ーー健康経営に取り組むなかで、大変だったことはありますか?

吉村:健康経営の取り組みを社員に理解してもらうことです。これまで、会社が健康経営に取り組んでいることを社内に発信せず、社員に強制することもなく進めてきました。最初に大きな目標を掲げ、新しい取り組みを始めようとすると、拒否反応を起こす社員が多いだろうと考えたからです。

2年ほど時間をかけてゆっくり進めていき、取り組みが習慣となった頃にようやく社内に情報を発信しました。時間はかかりましたが、今では自主的に健康経営アドバイザーとして動いてくれる社員がいるなど、健康経営に取り組みたいと思っている社員が増えています。ここまで6年ほどかかりました。

また、健康経営優良法人の認定を受けたことで、近所の方から褒められることもあり、社員も誇らしく感じてくれているようです。

ーー健康経営の取り組みを行なうなかで、従業員の皆さんの反響はいかがですか?

吉村:ラジオ体操をきっかけに、愛知県の岡崎マラソンや安城市で行なわれるリレーマラソンにも半数以上の社員が積極的に参加してくれました。リレーマラソンは3チームほどで出場するため、競い合って楽しんでくれているようです。大会のあとは必ず打ち上げを行なうので、社員同士がコミュニケーションを取れる良い機会にもなっています。

運動することへの喜び、そして自分の体が健康になっていくことに対して感謝の言葉をもらうこともあります。ストレス減少にもつながっているようです。

生活面では健康手当による収入アップや自分の時間が増え、社員も大変喜んでおりました。

それぞれの企業に合った方法で進めていくことが大切

ーー健康経営に関する今後の計画や目標を教えてください。

吉村:1つ目は、形だけの健康経営ではなく、経営者や健康経営推進委員、全社員が三位一体となって進めていきたいです。健康経営の目標達成のために、健康や働き方の課題を明確にし、PDCAサイクルを繰り返し行なうことで、社員が気になる施策、社員が楽しんで取り組める施策を考案していきたいと思っております。

2つ目は、「社員の理解・社員への浸透」についてです。健康経営に取り組む理由は、「全社員の健康のため、そして会社の経営を健康にする」ことです。社員一人ひとりが健康意識を高め、自発的に食生活の改善、運動への取り組みが行なえるようにサポートしていきたいと考えています。

3つ目は、毎年1名、健康経営アドバイザーの資格を取得してもらうことです。2つ目に掲げた、全社員への健康経営の浸透を達成するためには、健康経営を理解してもらうことが大切です。そこで、健康経営アドバイザーという資格を通して、健康経営への理解を深めてもらいたいと考えております。2030年までに社員の半数、2040年までには全社員に資格を取得してもらう予定です。

ーー健康に関心のある読者の方や企業の健康経営ご担当者様に向けてメッセージをお願いいたします。

さまざまな業種があり、企業規模も違うので「この方法が良い」と一概には言えません。それぞれの企業様に合った方法を模索する必要があると思います。

ただ、会社の都合を社員に押し付けて説得するように進めるのではなく、理解し納得してもらえるような仕組み作りが大切です。新たな取り組みをされるときは、ラジオ体操など、お金をかけず、簡単で、長く続けられそうなことからはじめられると良いのではないでしょうか。

ーー今回はお話をお聞かせいただきありがとうございました。

今回お話を伺った企業はこちら:株式会社中島製作所

インタビュアー:塩野実莉

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